ブルートゥスかアントニウスか
カエサルが暗殺された後※1、ブルートゥスとアントニウスは追悼の言葉を述べる。シェイクスピアの戯曲“ジュリアス・シーザー”では一番の見せ場だ。
WOWOW 海外ドラマ『ROME[ローマ]』ではその場面が、“ジュリアス・シーザー”でのシーザー(カエサル)とアントニー(アントニウス)のやり取り※2のように、第三者に語らせるっていう、パスティーシュのような心憎い演出がなされている。
※1:ドラマ『ROME[ローマ]』では、カエサルを暴君としたならば、その暴君が推挙した執政官、法務官など、すべて無効と化す。従って、選挙のやり直しは避けられない。当時でも選挙には莫大な費用が係る。やりたくない。
アントニウスはブルートゥスに持ちかける。『選挙を避けるには、カエサルを暴君とせず国葬に付す。その上で、大衆に対しては対立する双方の代表者が追悼の言葉を述べ、社会の不安を払拭すべきだ』と。
※2:凱旋式にてアントニーがシーザーへ王冠を送る。これをシーザーは三度断る。シェイクスピアはこの場面を役者に演じさせず、物陰から見ているキャシアス(カッシウス)らが、『断っているフリしているが、喉から手が出かかっている』などと、揶揄する場面をもって、シーザーとアントニーのやり取りを示している。
後世の評論家がこの戯曲を評価する理由に、本人(シーザー)の意思(王位に付きたいかどうか)を明確に示さなかった事を挙げる。(ここからは、私の評)実際、シーザーの本意はわからない。。。が真意はどうであれ、どう思われるかが大事で、歴史は暗殺を選ぶ。おしくらまんじゅうのように、進んでしまう事を見事に示している。
補足:ローマの大衆は、王様を嫌悪している。この大衆心理は塩野七生の『ローマ人の物語』をお読みくだされ。
西欧の文化圏では誰もが、カエサルの国葬に際しブルートゥスとアントニウスが何を喋ったのか十分に知っている。そして、二人の政治家としてのスタイルの違いは強烈だ。。(ほんとは、これらも結果から推測する一番合理的なシナリオにすぎず、事実かどうかはわからない。ドラマでは第三者に語らせる理由なのかもしれない・・・・が)
ブルートゥスは清く正しく美しく正論を貫く。
アントニウスは大衆にわかりやすく大衆の感情に訴えかける。
そして、大衆はアントニウスを選ぶ。
やがて単なる大衆迎合は大衆に見放され、大衆の気持ちをクレバーに利用する事ができるオクタヴィアヌス(アウグストゥス)が登場する。
突然、話はがらりと変わる。。。
まず、主成分分析(PCA)の定義から。ウィキペディアによると、、、、
主成分分析(しゅせいぶんぶんせき、principal component analysis)は、経済学の分野などが発祥の統計手法。複数の変数間の共分散(相関)を少数の合成変数で説明する手法。共分散行列の固有値問題の解として得ることができる。例:
市町村の人口・学校数・商業施設数・進学率・第一次産業の就業率・水道の普及率などには通常高い相関がある。この相関を1つの変数が作った偽相関と仮定し、数学的に算出する。それを第一主成分と呼ぶ。第一主成分は数学的な計算結果に過ぎない。これの意味を分析者が解釈し、たとえば「都市化指数」などと想定し、都市化の指標とする。その残差に対して同じ計算を適用して、主成分は第二、第三、と作れるがその変数間の関係を説明する主成分負荷量が小さくなっていくので、解釈困難になっていく場合が多い。心理学やマーケティングで使われる因子分析が主成分分析と同一の手法であるとの誤解が生じるのは統計ソフトにおいて類似のルーチンを用いるためである。詳しくは因子分析の項目を参照のこと。
漢方処方の性格付けにメタボローム解析を用いた研究が、千葉大学大学院薬学研究科の山崎真巳・准教授らのグループによって第5回植物メタボロミクス会議で発表された。
一つの細胞に含まれるメタボローム(代謝物総体)は微生物で数百種類、哺乳類で数千種類、植物で数万種類と言われているそうだ。哺乳類より植物の方がたくさん物質を作り出し“生きている”事に、少々、驚いている。まぁ、それはいいとして・・・
漢方薬を飲むと、どのような遺伝子の転写が促進され、その産物が二次代謝され・・・って最終的(ある時点で)にどんなものが出来てるのかを、主成分分析(PCA)で調べて発表している。
面白いのは、処方によりある程度グループ分けが出来きて、これが“証”に依存しないって事だ。微妙な差はあるにせよ小柴胡湯と大柴胡湯が同じクラスタにまとまっているのだ。ちなみに、葛根湯や加味しょうよう散とはかけ離れている。
ということは、、、、“中国4000年の経験”はこの“微妙な差”を臨床に応用している・・・のか???メタボローム解析は非常に科学的だけど、現時点では“中国4000年の経験”にてんでかなわないって事なのか??
現代科学の最先端の分解能は、まだまだ、人間の“かん”に遠く及ばない・・・・。その他の生命科学分野の研究結果が、臨床に直結しない・・・・のも、こんな理由なのかもね。見えてる(解っている)ようで、まだまだ、巨視的にしか見えてなかったってこと。
あっ!もしかして、クラスタの違いは“証”ではなくって、この小さな差が“証”なのかも!!
とすれば、この小さな差は“解像度”を上げれば大きく出来る。とすれば、“証”を科学のスケールで語れる・・・・。
厳密な意味で、因子分析と主成分分析が違うというのは、ウィキペディアの説明でわかったのだが、漢方薬の作用が、大衆の意思に重なってしまって、頭から離れない。メタボローム解析が漢方薬の分解能に及ばないの同様に、現代政治学が未来を予測できない事が興味深い。
漢方薬の構成生薬は複数だ。多いものでは10程もある。その一つ一つの生薬には、それこそ大量の成分が含まれる。それらが渾然一体となって、まるで大衆が一体となって政治家を動かすように人間に効く。
漢方薬の構成成分を一つ二つ取り出して効果をみようとしても、それはナンセンスだ。
大衆の中の人を、一人二人取り出して意見を聞いてみても、それは大衆を代表しない。そればかりか、政治(歴史)は大衆と政治家が渾然一体となって動かしているんだって解釈した方が理にかなっている。
漢方薬に入っている成分を一つ一つ取り上げれば、特に大きな作用を表しそうなのが、カエサルで、それ以下、アントニウス、ブルートゥス、カッシウス、キケロ、、、、それに男だけじゃなく、女達の影響も構成成分としては、ある程度大きな作用を持っている。
カエサルの愛人でブルートゥスの母親セルウィリア、カエサルの姪でオクタビウス(後のオクタビアヌス)の母であるアティア、スッラの孫であり正妻であるポンペイア、当然、エジプトの女王クレオパトラも。
浸剤として抽出している間に蒸発したり失活したり・・・・カトーやスキピオ、そしてポンペイウスもいる。だが、蒸発・失活したからといって、カエサルという有効成分に影響を与えなかったわけじゃない。漢方薬として出来上がった中のカエサルには、ちゃんと影響を与えたわけで、、、、ポンペイウスを追わなかったらエジプトには行かなかったわけで・・・・。
そして、その他の多数の成分は、一つ一つは大きな影響を与えないが、しかし、カエサルやアントニウスをも突き動かす、大衆がいる。
実は『ROME[ローマ]』は、エピソードによって性的表現の大胆なものがあり R-15 指定されている。娘と一緒に見ていると『アーアー声出してるけど何やってるのぉ?』と聞かれて、答えに窮していた。そんな事で妻から『娘がいない時に見るように』とお達しが出た。見始めて1月にもなろうかというのに、まだね全部見終わっていないのは、こういう理由からだ。
この連休(10月12~13日)、私の母親(娘の祖母)が娘を連れ出し遊びに行ってくれたので、チャンスとばかり、6話を2日にかけて観たのだった。ちょうど、カエサルが暗殺され、遺言によりオクタビウスが全ての遺産を相続し、アントニウスと決裂してアグリッパの元へ身を隠すところで、前半が終わった。
このドラマでは、ヴォレヌスとプッロという二人の兵士が登場する。この魅力的なキャラクターが私は大好きだ。実際に存在した兵士じゃないけど、歴史に与えた二人の影響は計り知れない。もしも、あの時、、、だったら、、、だけど。
で、ルキウス・ヴォレヌス役はケヴィン・マクキッドという俳優さんで、日本語吹き替えが、あのプリズン・ブレイクのマイケル・スコフィールド役、東地宏樹氏だ。これがドハマリでカッコイイ!プッロの声優さんはだれかわからなかったけど、ガイウス・ユリウス・カエサル役のキアラン・ハインズの吹き替えは、スパイダーマン2のマッド・サイエンティスト、Dr.オットー・オクタヴィウス役のアルフレッド・モリナをやっている土師孝也氏だ。これもカエサル役にドンピシャ・はまり役で感じが出てて、、、
(・∀・)イイ
今回のエントリーは、日頃、漠然と感じていた漢方薬への“思い”と WOWOW 海外ドラマ『ROME[ローマ]』を観たことにより惹起された“思い”とが一緒になって、吹き出してしまった・・・・・って感じです。
お粗末でした。