食生活の改善よりも薬を選ぶ高血圧患者
JAMA Vol. 298 No. 2, July 11, 2007 の Medical News & Perspectives 『DASH Dietary Plan Could Benefit Many, but Few Hypertensive Patients Follow It』によると、降圧効果が証明されている食事療法「Dietary Approaches to Stop Hypertension(DASH食)」を実践している人は、5人に1人という結果だったそうだ。
当然研究グループの医師達はそれを嘆いているわけだが、私の素直な感想は『へぇ~、けっこういるんだぁ。アメリカ人なのに』であった。
ジャンクフード、ファストフード大国のアメリカで5人に1人はすごいんじゃないかなぁ・・・・、それに、DASH食は割高だから所得格差が日本の比じゃないアメリカでは、そんなことに金をかれられないんじゃ・・・・。
というわけで、日本ではどうなんだろう?
アメリカ人はもともとの食事内容が悪いんだから、DASH食みたいなもので降圧効果が得られる。でも日本人はもともと健康的な食事・・・?でもないかぁ!企業戦士(古い?)達は、まともな食事もせずに夜な夜な接待だったり、仕事帰りに一杯やりゃ、不健康でおいしいつまみをたんまりと食し。。。。食事内容なんて、良くないよなぁ?
余丁町散人さんのブログで、面白い事が紹介されていた。
日経コラム“経営の視点”で太田泰彦氏が、『ASEANの一角でこんな話を聞いた。「日本は残り物の市場。食のゴミ箱とも呼ばれる」「日本人自身は誤解しているようだが、日本の安全基準は国際的に見て極めて甘い」(食品加工企業の経営者)』と書いていると。
う~ん、アメリカの安い牛肉を圧力に負けて簡単に輸入してしまう事をみても、うすうす気づいてはいたが、日本は食のゴミ箱だったとは。。。。。(地球温暖化防止の京都議定書すら無視している国であるアメリカは、日本の食の安全なんて考えるわけもないのだが、日本人はお人よしだからねぇ・・・)
吉野家の牛丼を平気で食べている人を見ると、哀れだなぁと思っているのだが、その昔、この牛丼屋は『やったぜパパぁ~、明日はホームランだっ』ってコマーシャルをやっていた。これで財をなしたのか、今ではあの“松井秀樹”にまで『明日はホームランだ』って言わせている。
プリオン入りの可能性が濃厚な安い牛肉を、政府がお墨付きを与えたから、いや、与えてなくて密輸した牛肉であっても吉野屋が販売すれば食べちゃう“脳天気”な人たちから搾取したお金で、松井秀樹までやられちゃうとは、、、、、事情を知らないで騙されているとはいえ、子供達に与える影響はでかいよなぁ。
閑話休題。根拠とか、エビデンスといった類ではなくて、まったく私見、偏見なのだが、日本人でも血圧が高いからといって、食事に気をつかってはいても厳格にやっている人となると5人に一人もいないんじゃないかと思う。塩分を控えているとはいっても、一日のNaCl換算での摂取量を知っている事なんて、ほとんどいないんじゃないのかなぁ。
DASH食っていうのは、ホントに収縮期血圧は11.4mmHg、拡張期血圧は5.5mmHg下るという。境界域の高血圧なら、服薬なしで血圧をコントロール出来るわけだ。また、これくらいのちょい高い人ってのが多いのだろうから、このような食事療法を厳格にすれば、かなりの人が降圧剤を使わなくてすむ・・・・・・のかもしれない。
でも、ぶっちゃけた話、食事療法と QOL は相反するものだ(と思う)。
『わかっちゃいるけど、味気ないもんねぇ』
この言葉を薬の副作用との天秤にかけても、私の中では患者さんにとっての答えは出せない。
というか私は、MEGA study よろしく、久山町研究での高血圧の影響などでも『それは、凄い』ではなく『そんなものなのか!』と解釈する立場だ。ちょっと高いくらいの血圧をほったらかしたとして、100%の人が脳卒中や心疾患で死ぬなら考えも変わるけど、そうじゃないでしょ?そうなる人のほうが圧倒的に少ない。そして、降圧薬を飲んでいたって、脳卒中や心疾患で死ぬ人が 0%にならないんじゃ、美味いもの食って運命を受け入れる選択肢は、個人に与えられてもいいんじゃないかと・・・・の立場をとっている。
だから、本音では食事療法なんて、嫌がる人に無理にやらなくってもいいんじゃないの?と思ってる。
そして、食事療法は医療費の問題も含まれている事を忘れてはならない。(財政面も個人のお財布も)
食事療法を厳格に薦めれば医療費(医薬品代)は少なくて済む。ここまでは、誰にでも直ぐ思いつく。でも、今朝のズームインで辛坊さんも言っていたように、医療費の半分は1割から2割の個人負担で議論の的になっている世代以上だ。
以前にも書いたけど、禁煙すると長期的には医療費が増大するって試算があるのは興味深い(たしか BMJ )。禁煙して長生きする人が増えるからっていうベースで考えてるみたいなんだけど、笑い飛ばせるほど単純ではないだろう。要は、一番お金のかかる高齢者の数が多くなるような生活環境を薦めると、医療費が嵩むって考え方だ。ブラックユーモアじゃないけれど、50~60歳台でポックリ逝ってくれる人が多くなれば、それだけ医療費は少なくて済む。
だから、食事療法は、医療費の高騰を招く・・・・・・?!
でも、「日本は残り物の市場。食のゴミ箱とも呼ばれる」なんて事らしいから、カロリーばっかりを気にしても本末転倒にもなりかねない。いろんな意味でね。