以前、WebMaster's impressions『新聞紙上での本音』でも触れた事だが、つい先日は、医学会が事実を公表した。
新聞紙上でも、きっちりと同門を評価する事が言えるようになってきて、非常に好ましいと思っていたのだが、ついに、白い巨塔の内部からも同様の声が出てくるようになったのは素晴らしいことだと思う。
さて、ここ WebMaster's impressions は、誉めるだけのブログじゃないので、ひとつ“Peer Review”を切り口に強烈な関節技をお見舞いしてあげようと思う。当然、対象は薬剤師だ。(薬剤師の方には気分を悪くされる方もいらっしゃるだろうから、そういう方は読まない方がいいかも。)
Peer は ネットワーク (LAN) 用語では、Peer to Peer のように使用される。ネットワーク (LAN) といえば、サーバー/クライアント(S/C)型のネットワークが主流だから、Peer to Peer なんて知らない人がほとんどだと思うけど、2台のパソコンのネットワークカード (NIC) を10baseT のクロスケーブルで直結するネットワーキングだ。
どちらかがサーバでどちらかがクライアントという訳じゃなくって、お互いに対等なネットワークなのだ。
ちなみに、ハブを介して接続する S/C 型ネットワークでは“ストレートケーブル”を使用する。ネットワーク初心者がケーブル購入時に“クロス”の存在を知らずにうっかりストレートと間違えて“クロスケーブル”を購入ミスするのは、隠れた笑い話だ。
で、“Peer Review”。直訳すれば“同僚による評価・監視”と訳せる。知らなかった人は、Peer Review ってググって(google)下され。
さて、その“Peer Review”、薬剤師会のお偉方の先生達は、知っていても知らん振りを決めたいところだろう。まして、程度の低い薬剤師達は言葉すら知るよしもない。
知ってたとしても、職場内でお互いの知識を評価し合うなんて、とてもとても出来ないことだと思う。なにしろ、みんな仲良くがモットーの次元で仕事してる薬剤師がほとんどだからね。
“知識”と言う言葉を出したのは、今回の問題提起になった医師の内視鏡技術に対応するものが薬剤師の知識と言えるからだ。
薬剤師は薬学部を卒業して国家試験に受かると、何故か、お互いに知識の差を比べることを避ける傾向にある。これは、実体験にも基づく。不勉強で知識不足を指摘しようものなら、全く別次元の仕返しをしてくることもある。(事実、勉強会と言う場で知識不足を指摘したら、非常に憤慨して『煙草を止めろ』と言われたことがある。)
薬剤師って、薬の専門家だよね?自称でも他称でも『薬の専門家』っていうなら、医療に供される薬の作用機序に、わからないものがあるなんて、赦される訳が無い。
薬剤師にとっては、薬の知識だけが、唯一、薬剤師を薬剤師たらしめるものなのだから、1に知識、2に知識、3、4が無くて5に知識。6番目くらい接客態度とか、話し方とか、が大切になってくる。
まさか、錠剤の数え方やハサミの使い方にテクニックが・・・とか、秤量の仕方、ドラフターで無菌性剤の調製方法にテクニックが・・・なんていうやつは、いないだろう。(慣れれば、誰でも出来る仕事は薬剤師の仕事じゃない)
だけど、、、面白いことに、薬剤師仲間の間では、1~5までについて真面目に向かい合う事はタブーで、みんなが一緒に知らなくて、一緒に学べる6以降をせっせせっせと勉強する傾向がある。薬の勉強と言っても、メーカーの新薬説明会位がせきのやまだから、ここでも、ポケーっとしてみんなで“拝聴”するだけで、質問も出やしない。事前に知ってる薬だったとしても、理解しているわけじゃないので、質問も出来ないのだ。
学術大会と称する場でも、“学術”の定義をしなおさなければならない内容だ。一度、参加したことがあるが二度と、行く気はしない。(実は、これに関しては、立場のある方から聞いた興味深い話があるのだが、ここでは書けない。残念!)
『あの薬局にいる薬剤師は、程度が低い』とか、『我が薬局にいる○○と○○は程度が低い』ということを言えない。
何故、Peer Review が出来ない事を問題にするかと言うと、その薬剤師の質を一番正確に評価できるのが一緒に働いている薬剤師であり、同じ地区で働き顔の合わせる機会の多い薬剤師だから、だからこそ、その同僚が評価しないで、誰がする?ということなのだ。
どうして薬剤師は peer review が出来ないのか?
逆にいえば、peer review が出来る人間は、“公益を重んじる利他的な人間”だ。
薬剤師は“公益を重んじる利他的な人間”とは言えないから、peer review が出来ないのだ。
薬剤師仲間でギスギスした人間関係を作りたくないからと考える人は、すでに“公益を重んじる利他的な人間”ではない。
なぜならば、薬剤師は、患者さんにとって存在する職業だからだ。だから、患者さんの利益を最大限に考慮しなければならない。これが薬剤師にとっての公益だ。
患者さんにとっての最大の利益とは、薬剤師の資が高い事であり、具体的には薬についての圧倒的な知識だ。(知ってるだけじゃなく理解してなきゃだめ!職場の人間関係は、優先順位をつけるとすれば患者さんより低いはず。peer review が出来た上で人間関係がよければ言う事はないが、まず、人間関係のために、思った事も口に出せない薬剤師がほとんどだろう。)
そして、薬剤師の質を高める為には peer review が最も効果的だ。いつも身近にいて、お互いに緊張感を与え合い、勉強する事のモチベーションを持ちつづける為には、もってこいの存在が“同僚薬剤師”だ。その同僚の目が“peer review”というわけだ。
いくら6年間勉強しても、免許を取得してからほとんど勉強しなければ、水準の知識を維持する事すら難しい(医学知識の賞味期限は長くて5年がいいところ)。毎日やるのならまだしも、月に1~2度の説明会や研修会に出席しても、メーカーを呼んで説明会を開いても、それは“害にはならないけど、資質向上なんて望めるわけはない”。
薬剤師は、患者さんのために、勉強に対する真剣な態度が必要なのだ。
評価し合うことと、人格を否定しあう事は、全く関係ない。知識の足りない部分を指摘されたって、他に自信のある分野があれば、素直に指摘・評価を受け入れられるものだ。素直に、指摘・評価を受け入れられないのは、全てにおいて劣っているから人格まで否定された気になるのだろう。つまり、自分が悪いのだ。
話は変わるが、この間サッカー日本代表がワールドカップ出場を決めた。選手同士、特に中田選手が仲間に檄を飛ばしていたらしい。誰かが“嫌われ者”ならなきゃ・・・って言って。“嫌われ者”にならなきゃならない環境も悲しいものがあるが、これが、日本人同士の現実なのかもしれない。
悲しいけど、敢えて実行するのは、海外の選手と共にプレーしているからなのか?やっぱり海外組みには違うものを感じる。チームがレベルアップすることなら、それ“peer review”が普通に出来るの環境なのだろう。日本でプレーしているモチベーションの低い連中は徒党を組んで群れたがるように見えてしまう。
しかし、プロと名の付く世界では“peer review”は当たり前なのかもしれない。当たり前の事が出来ていないのが、そろそろ、薬剤師だけ・・・。
薬剤師の世界で“peer review”が素直にできる時期は、はたして来るのだろうか?