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2007年10月 アーカイブ

2007年10月03日

食生活の改善よりも薬を選ぶ高血圧患者

20071003_hamburger.jpgJAMA Vol. 298 No. 2, July 11, 2007 の Medical News & Perspectives 『DASH Dietary Plan Could Benefit Many, but Few Hypertensive Patients Follow It』によると、降圧効果が証明されている食事療法「Dietary Approaches to Stop Hypertension(DASH食)」を実践している人は、5人に1人という結果だったそうだ。

当然研究グループの医師達はそれを嘆いているわけだが、私の素直な感想は『へぇ~、けっこういるんだぁ。アメリカ人なのに』であった。

ジャンクフード、ファストフード大国のアメリカで5人に1人はすごいんじゃないかなぁ・・・・、それに、DASH食は割高だから所得格差が日本の比じゃないアメリカでは、そんなことに金をかれられないんじゃ・・・・。


というわけで、日本ではどうなんだろう?

アメリカ人はもともとの食事内容が悪いんだから、DASH食みたいなもので降圧効果が得られる。でも日本人はもともと健康的な食事・・・?でもないかぁ!企業戦士(古い?)達は、まともな食事もせずに夜な夜な接待だったり、仕事帰りに一杯やりゃ、不健康でおいしいつまみをたんまりと食し。。。。食事内容なんて、良くないよなぁ?


余丁町散人さんのブログで、面白い事が紹介されていた。
日経コラム“経営の視点”で太田泰彦氏が、『ASEANの一角でこんな話を聞いた。「日本は残り物の市場。食のゴミ箱とも呼ばれる」「日本人自身は誤解しているようだが、日本の安全基準は国際的に見て極めて甘い」(食品加工企業の経営者)』と書いていると。

う~ん、アメリカの安い牛肉を圧力に負けて簡単に輸入してしまう事をみても、うすうす気づいてはいたが、日本は食のゴミ箱だったとは。。。。。(地球温暖化防止の京都議定書すら無視している国であるアメリカは、日本の食の安全なんて考えるわけもないのだが、日本人はお人よしだからねぇ・・・)

吉野家の牛丼を平気で食べている人を見ると、哀れだなぁと思っているのだが、その昔、この牛丼屋は『やったぜパパぁ~、明日はホームランだっ』ってコマーシャルをやっていた。これで財をなしたのか、今ではあの“松井秀樹”にまで『明日はホームランだ』って言わせている。

プリオン入りの可能性が濃厚な安い牛肉を、政府がお墨付きを与えたから、いや、与えてなくて密輸した牛肉であっても吉野屋が販売すれば食べちゃう“脳天気”な人たちから搾取したお金で、松井秀樹までやられちゃうとは、、、、、事情を知らないで騙されているとはいえ、子供達に与える影響はでかいよなぁ。


閑話休題。根拠とか、エビデンスといった類ではなくて、まったく私見、偏見なのだが、日本人でも血圧が高いからといって、食事に気をつかってはいても厳格にやっている人となると5人に一人もいないんじゃないかと思う。塩分を控えているとはいっても、一日のNaCl換算での摂取量を知っている事なんて、ほとんどいないんじゃないのかなぁ。

DASH食っていうのは、ホントに収縮期血圧は11.4mmHg、拡張期血圧は5.5mmHg下るという。境界域の高血圧なら、服薬なしで血圧をコントロール出来るわけだ。また、これくらいのちょい高い人ってのが多いのだろうから、このような食事療法を厳格にすれば、かなりの人が降圧剤を使わなくてすむ・・・・・・のかもしれない。

でも、ぶっちゃけた話、食事療法と QOL は相反するものだ(と思う)。

『わかっちゃいるけど、味気ないもんねぇ』

この言葉を薬の副作用との天秤にかけても、私の中では患者さんにとっての答えは出せない。

というか私は、MEGA study よろしく、久山町研究での高血圧の影響などでも『それは、凄い』ではなく『そんなものなのか!』と解釈する立場だ。ちょっと高いくらいの血圧をほったらかしたとして、100%の人が脳卒中や心疾患で死ぬなら考えも変わるけど、そうじゃないでしょ?そうなる人のほうが圧倒的に少ない。そして、降圧薬を飲んでいたって、脳卒中や心疾患で死ぬ人が 0%にならないんじゃ、美味いもの食って運命を受け入れる選択肢は、個人に与えられてもいいんじゃないかと・・・・の立場をとっている。

だから、本音では食事療法なんて、嫌がる人に無理にやらなくってもいいんじゃないの?と思ってる。

そして、食事療法は医療費の問題も含まれている事を忘れてはならない。(財政面も個人のお財布も)

食事療法を厳格に薦めれば医療費(医薬品代)は少なくて済む。ここまでは、誰にでも直ぐ思いつく。でも、今朝のズームインで辛坊さんも言っていたように、医療費の半分は1割から2割の個人負担で議論の的になっている世代以上だ。

20071003_smoking.jpg以前にも書いたけど、禁煙すると長期的には医療費が増大するって試算があるのは興味深い(たしか BMJ )。禁煙して長生きする人が増えるからっていうベースで考えてるみたいなんだけど、笑い飛ばせるほど単純ではないだろう。要は、一番お金のかかる高齢者の数が多くなるような生活環境を薦めると、医療費が嵩むって考え方だ。ブラックユーモアじゃないけれど、50~60歳台でポックリ逝ってくれる人が多くなれば、それだけ医療費は少なくて済む。

だから、食事療法は、医療費の高騰を招く・・・・・・?!


でも、「日本は残り物の市場。食のゴミ箱とも呼ばれる」なんて事らしいから、カロリーばっかりを気にしても本末転倒にもなりかねない。いろんな意味でね。

2007年10月12日

RNAi治療が復活?

Nature 誌によれば、昨年、この雑誌に掲載された論文は、『RNAi による遺伝子治療の将来は真っ暗闇だ』というものばかりだったという。それは、短鎖ヘアピンRNAの大量投与が、マウスのmiRNA経路を崩壊させ、遺伝子発現制御系統に致命的なダメージを与え、致死的な結果がもたらされることが解ったからだと。

しかし Nature vol.449 (7163), (11 Oct 2007) に掲載された新しい研究によれば、『RNA治療をあきらめるのはまだ早い』らしい。別の種類の動物の阻害性RNAである短鎖干渉RNA(siRNA)ならば、マウスに投与しても毒性が現れない可能性があるからだと。


20071012_main.jpgところで、私は『24』を見ていて、つくづく思う。“国家の行方”ってつくづく“遺伝子発現の制御”に似ているなぁと。ジャック・バウアー達の CTU(テロ対策ユニット)の行動が siRNA や miRNA による遺伝子発現制御に見えてくるのだ。

オードリー・レインズ、クロエ・オブライエンら CTU メンバーはもとより、クリストファー・ヘンダーソンや果てはチャールズ・ローガン大統領までもが、それぞれの行動には信念を持っており、そして、その最終目標が“国益”に続いているわけで、それぞれの行動がそれぞれに影響を与え、その結果が、それぞれにとってまた別の影響を及ぼし、全てが特定の個人の意思ではなく、それぞれの意思・行動の総和として“ベクトル”が決まるというところが、まるで、“ホメオ・スタシス”に通ずるなぁと。(生命現象には意思はないけど)

国家ってのは、まるで“生きモノ”のようだ。大人数(国民)の意思の総和が国の意思となるなんて、そんな単純じゃない。国の意思は、別のところに在る。誰も本心を知る由もない。


そんなことを考えながら、、、RNAi治療、『別の種類の動物の siRNA ならば、マウスに投与しても毒性が現れない』なんて、言うほど簡単なもんじゃなく、遺伝子治療自体がそんなに甘いもんじゃないのではないか?と感じるのだが・・・。

うまく言葉に出来ないからもどかしいんだけど、人間の体って、決して機械のようなもんじゃない。(こう言っちゃうと、薄っぺらなんだよなぁ・・・)

政治評論家や訳知り顔の論客たちの言葉が的中した事ないのと同様、人間の病気を医学がどうこうするなんて“ほとんど出来ない”のが真理なんだろうと思う。人間が戦争(闘争)を回避できないようにね。

もう十分解りきっていると思っていた分野でさえ、あたらしい発見があるから、“生命”ってのは、、、、侮ってはいけない。。。。。

細胞:アドレナリン性の炎症

Nature vol.449 (7163), (11 Oct 2007)

マクロファージや好中球のような食作用をもつ血液細胞が、カテコールアミン(ノルアドレナリンやアドレナリン)の重要な産生源であり、急性炎症反応を増強することがあることがわかった。

これは意外な結果である。

外傷や感染に対して体が起こす炎症反応は、体を保護し、損傷前の状態に戻すように仕組まれているが、過剰な炎症反応は組織や器官に重大な傷害を与えることがある。

ラットやマウスの急性肺傷害モデルでの実験により、副腎髄質およびシナプスニューロンに加え、食細胞が、アドレナリン作動系の3番目の構成要素として実際に機能しうるとわかった。

この知見によって、アテローム性動脈硬化、急性虚血性心傷害、急性肺傷害で認められるような望ましくない炎症反応が、ヒトでアドレナリン受容体の遮断によって抑制される可能性がでてきた。

Letters to Nature p.721


ところで、国の舵取りがテレビや新聞を賑わしている今日この頃、民主党は“二大政党時代”を唱えているわけだが、やっぱり、民主党には任せられないっていう事が判明した。(私なりに・・・・)

BTJ ジャーナルの9月号から連載として「科学技術政策を論じよう」ってのが始まった。第一回目は各党の科学技術政策をマニフェストから比較しているのだが、気になる方には読んでいただくとして、御用とお急ぎの向きに私が簡単にまとめると、、、、

・イノベーション
・産学連携
・重点分野
・奨学金
・科学研究費
・学費
・大学
・理科教育
・若手研究者
・女性研究者
・バイオ燃料

自民党が満遍なく政策を網羅しているのに比べ、民主党はこの分野に関してはほとんど触れてもいないという体たらくで、ことごとく反対する共産党の方がよっぽどまし、少なくても“考えている”との事だ。幹部に理系出身者いるはずの民主党なのに科学技術に疎いと言わざるを得ない。。。。と。

もし民主党が政権を取るなら、ワンポイントリリーフで年金問題だけ解決させて、、、ってことなんだろうね。


マニフェストだけで政党の“力”が測れるものでもないし、科学技術の進歩が“是”なのかどうか、また、その恩恵があるのかどうかの予測も難しいのだが、なにも“考えていない”政党に任せるよりは、よっぽどマシだ。

消去法で自民党というのが情けないが、結局、大きな目で見れば“小ざかしい”ことしか出来ない人間の“脳”には限界があり誰がやっても“大きなブレ”はないんだろうと思う。これは、最近、共産主義国家のキューバを見ててもよく分かるしね。

2007年10月13日

最後通牒ゲーム

20071013_justice.jpg『そりゃ、ないんじゃない?』
『そんなの、ずるいよ』
『権力を笠に着て・・・』
『核兵器をちらつかせて・・・』

公正さという感覚は、ヒトがサルから進化した時に取得した機能であり、種の繁栄をささえた重要な資質だということだ。

公明正大か、あるいはそうではないか(Fair's Fair...or Not)

Science October 5, 2007, Vol.318

人類は公正さという感覚を持っているという説を実証する実験的な基準は、最後通牒ゲーム(Ultimatum game:訳注参照)におけるふるまいである。

もし、最初のプレーヤーが提案した分け前が充分公正(大体、合計の40%から50%程度)でなければ、2番目のプレーヤー(受け手)は提案を拒絶することが多く(利益を得ることを完全に諦める)、その結果、最初のプレーヤーもあらゆる受け取りが不可能になる。

Jensen たち(p. 107)は、チンパンジーにおけるこの最後通牒ゲームを干しブドウを使ってやらせた場合、人間の場合と異なり、干しブドウの数がいくらであっても受け手は受け入れる。

結論としては、チンパンジー2匹によるゲームでは公正な取り引きと言う概念には到達しないように思える。

【訳注】最後通牒ゲーム:受け手が受け入れた場合、提案者が提案した通りの分配が与えられるが、受け手が拒否した場合は、提案者も受け手も分配はゼロ。

Chimpanzees Are Rational Maximizers in an Ultimatum Game
p. 107 - 109.


というわけで、北朝鮮の外交手段は言うに及ばず、亀田興毅の世界戦での判定に怒りを感じ、亀田大毅の判定に溜飲を下げ、光市母子殺害の犯人を“死刑”にする事に“反対”する人に“違和感”を感じるのが、ヒト(ホモ・サピエンス)として当たり前の反応であり(この場合には“死刑廃止論者”であるという資質が話をややこしくするのだが)、このバランス感覚に異常をきたしているヒトはサル並ということなのだが、、、、
学習、自閉症とシナプスの関係(Learning, Autism, and the Synapse)

Science October 5, 2007, Vol.318

自閉症の人のなかには少数であるが、シナプスを通って神経細胞の情報伝達を容易にする細胞接着タンパク質であるニューロリギンとニューレキシンをコードしている遺伝子に変異を宿している。

Tabuchiたち(p. 71, 9月6日のオンライン出版;Crawleyによる展望記事参照)は、このような変異の一つ、即ちマウスに変異タンパク質を導入することでニューロリギンー3にR451C置換したその機能的な影響を調べた。

このマウスは空間的な学習スキルは上昇したが、社会的相互作用面では損なわれている。

これらの行動面の変化は抑制性のシナプス伝達における選択的な増強が伴っていた。

このように、興奮性と抑制性のシナプスにおけるバランスの変化が学習に影響し、このバランスの変化が自閉症の病変形成をもたらす因子の一つであろう。

A Neuroligin-3 Mutation Implicated in Autism Increases Inhibitory Synaptic Transmission in Mice
p. 71 - 76.
MEDICINE:Testing Hypotheses About Autism
p. 56 - 57.


このような“自分以外に関心がない”資質の場合は、どのように考えたらいいのだろう。

“天才(サバン症候群 etc)”が“自閉症(アスペルガー症候群 etc)”のなかに多いというのは、アインシュタインなどの例もあり、けっこう知られた事だが、この論文にあるように『このマウスは空間的な学習スキルは上昇したが、社会的相互作用面では損なわれている。』ってのが、そういうことなのかなぁなどと、思ったりした。

まわりに関心がなければ、公正さと言うもの自体にも関心を示さないだろう?!

ということは、天才はある意味サル以下なのか?それとも、光市母子殺害の犯人を“死刑”にする事に“反対”する人は天才なのか?

死刑廃止論者のロジックはとどのつまり、『死刑は犯罪防止の抑止力にならない』であり法律論からの刑罰の意味を“こねくり回して”いる訳だが、中には“公正さ”の感覚が欠除している人がいそうなのだがどうなんだろう?

感情的には『あの犯人は殺したいくらい憎いけど、理性的に考えると死刑には・・・』って事なら、死刑廃止論にも聞く価値はあるとは思うけど、無残な方法で二人も殺しておきながら、犯人はのうのうと生きる・・・この状況が“公正”と感じるなら、やっぱりその人は“サル”並みの感覚だと言わざるを得ないんじゃないかな。


でも面白いもので、亀田兄弟が世間から苛められれば苛められるほどに、私の中では『ちょっと、かわいそう』って感情が芽生えてきてしまう。(天邪鬼って言われそうなんだけど、ちょっと違うんだよねぇ)

プリズンブレイクでは、ティーバッグ!こいつの事を妻なんぞは『マイケル、はやく殺して!』なんて叫んでるんだけど、私は生き延びて欲しかったりしちゃう。いや、最初は憎ったらしくって、『このヤローだけは、生かしちゃおけねぇな』なんて思ってたんだけど、だんだんと気持ちが変わってきちゃったんだよね。


こういう感情の変化!これって、一体、なんなんだろう?


中東では“神話”の世紀からの“憎しみ”を引きずって殺しあっているっていうのに、私なんぞは、その憎しみってヤツも、時間とともに変化してきちゃう!?

遺伝子だけで“脳機能”が決定されない事は、ほぼ、周知の事実になりつつあるけど、そういうエピジェネティックな因子(miRNA や siRNA みたいにジェネティックに近いエピジェネティックだけじゃなく)が“多様性”ってヤツを生んでるんだろう。だから、全滅するまで戦いつづけない?おかげで、ユダヤ人もアラブ人もキリスト教徒も滅んでいない?戦後の日本もしかり?厳密にやらずに、適当がイイ?っていうか、適当にしか出来ない?

(しかし、グリア細胞がニューロンネットワーク形成に一枚噛んでいたなんてねぇ・・・。単なる支持・栄養供給、バリアすなわち BBB の機能の一部を担ってるだけじゃなかったんだねぇ)

神経細胞のロードマップ(Neuronal Roadmap)

Science October 5, 2007, Vol.318

神経系が成長する際、特有の介在ニューロン結合のネットワークが形成される。

Colon-Ramosたち(p.103)は、ネットワークの支持組織であるグリア細胞がこれらのネットワークを作るに必要なロードマップを提供していることを見出した。

特定のグリア細胞がネトリンを発現し、このネトリンがシナプス後ニューロンに結合場所を教え、そしてシナプス前ニューロンに結合に必要な下部構造を作る場所を教えている。

グリア細胞におけるネトリン発現の局在化が、正しい位置での神経細胞のシナプス-構築形成に役立っている。

Glia Promote Local Synaptogenesis Through UNC-6 (Netrin) Signaling in C. elegans
p. 103 - 106.


こうしてみると、生物の“多様性”ってのは、多様性にする事が難しいんじゃなくって、単一性にする事の方が難しくって、放って置けば“多様性”になっちゃう!

こんなに複雑な制御系を単一に留めておく方が、よっぽど難しい。逆に言えば程よく単一に出来たから、生命は進化し、種を増やしたんだけど・・・単一にとどめる始まりが細胞膜を以って、環境と隔てる事に行き着くなら、やっぱり、大変なエネルギーを必要とするわけだよ。

エントロピーは拡大する方向に・・・・は真理なんだね。(なんだか、今回は思いっきり雑感だ)

2007年10月15日

ピロリ菌が胃の細胞を延命 持続感染の仕組みを解明

20071015_EMpylori.jpg大腸菌の片利共生機序がまだ一般に知れ渡ったとは思えない今日この頃、またまた、常在菌であるピロリ菌の生体に及ぼす驚くべき影響が解明された。これを単なる驚きで終わりにしないで、無闇に“除菌・抗菌”への戒めまで高めてもらいたいところである。

知らない方の為に、大腸菌のスゲぇ~戦略をもう一度記しておくと、、、、

腸の上皮細胞は一定の時間で役目を終えて剥がれ落ち、その下から新しい細胞が分化してくる。そのターンオーバーは通常1日(24時間)といわれているが、大腸菌に新たに見つかった遺伝子は、この細胞のDNAの二重鎖切断を引き起こし、次には有糸分裂を妨害すると。大腸菌は細胞周期をブロックすることによって、腸管上皮の更新速度をゆっくりにしているのだ。

この事は、大腸癌の発生における微生物の役割についても示差している。

大腸癌だけに着目すれば、除菌することで目的(がん予防)が達成できるかのように見えるが、話はそんなに簡単とは思えない。更新速度をゆっくりにしている事が、臨床的な“がん”発生を抑制している可能性もあるからだ。

まっ、とにかく、抗生物質(抗菌剤)の乱用の抑止になればと思うんだけど、でも、抗生物質が完璧に細菌を駆逐しているかというと、いままではそんな事はないわけで、適当に“効いていた”から重大な影響が顕れなかったともいえるわけで、製薬メーカーが“完璧な”抗生物質を作り出すまでは、そんなに気にしなくてもいいし、そんなものは作れないのかもしれないけど。。。。

記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2007年10月11日】

 胃がんや胃かいようを引き起こすとされるピロリ菌が、感染を維持するために、胃の粘膜細胞の寿命を延ばしていることを笹川千尋(ささかわ・ちひろ)東京大教授(細菌学)らが突き止め、11日付の米医学誌に発表した。

 ピロリ菌の感染が長期間持続する仕組みの一端を解明した成果。抗生物質が効かなくなった耐性ピロリ菌でも除去できる新しい治療法の開発につながるという。

 笹川教授は「感染の足掛かりとなる胃の細胞が脱落するのをピロリ菌が食い止めている。これは驚くべき作用だ」と話している。

 ピロリ菌は、胃粘膜の細胞に感染するが、人間はそれに対抗するため細胞を次々に増殖させ、役割を終えた細胞を"自殺"させて、2-3日で表面の細胞を入れ替える防御機構を備えている。

 チームは、ピロリ菌に感染すると人間と同様の症状を起こすスナネズミで実験。細胞死を促す薬剤を経口投与したところ、ピロリ菌に感染したネズミでは、細胞死が感染していないネズミの約半分だった。

 さらにピロリ菌が分泌する病原性タンパク質CagAに着目。CagAを分泌しないピロリ菌を人工的に作り、感染させると、全く感染していないネズミと同程度の細胞死が起こることも確認された。チームは胃の細胞内に分泌されたCagAが、細胞死を抑える物質の働きを高め、細胞が延命されたとみている。


共同通信社の報道では、あくまでピロリ菌は“除菌”すべき“憎き敵”であり、この発見は除菌を成功させる新しい手段を得る為に利用できるというところを強調している。

しかし、、、、

単純に考えてもヒト(だけじゃなく全ての生物)の進化は細菌と共にあったわけで、その膨大な時間をかけて試行錯誤されてきた結果(共生状態)を、簡単に否定すべきじゃないと思うのだが、20世紀初頭のコッホに始まる細菌学の金字塔が、病原とはならない微生物をも除菌したほうが良いと言う“勘違い”に導き、除菌する事への“マイナス面”を隠蔽し忘れ去らせてしまったのだろう。このような報道の論調がそれを助長する。

さらに、近年のオフィスにおいて“脂ぎったきたないオヤジ”を罵る事に、何の躊躇いを感じなくなった世相が『オヤジの触ったモノは除菌すべし』を“良い事”にしてしまった事が“除菌”を助長していることは否めない。

そういうオフィスで慣らされた女性達によって、育児の現場は“除菌化”商品で埋め尽くされ、小さい子供達の遊び場や子供が外から帰ってきた時には“清潔癖”と見紛うばかりの“除菌作戦”を“普通の事”にした。

環境を不衛生にしろと言うつもりはないけど、行き過ぎたら“良くない”という立場が存在しない現状は、憂慮すべきだと思う。

自分達が子供の頃当たり前だった事、例えば手を洗わないでおやつを食べたって病気になんかならなかった。(躾の面からは大切だけど、衛生面からは的外れなのだ)風邪引いたって“抗生物質”なんて飲まなくたってケロって治ってた。怪我したって、たいした手当をしなくたって何時の間にか治ってた。

ごく普通に身の回りにいる細菌が悪さなんてしてなかったのだ。そして悪さどころか、これらがいたから“強毒の病原菌”から身を守れたともいえるのに。。。。

こんな事すら、忘れちゃうんだよね。人間って。(常在菌が病原菌に変身するのは、人の側の状態が変化するからだ。免疫不全状態にね。そして、人間は風邪をひいたくらいでは免疫不全にはならない・・・・。報道だけでなく資本主義経済と消費社会に医療、医学・薬学を馴染ませようとする事も事態を複雑にしている。。。おっと脱線)


というわけで、話をピロリ菌の除菌に戻すと、、、

ピロリ菌に感染しているヒトと感染していないヒト、この両者が存在しているわけだが、現在はピロリ菌に感染しているヒトのデメリットだけが強調されている。

だけど、ピロリ菌に感染していないヒトにとって、100:0 で有利なんて話があるんだろうか?ピロリ菌って、最近になって現れた菌なのだろうか?最近だとしたら進化に影響はしてないよなぁ・・・・・。

夏目漱石はピロリ菌保持者だったんだろうか・・・・。


まぁ、なんにしても、ピロリ菌がいても“なんでもない人(病気じゃない人)”まで除菌する事はないのは言うまでもないだろう。必要なのは“病気で辛い人”に限るべきだ。

遺伝子型と臨床像を結びつけるのは・・・・・、難しいのだから。

そして、ピロリ菌保菌者のうち発病しない人の遺伝子プロフィール・・・・これが気になるのは、私だけではないはず。。。。CagA が全ての人の胃粘膜細胞の細胞周期に影響を与えるのか?与えないとすれば、その多型が発症するしないの分水嶺なのか?そもそも、多型が存在するのは何故なのか?与えるなら、何が決め手なのか?そもそも、分水嶺が一つもしくは、少数の遺伝子で説明できるのか????

2007年10月20日

抗ウイルス作用をもつ miRNA と 要らない心配?

20071020_fireman.jpg老婆心っていうのかな?こう言うのって。

(『転写を“火事”とみれば、miRNA はFireman である。』by Oh!NO)

細胞:抗ウイルス作用をもつmiRNA

Nature vol.449 (7164), (18 Oct 2007)

植物と無脊椎動物は、ウイルス感染に対する防御機構としてRNAサイレンシングを使うことができる。

今回、細胞内マイクロRNA(miRNA)に抗ウイルス機能があることが、哺乳類の細胞でも明らかにされた。

インターフェロンβは、ヒト細胞に存在する多くの細胞内miRNAの制御に関与し、その中の8種はC型肝炎ウイルスの塩基配列に対して活性をもつ。

また、細胞内miRNAの存在量の調節がインターフェロンβの抗ウイルス作用に大きく寄与することがわかり、これは、miRNAが哺乳類の自然免疫応答の機能成分であることを示唆している。

Letters to Nature p.919


であるなら、
マイクロRNAがバランスをとっている (MicroRNAs Strike a Balance)

Science October 12, 2007, Vol.318

数百のマイクロRNA(miRNAs)が数千の標的メッセンジャーRNAs(mRNAs)を抑制していると考えられているが、しかしながら、個々のmiRNA-mRNAペア間の相互作用を調べるのは困難であった。

Choiたち(p.271,8月30日のオンライン出版)は、ある一つのmiRNAと特異的な標的部位間のその相互作用をブロックする方法を開発した。

miRNA結合部位に相補的なアンチセンスのモルフォリノオリゴヌクレオチドにより、特異的なmRNAをmiRNA-介在の抑制から保護することが出来た。

この技術をゼブラフィッシュの胚形成に適用して、彼らは、miRNA miR-430がNodalシグナル伝達経路のアンタゴニスト(拮抗物質)とアゴニスト(作用物質)を抑制していることを見出した。

抑制が失われると、シグナル伝達の不均衡と異常な発生が生じた。

Target Protectors Reveal Dampening and Balancing of Nodal Agonist and Antagonist by miR-430
p. 271-274.1

20071020_miridian_01.jpgこんなことを利用して遺伝子発現を制御しようとする事、すなわち miRNA 機能を阻害するような物質を与える事は、ウイルスの miRNA に対する耐性を与えてしまいやしないのか???


こんな心配なんて、miRNA を抗ウイルス薬として自由に使いこなせるようになってから(何十年先の事やら)で良いのだろうけど、抗生物質“乱用”すら是正出来ない日本人には、こんな薬が出来ちゃって、それを人間の英知の結晶とかマスコミがもてはやしたりしたら、、、、それは恐ろしい。


ところで、言語学(ってヤツがどんな事をする学問なの知らないのだけど、それ)的に考えると、言語の違いによって“ある状態”が何処まで正確に言い表す事が出来るのか?と、ふと疑問に思い、日本語ってつくづく曖昧だなぁなんてしみじみ思った今日この頃。

例えば、『~~~は、まだよくわかっていない』という表現だが、これって曖昧で実態を言い表していない。

『わかっている』一つとっても、漢字で書けば『解っている』『分かっている』『判っている』などあるのだが、文章を書く時、これらの漢字の意味の違いを正しく使っている人って、どれだけいるんだろうか?

辞書など頼りに私流に解釈すれば、
『解っている』は、理解されている。英語では understand に相当する。
『分かっている』は、知っている。英語では know , get に相当する。
『判っている』は、判断がつく。英語では tell , judge かな?

とにかく、いっぱいある!日本語が学術論文に向かない理由もこの辺にあるんだろう。漢字がある分、単語が増えなかった??

kmoto さんがリチャード・ローズ著『死の病原体プリオン』のエントリーで書いている事が、ちょうど良いのサンプルになりそうなので使わせて頂く。『プリオン蛋白が何に使われているかわからない』という記述の『わからない』がすごく“解りやすい”と思うので。。。(強引なトラバネタでゴメンナサイ・・・苦笑)

一般的に一つの研究結果も出ておらず、それに関し全く何も知られていない事の場合に『わからない』を使うのだが、これは、『nothing な事を知っている』と言う意味になると思う。
しかし、色々な研究結果が出ているのだが、どれも核心を突くには至らず混沌としており“理解できない”状態でも『わからない』を使うだろう。

プリオン蛋白の場合、後者だ。

この場合は、おなじ『わからない』でも実態には大きな違いがあるにもかかわらず、、、である。一般の方には、専門に学んでこなければそれがどちらなのかは判断つかないのだが、でも、判断がつかなくても全く実害はない。結果は同じだからどちらの場合にも『わからない』で差し支えない。プリオンの機能が解ろうが解るまいが、病気になれば手の施しようが全くないし、もし、治療法が見つかったとしても100%致死の疾患に治療の是非の議論の余地はないからだ。

しかし、ここまでで話が終われば良いんだけど、『わからない』が一人歩きすると、本当はある程度解明されていてる事でも『わからない』と言った事が、全く解明されていない『わからない』と誤解されたり、その逆があったり、医療従事者(医師、薬剤師)により、その表現がまちまちになってしまって、言われた方は混乱する・・・・・、

このような状況が、今日の医療不信の根になるんじゃないのか?とふと思ったから、言葉って・・・・となったのである。

例えば副作用。

副作用の起きる機序なんて、似たような表現形でも違う場合もある。鎮痛薬の胃障害は“作用”だから増量すれば100人に発現させられるけど、こんなのは例外中の例外で、ほとんどは飲んでみなきゃわかんない。

この『わかんない』が、まったく解明されていないのかというと、そんな事はなく、かなり“解っている”のだけど、代謝酵素の多型なんて次元ではなく一卵性双生児だって、寸分たがわぬシーケンスの発現がエピジェネティック(siRNA , miRNA を含む)に影響される事を考えれば、地球上に誰一人として、同じ人間なんていないんだから、同じ薬を同じ量飲んだって、同じように副作用が出るわけじゃないので、『わかんない』って事になる。

『あそこでは、ただ“わかんない”って言われたけど、こっちでは懇切丁寧に説明してくれた』。これ、懇切丁寧な説明は良いけど、とどのつまり、その個人にとって“副作用が出るのかでないのか”の説明にはなっていない。

でも、結果が同じなのに、『わかんない』と『わかったようなわかんないような、丸め込まれた』では印象が違うわけだ。

まぁ、私なんぞは、副作用が出たらその対応だけはしっかり説明しなきゃならんと思ってるけど、可能性としての副作用を羅列して無闇に心配させるのがイイとは思わないし、必要以上に副作用を恐れてもねぇ!?

難しいのは、副作用が出ても、想定内で対応できればイイのか?っていうと、人(患者)によっても違うって事だろ。副作用が出ただけで、怒り出したり、治療に失敗したことにされてしまったりと、少なからずあるからねぇ。

これは、マスコミによる不確実なモノの筈である“医療”が確実なモノであると誤解させられている事によるところが、非常に大きいと感じている。


そして、副作用の質である。

服薬による有害反応がその個人に限定されるにしても話はややこしいのに、耐性菌出現のように社会問題化すると、また、話は一段とややこしくなる。

抗生物質が“好きで好きでたまらない”人に、このケースでの服薬はメリットはなくデメリットだけだよと説いても意味はない。

一旦、大衆に広がってしまった“都市伝説”を否定するのは難しい。“病院の屍体洗いアルバイト”や“黄色い救急車”、“芸能人カップルが膣痙攣で運び込まれる”なんてのは、殆どの人が眉に唾付けて聞いてると思うけど、医薬品の効果に関しては、そうはいかない。

例えば、知り合いが抗生物質で一命を取り留めたと聞けば、自分の病気も抗生物質で治るんじゃないか?と思ってしまう。大衆にとっては、その作用機序の難解さ(大衆には anti biotics だけでも難しい上に、それだけじゃない作用もあるから余計に!)からくると思うんだけど、なんの病気にでも効く万能薬であると思い込みがあるように感じる。


これはまさに都市伝説である。


そんな事で、将来、人類が手に入れるであろう“抗ウイルス薬”に対しても、要らぬ?心配をしてしまうのである。根拠のない心配ではなく、そういうことなら、こうなるのが必然ジャン!ってくらい、妥当性はあると思うんだけど・・・・・。

miRNA や siRNA による遺伝子発現調節機構を、『まだ、よくわかっていない』と表現する場合もあるだろうけど、すでに、こんな“耐性ウイルス出現”を危惧する事を考察できるほど、解っている分野でもあることを“わかって”ほしい・・・と。


で、これこそが、老婆心なんだろうなぁ。

p.s.

でも、siRNA , miRNA って意外と早く臨床応用できるのかも?!

がん細胞狙い撃ちし、抑制 新療法の可能性、名古屋大

記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2007年10月15日】


 遺伝子情報伝達を担うリボ核酸(RNA)の働きを邪魔する「RNA干渉」という現象を利用、がん細胞を狙い撃ちにして胆管がんの進行を抑えることに、名古屋大の浜口道成(はまぐち・みちなり)教授(腫瘍(しゅよう)生物学)と国料俊男(こくりょう・としお)研究員らのグループがマウス実験で成功、米国のがん研究誌に15日、発表した。

 副作用を伴わず、末期でもがんの進行を抑えて延命効果を得たという。現在外科切除しか有効な手だてがないとされる胆管がんに新たな治療法が生まれる可能性がある。

 グループは、胆管がん患者十数人の細胞増殖に関係する遺伝子1176個を解析。がん組織では「Nek2」という遺伝子が活性化していることを発見。この遺伝子の活動を抑えるのにRNA干渉を利用した。

 浜口教授らは、遺伝情報をコピーしタンパク質合成を指示する役割のメッセンジャーRNAに着目。メッセンジャーRNAを分解することができるリボ核酸のsiRNAを、Nek2を標的にするよう人工的に設計。そのsiRNAをメッセンジャーRNAにくっつけると、分解し、がん細胞は自ら死滅したという。

 実験で、浜口教授らはこのsiRNAを人の胆管がんを移植したマウスに注射。その結果、がんだけが小さくなって死に、ほかの正常な細胞に影響が出なかった。また胆管がんが腹部に拡散し外科切除で治せない末期のマウスのうち、siRNAを注射したマウスだけが1回の注射で1週間程度延命、副作用もなくがんの進行を抑えられた。

 同じ方法で膵臓(すいぞう)がんと乳がんの抑制にも成功。大腸がんにも応用できる可能性があるという。

 浜口教授は「人体に投与できる薬の開発を進めたい。またこの方法でがんを小さくできれば、これまで治療が困難だった末期患者にも外科切除の余地が出てくる」と話している。

2007年10月29日

情けは人の為ならず

20071029_contribution.jpg『情けは人の為ならず』って言葉の意味を勘違いしている人が多くなっているのだそうだ。

本来の意味は“利己主義”な発想なのだが、最近では“利他主義”的な発想に変化しており『情けをかけるのは、結局、その人の為にはならない』と認識しているのだと。

まぁ、そんな事はどうでもいいが、“利他主義”に“的”を付けたのには意味がある。

結論から先に言うと、日本人に本当の意味での“利他主義”はいないからだ。自己犠牲の上に成り立たない“無責任”な“他人を思いやる気持ち”は、利他主義ではない。私が偽善者と呼ぶ人間達の振る舞いを見れば、よくわかる。

民主党が呪文のように唱えている“生活が一番”や“格差解消”などは、その一面しかみていない、欺瞞を大量に含んだ“甘い罠”なのだが、国民は“耳ざわり”の良い言葉にコロッと騙される。

格差社会のもう一つの面を知れば、話は単純ではない事がわかるはずなのに。。。。


超・格差社会アメリカの真実』のような本が良く売れているらしい。中身は、自由の国、豊かな国であるアメリカには、想像を絶する格差が存在し、機会の平等を詠っているくせに、閉鎖的な一部の金持ちよる金持ちの為の社会が形成されているのだと、スキャンダルを暴露するかのような“論調”で書かれている事が、売れる原因の一つなのだろう。確かに“暴露して”溜飲が下がる類のものだ。

私は、この実態を否定するつもりはさらさら無いし、それが現実なんだと思う。でも、私は、それが“諸悪の根源”だとは考えない。


その格差社会のもう一つの側面を見ると、単純に否定できなくなってしまうからだ。

欧米ではがん研究の資金はその多くが寄付で賄われている。アメリカでは寄付の総額が年間60兆円を超えており、その80%が個人献金によるのだそうだ。

日本ではどうか?

第66回癌学会学術総会でのセッションの最後に行われた討論会で日本の“お寒い現状”が示されたが、あまりの額の少なさのせいか具体的な数字すら提示されなかった。個人献金の割合も3割程度であり、日本人は決して“利他主義”な民族でない事がわかるエピソードである。


このような事実を突きつけられると、宗教観に原因を探すのが易しいと思う。宗教の文字を出すと、戦争につながる排他的な原理主義と勘違いされるかもしれないので、道徳教育と言い換えてもいいのかもしれない。

日本ではこの“道徳教育”すらまともにやろうとしていない。どこかのバカな連中が『戦前の軍国主義に戻るから』などと言っているせいだ。

なんにせよ、富める者が最後にはその富を還元する事で平等が実現されるというプロテスタントによる資本主義の考え方が、60兆円の8割にも及ぶ額を寄付させる原動力になっている事は否定できないだろう。


基本的に、利他主義になれない日本人にとっては、『最終的には自分の為になるのだから、人に施しを与えよ』とするほうが、合っているのだ。


文化庁の調査結果をまともに分析するなら、日本人は“インチキくさい思いやり”は増長し、ますます“自分勝手”な民族になっていくのだろう。『最終的には自分の為になるのだから、人に施しを与えよ』と教育する事が大事だと思うんだけどなぁ・・・・。

宗教の時間や道徳の時間をもっともっと増やしても良いんだけど、多分、効果は薄いだろうからね!だって、休日に車でお出かけすると、自分勝手な“お父さん”だらけに辟易するくらいだから、こんな背中を見て育ちゃぁ・・・・・・・。(自分勝手な行動を取るのはワンボックスのミニバンに乗っている“お父さん”が圧倒的に多い。『衣食足りて礼節を知る』の逆なんだろうと、私は分析している。。。。)

2007年10月30日

実験用マウスに膨大な遺伝子変異

20071030_mouse.jpgまずはじめに、10月24日に開かれた《リン酸オセルタミビルの基礎的調査検討のためのワーキンググループ》にて、“タミフル”の服用と異常行動との因果関係を確認するために必要と考えられる複数の非臨床試験の結果が中外製薬から報告された。

で、この目的に添って試験させた結果を踏まえワーキンググループが出した答えは『試験の結果自体は信頼に足るが、現時点では、タミフルと異常行動との因果関係については言及できない』という、わかったようなわかんないような、曖昧な結果になった。


これらは何を意味するのか?

これらの試験結果だけで因果関係を説明できるはずも無いことは当然だが、概ね標準偏差の中央に位置する遺伝子型の人にとっては、因果関係が無い(臨床的にも有害反応は出ていない)と言えることは間違いない。そして、なんにせよ、こんなことはどうでもよい!

重要な事は、神経症状の原因をタミフルに求めるなら遺伝的な個性(遺伝子多形)に言及しなくっちゃならないってことだ。

『そこに行き着きたくは無かった』っていったって、結局、偽善者達が大好きな“平等”とはかけ離れた答えを出さなきゃならならなくなるのである。(日本国民は揃いも揃って自分に都合の悪い事実は受け入れたがらない傾向にある。英語圏ではジョークを見ても判るように『良い知らせと悪い知らせある』と、必ず悪い方も伝える。言語が性質に影響しているのか、性質が“あいまいな”日本語を作り上げたのか?)

ポケモン騒動の時には、ポケモン番組がてんかん発作の引き金になるわけじゃなく、てんかんの素因(遺伝子多形)を持った子供達が発作を起こしただけってのが事の真相なのに、“てんかん素因”のあるなしを宣告出来なかった、そして宣告されたくなかったとの気持ちが働いて、その事実が無視されてしまった。

そして、ポケモンに責任を押し付けて、ポケモンから“チカチカ”を消しちゃったのだ。ポケモンのアニメから“チカチカ”を滅失しても利益を損ねる人はいないからいいとして、現状のような答えの求め方をし続けた結果、タミフルをも“滅失”することになったら・・・・・。

さっさと、遺伝子多形での試験を開始しろっての!それとも何処かでやってるのかな?(それとも、神経症状を呈した患者から遺伝子サンプルが得られなかった??)

と、いつもの調子で、わめいておいて、、、、、

「タミフルと異常行動」に新データ

2007. 10. 25

 厚生労働省が設置した「リン酸オセルタミビルの基礎的調査検討のためのワーキンググループ」の会議が10月24日、開催された。同ワーキンググループは6月16日に開催された第1回会議で、リン酸オセルタミビル(商品名:タミフル)の服用と異常行動との因果関係を確認するために必要と考えられる複数の非臨床試験の実施を中外製薬に指示していた。このほど中外製薬から、試験の一部について報告がされ、その結果を検討した。

 今回、結果が報告されたのは、

(1)非ウイルス・シアリダーゼ(特にニューロン組織由来シアリダーゼ)のOP、OC選択性の確認。中枢性作用に関連する受容体とのバインディング・アッセイ
(2)脳内での暴露に関連する能動輸送過程(トランスポーター)に関するin vitro試験
(3)ラットにおける脳、脳脊髄液および血漿中濃度の測定。
(4)脳内のカルボキシルエステラーゼ1(hCE1)による未変化体の代謝(エステル加水分解)に関するin vitro試験(脳組織)
の4本の試験。

 1本目の試験は、オセルタミビルがノイラミニダーゼ阻害活性以外の薬理作用があり、それが原因で副作用が生じていないかどうか、について知見を得るために実施された。中枢神経系の機能に関連する受容体やイオンチャンネル、酵素といった155の蛋白質(ほとんどがヒト由来)に対して、オセルタミビルおよびオセルタミビルの活性代謝物が、何らかの影響を与えるかどうかを観察した。試験の結果、高濃度でも影響を与えないことが明らかになった。

 2本目の試験は、経口摂取したオセルタミビルあるいはその代謝活性体が、血液脳関門(BBB)を通過して脳に蓄積するかどうかを検討するための基礎試験。まず、BBBの内側に入った薬物を外側に運びだす役割を持つ「P-糖蛋白質」に対し、オセルタミビルは高い親和性を持つ(結合する)ことが分かった。つまり、オセルタミビルが濃度勾配による受動拡散でBBBを通過しても、P-糖蛋白質と結合して基底膜側から管腔側へ運び出されることが示唆された。

 一方、オセルタミビルの活性代謝物は、P-糖蛋白質によって輸送されないことが分かった。ただし、オセルタミビルと異なり受動拡散しにくいため、そもそも活性代謝物はBBBを通過しない(脳内に移行しない)可能性が示唆された。

 3本目の試験は、成熟ラットにオセルタミビル10mg/kgあるいは100mg/kgを静脈内投与した後、5分~8時間後の血漿、脳脊髄液、脳中の濃度を測定するというもの。脳脊髄液のオセルタミビルとその活性代謝物の濃度は、血漿中濃度に比較して低いことがわかった。脳中濃度は現在測定中で、今回は報告されていない。

 4本目の試験は、オセルタミビルが脳内で活性型に代謝されるかどうかについて検討するために行われた試験管内試験だ。もしもオセルタミビルが速やかに脳内で活性代謝物に変化するのであれば、受動拡散でBBBを通過したのち、P-糖蛋白質と結合しない活性代謝物になって脳内に蓄積する可能性がある。

 試験では、7日齢と42日齢の雌雄ラット由来の脳と肝をすりつぶして、オセルタミビルを活性体に代謝する能力を試験管内で評価した。その結果について、中外製薬は「幼若および成熟ラット脳でのオセルタミビルに対する試験管内カルボキシルエステラーゼ活性は低かったことから、この代謝経路によって脳内で活性代謝物が生成される可能性は低いことが示唆された」と結論している。

「因果関係については言及できない」
 これらの報告を受けたワーキンググループの見解は、「試験の結果自体は信頼に足るが、現時点では、タミフルと異常行動との因果関係については言及できない」というものだ。

 今回の報告には、6月の会議で実施が指示されていたもののうち、「静脈投与した際の脳内のオセルタミビル濃度」「脳に直接オセルタミビルや活性代謝物を投与した場合の影響」「幼若ラットと成熟ラットを使った毒性試験」などに関する試験結果が含まれていない。そのため、「基礎研究の立場から」と断ったとしても、現時点では因果関係についての言及はできないというわけだ。今回報告されなかった試験については、結果が得られ次第、ワーキンググループに報告されることになっている。

 一方、基礎試験の実施が指示された際、同時に「臨床的調査検討のワーキンググループ」は中外製薬に対し、市販後臨床試験の実施を指示していた。その試験の中間報告も、近く行われる見込みだ。既に情報収集は終了し、解析と結果のまとめが行われている段階だという。この結果が出れば、基礎試験と臨床試験の主要なデータが出そろうことになる。

 これらとは別に、1万人規模の患者を対象とした「インフルエンザに伴う随伴症状の発現状況に関する調査研究」も、厚労省の研究班が解析を進めており、その解析結果も近く公表される見込みだ。これらを受けて厚労省は、10歳代のインフルエンザ患者に対してのタミフル投与を原則禁止としている現状について、改めて見解を示す見通し。ただし、作業は全体的に遅れ気味で、2007/08年のインフルエンザの流行が始まるまでに間に合うかどうかは、微妙な情勢になっている。

 なお、指示されていたこれらの試験のほか、中外製薬は独自の判断でさらに3本の試験を実施し、その結果を同ワーキンググループに報告した。

・ウサギPurkinje繊維活動電位試験結果の再解析
・未変化体の代謝障害時を想定したPKシミュレーション解析
・循環器系の基礎および臨床試験成績に関するエキスパートレポート

 中外製薬は、「これらの試験の結果は、タミフルの心血管系への安全性を支持しており、これまでの非臨床および臨床成績と一致している」と結論付けている。


ところで、今まで遺伝的にクローンだとばっかり思い込んでいたマウスが、実は個性たっぷりの存在だったってことには、ビックリした。

ってことは、タミフルの試験につかった“ラット”でもいえる事なのか??もしそうだとしたら、返ってその方が都合が良い?いろんな個性の持ち主にタミフルを投与して、神経症状が惹起されたラットとそうでないラットの遺伝子の違いを調べれば・・・・?

実験用マウスに膨大な遺伝子変異

〔米メーン州バー・ハーバー〕 マウスは長年にわたり実験動物として汎用されてきたが、以前のマウス研究の一部の知見に疑問を投げかけ、さらに将来の動物実験とそれに由来する臨床試験にかなりの影響を与えると予測される新しい知見が得られた。


DNA配列の変異は830万

 広く用いられている研究用マウス系統の大半は、以前考えられていたよりも多くの遺伝子変異を有しているようだ。これまでマウスのDNA配列の変異は14万と言われていたが、実際は830万もあることが判明した。

 これは何を意味するのだろうか。ノースカロライナ大学(ノースカロライナ州チャペルヒル)遺伝医学科のFernando Pardo-Manuel de Villena准教授によると、遺伝子変異に関する知識はヒト疾患のモデルとして実験用マウスを最大限に利用するために必要不可欠である。

 同大学とジャクソン研究所(バー・ハーバー)の共同研究による遺伝子変異に関する新たな知識から、同准教授は「各種のマウス系統の起源と関連する長年の推測の多くが否定された。われわれの結果を考慮して、これまでの研究の結論や将来の研究の設計を再評価する必要があるだろう」と述べている。

 同研究所のGary Churchill博士は「一般的な実験用マウスはわれわれが思っていたようなものではない。これらのマウスはほぼ完全に 1 つの亜種(92%はMus musculus domesticus)由来で、これまで信じられていたように 3 種に由来するのではないことをわれわれは証明した」と付け加えた。


薬剤への反応の決定にも重要

 これらが重要な理由について、研究者らはさらに説明している。マウスの祖先に関する誤った推定は、ミトコンドリアとY染色体のテストで判明したように、どの薬剤がどの症状に有効であるかに関する結論に影響を与える。

 例えば、Pardo-Manuel de Villena准教授によると、あるマウス系統が特定の祖先を持っていると推定して、それが間違っていた場合は研究が無意味になるかもしれない。しかし、この研究で発見された多数の遺伝子変異についての新しい知見に関する限り、話はこれで終わらないと考えている。

 同准教授は「830万の遺伝子変異のうち、どのくらいが実際にノックアウトされ機能を失っているかを確認する予定だ。自然界からこの情報が得られれば、これら遺伝子の機能と疾患との関連を研究することができる」と述べている。

 さらに、このことは特に薬剤の開発や、異なる集団がどの薬剤にどのように反応するかの決定に重要であると付け加えている。

 この情報は、ヒト疾患を模倣するマウスの世界最大のコレクションを有する同研究所が発表したもので、「ショートコース」と呼ばれる毎年恒例の教育プログラムのスポンサーである。

 また同研究所のHyuna Yang、Churchillの両博士、ノースカロライナ大学のTimothy A. Bell博士とPardo-Manuel de Villena准教授による"On the subspecific origin of the laboratory mouse"というタイトルの論文がNature Genetics(2007; 39: 1100-1107)に発表された。

 今回の研究は、米国立総合医科学研究所(NIGMS)の支援を受けた。分析した15のマウス系統の遺伝子データは、米国立環境衛生科学研究所(NIEHS)から提供を受けた。


Pardo-Manuel de Villena准教授が言及しているように、医薬品開発の要所要所で使われる実験動物が、遺伝的にクローンであるとの前提で試験していたとなると、この前提が崩壊する事の意味するものは・・・・?

中外製薬によるタミフルの安全性試験は、遺伝子の多様性は全く加味していない。ちっょとだけラットを使ってるけど、後は in vitro ってこともあるしね。

ラットがクローンであってもそうでなくても、その結果がヒトに当てはまるとは限らないし、また、もし、クローンだったら、結果にバラツキがででも良さそうなものなのだが、どうなんだろう。脳脊髄液中にタミフル濃度のバラツキはなかったんだろうか?

前提に思い込みがあるなら、結果の考察にもバイアスがかかるのは当たり前・・・。


クリーンな条件で試験しているつもりだったのが、実はそうではなかったとしたら・・・。

なんだか、良くわかんなくなってきちゃったよ、とほほ。

(よく判ったのは、医学は不確実性の塊だってことだ。だから、マスコミには、医学・医療は確実性があり、したがって結果が期待通りで無かった場合には、それは“ミス”であるみたいなスタンスでの報道は止めてもらいたいって事だ。今回は、この方向で書いてないから、括弧で括ってますよん)

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