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肥満を予防する遺伝子欠損 --- 高脂肪食を摂取しても体重変わらず

  • Posted by: Mitsuyuki Ohno
  • 2008年1月 8日 10:35
  • News

食べても太らないってのは魅力だけど、じゃ、その余分なエネルギーは何処に行ったの?基礎代謝が上昇して、全部燃焼しちゃったってんなら、話はわかるけど。

いつの頃からか、肥満は結果ではなく原因だと言われるようになった。体に悪い原因だと。まぁ、理屈を並べられれば確かにそうなんだけど、複雑なエネルギー代謝経路故に、目に付いた一箇所を制御して『ホラ、太らなくなったでしょ』って言われても、『じゃ、余分なのは何処に行ったんだよ?』って疑問はなくならない。

基礎代謝を上げて、全部、燃焼しましたって言ったって、その燃焼過程で生成する代謝産物と代謝に関わる酵素や酸素の量は食事を制限した時よりも遥かに多くなるわけだし、その影響を考えたら、『太らないから、いいでしょ?』って訳には行かないような気もするんだけど・・・・。

まぁ、その他の諸々の影響なんて微々たるもので、とにかく太らなきゃ良いんだってんなら、それでもいいんだけど。。。。。(でも、結局、カロリー制限が一番って事になると思う)


さて、私も長い事ブログをやってるんだけど、気づいた事があります。それは、脂質代謝や糖代謝に一家言お持ちの医療人が多いなぁということです。コメントやトラバがつく時は必ずといってこの分野です。

ただ、それだけなんですけどね・・・・・・・。というわけで、本年も宜しくお願いします。

〔米ミネソタ州ロチェスター〕長寿の秘訣となる分子を探索していたメイヨー・クリニック(ロチェスター)のEduardo Nunes Chini助教授らは、過剰にカロリーを摂取しても体重が増えない人の秘密を解明する手がかりをつかんだ。このモデルマウスを用いた研究は、CD38遺伝子の欠損を示唆している。この遺伝子が欠損したマウスは高脂肪食を摂取しても体重が増えなかったが、CD38遺伝子が存在すると肥満した。この知見は米国実験生物学会連盟のFASEB Journal(2007; 21: 3629-3639)に発表された。


体重と肥満の調節に関与

 論文の連絡担当著者(corresponding author)で同クリニックの麻酔科医であるChini助教授は「肥満は複数の因子が複合した複雑な状態であるが、その因子の 1 つは遺伝子である。遺伝子は肥満症例の約50%の原因で、今回の研究ではCD38が体重を調節していることが証明された」と述べている。

 同助教授は、高脂肪・高カロリー食が原因で肥満になるシグナリング機序を同定することは、肥満の新しい治療法の理解と開発に重要であるとしている。

 動物モデルの研究により、カロリー制限はコレステロールと血圧(加齢のバイオマーカーとみなされることが多い)を低下させることが証明されている。さらに、発表ずみの動物モデル研究から、平均日常摂取カロリーの30~40%減と規定されるカロリー制限は、7 つある長寿関連遺伝子ファミリーの 1 つであるSIRT1遺伝子のスイッチを入れることが証明されている。

 また、最近の研究では、化学受容体PGC1(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体コアクチベータ)が、肥満の発症と代謝の調節に重要な役割を果たしていることが証明されている。少なくともマウスにおいては、SIRT遺伝子はPGC1を活性化し、それにより肥満のマイナス効果を相殺することができる。しかし、SIRT-PGC1の反応機序はこれまで不明であった。

 これまで同クリニックの研究チームは実験研究により、CD38はエネルギー代謝の調節などを含む多様なシグナリング経路の調節に関与していることを証明していた。さらにヒトを対象とした最近の研究では、CD38と代謝、特にメタボリックシンドロームとの関連の可能性が示されている。


CD38欠損マウスの体重は変化せず

 Chini助教授らは、今回の 2 グループのモデルマウスを用いた研究で、CD38がSIRTとPGC1の発現を阻害し、その結果、体重を調節することを確認した。CD38が存在しない場合、SIRT-PGC1経路が活性化され、モデルマウスが肥満になるのを予防した。
 研究では1 群はCD38遺伝子を有するマウス、他の 1 群はCD38欠損マウスとし、両群にカロリーの60%が脂肪に由来する高カロリー食を与えた。2 つ目の実験では、各群にカロリーの4%が脂肪に由来する標準食を与えた。

 その結果、高脂肪食を与えたCD38マウスの体脂肪はほぼ4 倍に、体重はほぼ 2 倍に増加した。高脂肪食を与えて 8 週間後、CD38マウスは耐糖能低下の徴候を示し、さらに4~6か月しか生存しなかった。標準食のCD38マウスは12か月間生存した。一方、CD38欠損マウスでは、高脂肪食を摂取しても体脂肪と体重は変化しなかった。これらマウスは、より多くのエネルギーを消費し、やせていたが健康であった。

 同助教授は「CD38欠損マウスでは高脂肪食と運動不足にもかかわらず体重が増加しなかったことから、CD38欠損は高脂肪食により誘導される肥満に対して防止効果があることが示唆される」と述べている。


レスベラトロールの効果検討

 Chini助教授らは、マウスにおけるレスベラトロールの効果も研究した。レスベラトロールはクワの実、ピーナッツ、ワインをつくる赤ブドウなどに認められる天然物質である。レスベラトロールは身体的な活動をしなくても適度の運動と同様の効果をもたらす物質として、また長寿薬として販売されているが、ヒトにおいて安全かつ有効であるというエビデンスは得られていない。

 CD38を有するマウスに 1 日30mgのレスベラトロールを投与した。一方、CD38欠損マウスには肥満に対するSIRT遺伝子の効果を判定するため、SIRT遺伝子の機能を低下させる薬剤であるシルティノールを同量投与した。

 レスベラトロールを投与したCD38マウスでは、2 週間にわたり高脂肪食誘導性肥満が予防された。対照的にCD38欠損マウスでは高脂肪食誘導性肥満の予防効果は、シルティノールで無効化された。シルティノールを投与されたCD38欠損マウスは、シルティノールを投与されなかったCD38欠損マウスに比べ、統計学的に有意に体重が増加した。

 このデータは、CD38が高脂肪食誘導性肥満をSIRT依存性機序により調節するという新たな概念を支持している。

 同助教授らは「これらの結果を総合すると、体重を調節する新たな経路が特定され、CD38は食事による肥満をもたらす細胞カスケードにおけるほぼ必須の要素であることが示された」と説明。「この研究結果は有望で、マウスのQOLと長寿に注目したフォローアップによりさらに調査すべきである」と述べている。

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