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多発性硬化症治療薬、、いろいろ

  • Posted by: Mitsuyuki Ohno
  • 2010年2月 5日 10:13
  • News

多発性硬化症の原因に免疫が関与する・・・と想定されているが、全てではないが、部分的には確実に関与している証拠が、この手の免疫抑制・調節剤による臨床的効果だ。

だが、しかし、今回、取り上げる3本の論文で扱われる薬剤が、免疫系以外に作用を及ぼしている可能性も否定できない。。。。カンナビノイド受容体のアンタゴニスト、ホスホリパーゼA2(cPLA2)阻害剤、またはセラミド合成酵素阻害剤とも言われているが、、、、、、

■再発性多発性硬化症に対する経口フィンゴリモドのプラセボ対照試験


A Placebo-Controlled Trial of Oral Fingolimod in Relapsing Multiple Sclerosis

L. Kappos and others


背 景

 経口フィンゴリモド(fingolimod)は、リンパ節からのリンパ球放出を阻害するスフィンゴシン-1-リン酸受容体調節薬である。多発性硬化症を対象とした経口フィンゴリモドの第 2 相、第 3 相試験では、プラセボやインターフェロン β-1a 筋肉注射と比べて、再発率と MRI で評価したエンドポイントが有意に改善することが示された。


方 法

 24 ヵ月間の二重盲検無作為化試験において、18~55 歳の再発寛解型多発性硬化症で、総合障害度評価尺度(Expanded Disability Status Scale;0~10 点で、点数が高いほど障害度が高い)が 0~5.5 点で、再発が過去 1 年間に 1 回以上、または過去 2 年間に 2 回以上あった患者を登録した。患者に、経口フィンゴリモド 0.5 mg もしくは 1.25 mg を 1 日 1 回、またはプラセボを投与した。エンドポイントは、年間再発率(主要エンドポイント)、障害進行までの期間(副次的エンドポイント)などとした。


結 果

 1,272 例中 1,033 例(81.2%)が試験を完了した。年間再発率は、フィンゴリモド 0.5 mg 群 0.18、フィンゴリモド 1.25 mg 群 0.16、プラセボ群 0.40 であった(いずれの用量もプラセボとの比較で P<0.001)。フィンゴリモド 0.5 mg 群と 1.25 mg 群では、24 ヵ月間の障害進行リスクが有意に低下した(ハザード比はそれぞれ 0.70 と 0.68、いずれもプラセボとの比較で P=0.02)。障害進行の累積確率(3 ヵ月後に確認)は、フィンゴリモド 0.5 mg 群 17.7%、フィンゴリモド 1.25 mg 群 16.6%、プラセボ群 24.1%であった。MRI 関連評価項目(T2 強調画像上の新規病変・拡大病変数、ガドリニウム増強病変、脳容積の減少)について、フィンゴリモドはいずれの用量でもプラセボより優れていた(24 ヵ月後のすべての比較について P<0.001)。試験中止となった原因やフィンゴリモド関連の有害事象は、フィンゴリモド投与開始時の徐脈と房室ブロック、黄斑浮腫、肝酵素値上昇、軽度高血圧などであった。


結 論

 今回検討した経口フィンゴリモドの用量はいずれも、プラセボと比べて、再発率、障害進行リスク、MRI で評価したエンドポイントを改善した。これらの有益性は、可能性のある長期リスクと比較検討する必要がある。(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00289978)


N Engl J Med 2010; 362 : 387 - 401.
(C)2010 Massachusetts Medical Society.
 
 
 
■再発性多発性硬化症に対するフィンゴリモド経口投与とインターフェロン筋肉注射の比較

Oral Fingolimod or Intramuscular Interferon for Relapsing Multiple Sclerosis

J.A. Cohen and others


背 景

 スフィンゴシン-1-リン酸受容体調節薬であるフィンゴリモド(fingolimod)は、リンパ節からのリンパ球放出を阻害する。多発性硬化症患者を対象としたフィンゴリモドの第 2 相試験で、臨床的有効性と画像上の改善が示された。


方 法

 12 ヵ月間の二重盲検ダブルダミー試験において、再発寛解型多発性硬化症患者で、最近 1 回以上再発した 1,292 例を、フィンゴリモド 1.25 mg/日を経口投与する群、0.5 mg/日を経口投与する群、インターフェロン β-1a(確立された多発性硬化症の治療法)を30 μg/週 筋肉注射する群のいずれかに無作為に割り付けた。主要エンドポイントは年間再発率とした。主要副次的エンドポイントは、12 ヵ月の時点における MRI の T2 強調画像上の新規病変・拡大病変数と、3 ヵ月以上持続する障害の進行とした。


結 果

 1,153 例(89%)が試験を完了した。年間再発率は、両フィンゴリモド群でインターフェロン群よりも有意に低く、1.25 mg 群 0.20(95%信頼区間 [CI] 0.16~0.26)、0.5 mg 群 0.16(95% CI 0.12~0.21)に対し、インターフェロン群 0.33(95% CI 0.26~0.42)であった(いずれの比較も P<0.001)。MRI 所見は主要エンドポイントの結果を支持するものであった。障害の進行には 3 群間で有意差は認められなかった。フィンゴリモド 1.25 mg 群では、致死的な感染症が 2 例(播種性の原発性水痘帯状疱疹と単純ヘルペス脳炎)認められた。フィンゴリモド群ではその他の有害事象として、非致死的ヘルペスウイルス感染症、徐脈および房室ブロック、高血圧、黄斑浮腫、皮膚癌、肝酵素上昇が認められた。


結 論

 この試験により、多発性硬化症患者の再発率と MRI 上の転帰に関する有効性について、フィンゴリモド経口投与のインターフェロン β-1a 筋肉注射に対する優越性が示された。1 年以上の治療の安全性と有効性を評価するには、さらに長期の試験を行う必要がある。(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00340834)


N Engl J Med 2010; 362 : 402 - 415.
(C)2010 Massachusetts Medical Society.
 
 
 
■再発性多発性硬化症に対する経口クラドリビンのプラセボ対照試験

A Placebo-Controlled Trial of Oral Cladribine for Relapsing Multiple Sclerosis

G. Giovannoni and others


背 景

 クラドリビンは、リンパ球サブタイプを選択的に標的にして免疫を修飾する。再発寛解型多発性硬化症患者にクラドリビンの錠剤を短期コースで経口投与した、96 週間の第 3 相試験の結果を報告する。


方 法

 1,326 例を、クラドリビン錠の累積投与量 3.5 mg/kg 群、5.25 mg/kg 群、マッチさせたプラセボ群のいずれかに、ほぼ 1:1:1 の割合で無作為に割り付けた。各群で、最初の 48 週間は 2 コースもしくは 4 コースの短期投与を行い、その後 2 コースの短期投与を、48 週目と 52 週目に開始した(年間で計 8~20 日間投与)。主要エンドポイントは 96 週の時点での再発率とした。


結 果

 クラドリビン群はいずれも、プラセボ群に比べ年間再発率が有意に低く(3.5 mg/kg 群 0.14、5.25 mg/kg 群 0.15 対 プラセボ群 0.33;両比較について P<0.001)、無再発率が高く(79.7%、78.9% 対 60.9%;両比較について P<0.001)、3 ヵ月間の持続的障害進行リスクが低く(3.5 mg 群のハザード比 0.67、95%信頼区間 [CI] 0.48~0.93、P=0.02;5.25 mg 群のハザード比 0.69、95% CI 0.49~0.96、P=0.03)、MRI 上の脳病変数が有意に減少した(すべての比較について P<0.001)。クラドリビン群では、リンパ球減少(3.5 mg 群 21.6%、5.25 mg 群 31.5% 対 プラセボ群 1.8%)、帯状疱疹(8 例、12 例 対 0 例)などの有害事象がより高頻度に認められた。


結 論

 クラドリビン錠の投与により、96 週の時点での再発率が有意に低下し、障害進行のリスクと、MRI 上の疾患活動性指標が有意に減少した。これらの有益性は、リスクと比較検討する必要がある。(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00213135)


N Engl J Med 2010; 362 : 416 - 426.
(C)2010 Massachusetts Medical Society.

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