ここ2年くらい前から(エピジェネティクスの台頭とか、特にBTJ ジャーナル 2006年1月号の理研・林崎良英博士と東大菅野純夫教授の対談記事を読んだ影響はデカイ!)、私の中で遺伝子の概念が変わってしまった為に、現代医学(臨床医学)の根幹をなすパラダイム自体に疑問を持つようになってしまったんだけど、こういう"事件?"が勃発すると、ますますその疑いが確信に近づいていってしまう・・・・。
現代医学は、今となっては古典的な遺伝子の概念が中心で組み立てられてきた。アプローチ方法としては、まず、遺伝子を特定して、その遺伝子が何をしているのかを調べ上げ、可能ならば薬理学に転換する・・・ってヤツだ。(製薬メーカーは、今、必死)
そのパラダイムに、個々の遺伝子(産物=蛋白質や RNA)の働き(表現形への貢献度?)ってのは個々に論じられるものじゃなくって、その働きや変異した時の影響=表現形はシステムとしてのアウトプットであるという考え方に当てはめようとすると、無理が生じてしまうのだ。一つの遺伝子は、他に影響を与えず、また、与えられず、独立して表現形に対応するのなら、今まで通りのパラダイムで、なんら問題はないのだけれど。
例えば、ADA欠損症が遺伝子治療で改善できるって言う事(技術的な困難は考慮しないで)なんかが、臨床医学では、遺伝子が単独で働いたり、単に積み上げで考えれば良いような印象を強くしてしまったのかもしれない。今となっては、むしろ、この方が例外って考えた方が良かったかもしれないのに。。。
表面的に見える"高脂質血症""高血圧"を"証拠"に薬物治療することに関しては、いままでも『ナンセンスでは?』と書き続けて来たんだけど、『高血糖よ!おまえもかっ!』ってなると・・・・って事なのだ。(血糖値を下げる事には、マイスナ要因はないんだろうけど、どこまでってなると、古典的平均値じゃイカンって事・・・)
"高脂質血症""高血圧"は原因ではなく、遺伝子ネットワークのアウトプットに過ぎないんじゃないのか?だから、症状(検査値)を是正しても、予想と反対の結果が出ちゃうんじゃないのか?
に加えて、、、
厳格な血糖コントロールは良い事なのか?
ここで、米国ACCORD試験ってのが、どういうものなのかを知らない方に説明しておくと、、、、(日経メディカルオンラインより引用です。)
ACCORD(Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes)試験は米国立衛生研究所(NIH)が中心になって行っている大規模臨床試験。対象は、高齢で罹病期間が比較的長く、既に心血管イベントの既往があるか危険因子を複数持つような、心血管リスクが特に高い2型糖尿病患者。このような患者の血糖、血圧、脂質を厳格にコントロールすることで、心血管イベントのリスクが減るかどうかを明らかにするために企画された。対象患者1万251人(平均年齢62歳、平均罹病期間10年)という大きな臨床試験だ。
当然、厳格なコントロールは、イベント発生が抑制できるって事を証明しようとして計画された試験だ!だが、結果は、おおハズレ!!!
で、大騒ぎなわけだ。
その昔、腎不全患者に高蛋白質の食事療法を施してきたのと同じなのか??って。
その中間解析の結果、HbA1c 6.0%未満を目標とする血糖の厳格管理群において、全死亡が有意に増えていたことが判明した(厳格管理群14人/1000人・年、通常治療群11人/1000人・年)。これを受けNIHは血糖の厳格管理群の追跡を中止し、試験が終了するまでの今後18カ月間は、通常治療群と同じHbA1c 7.0~7.9%を目標とすることに決定した。
お仕事ブログで取り上げた『ENHANCE試験の結果は期待はずれ』ってのも、つい最近の出来事だ。
LDL コレステロールは下げた方が良い(に決まっている)。
血圧は下げれば下げるほどよい(に決まっている)。
血糖値管理は、厳格に行った方が良い(に決まっている)。
これはまさに『直立不動のビルの隙間からぁ~♪(崩壊の前日)』だよな・・・。
(カルメン・マキ&OZ、アレは(・∀・)イイ!)
結局、血糖値にしても血圧にしても血中脂質にしても、その人の最適値ってのがあって、遺伝子タイプの結果、そういう検査値を示すって事は、ホメオスタシスの範囲なのかもよ!(コレステロール値が高くって良い人を下げちゃうと、筋肉が溶けちゃったり)
そして、ゾウとマウスとイルカとヒトの寿命と老化速度が違うように、ヒトの中でも老化速度に個人差があるから、表現形を平均値に近づけることに意味が"出ない"のかもよ。
ヒトの体の組織・臓器は、細胞レベルで常に入れ替わっているものもあれば、一生、同じものを使っているのもあるわけだから、たとえ、表現形を変えて"良い方向"に向かう組織・臓器があったとしても、バランスは崩れるわな!
糖尿病は老化現象ではないとしても、高齢者ほど循環器系のリスクが大きくなるって事では、最大のリスクは"老化"なのだろう。
現代医学は老化をも病気にしてるんだから、何処かに"悪者"がいなくっちゃ、手の施し様がない。とすれば、わかりやすい臨床検査値やウエスト周囲値は治療開始の動機付けにはもってこいだ。
これって、水戸黄門の世界観に通じるところがある。
悪者は、とことん排除すれば、良い世の中になり、皆は幸せになれるのだ。
でも、悪者が"ねずみ小僧"だったら、100%排除すると最高の結果を得られるのか?
生殖年齢を超えてから老化プロセスが開始されるから、老化は自然淘汰されなかったんだって見方もあるのだろうけど、それ以外の価値があるから、淘汰されなかったって考えが間違いとはいえない。
ある地域では、"ねずみ小僧"を100%排除すると、みんな幸せだけど、ある地域では、"ねずみ小僧"の排除は50%を超えると、住民は納得しない。金持ちが多いところでは、完璧な排除が民主主義上、多数意見になるけど、下町の長屋では、、、、。
結局、『個の医療』以外に、"慢性疾患の医療"はありえないはずなんだけど、現代医学のパラダイムからすると大規模臨床試験には意義があるって事になっちゃう・・・・・、コレ、そもそもが間違いなんじゃないの?
パラダイムシフトすれば、、、、いや、パラダイムの革命を起こせば、大規模臨床試験には意義は無いって言い切れるハズなんだけどねぇ!
そして、老化は老化として受け入れられるようになる!
全員が平均寿命(言葉の定義で突っ込まないでね)85歳まで生きるではなく、老化プログラムが75歳のでセットされている人には75までバランス良く老化してもらい、90歳でセットしされている人には90歳まで、パランす良く老化してもらう・・・・ってのが、慢性疾患の医療なんじゃないかな?
『じゃ、オレの遺伝子も90歳にプログラムしなおしてくれ』なんて言い出す人には、『筋肉や骨は出来るんだけど、脳細胞の1個1個をプログラムしなおすと、貴方が貴方でなくなります』って言ってあげればよい。。。。って事で!!
ところで、何故?マスコミがこんな大事件を取り上げないのか、よくわからない・・・・。厳格に血糖コントロールしている患者は、真面目でストイックに治療しているのに、それが、『そんな事してると、早死にするよ』じゃ、言い出せないかっ?!
適当にやっているからこそ結果オーライが、現代医療にはかなり存在するのに、"服薬コンプライアンス"なんて言葉が存在して、特定の薬物治療では確かな事かもしれない事を、全ての薬物治療に於いても、まかり通るって、医療人は思い込んでいるんだから、その反発もこわいのかなぁ??
解説はしなくてイイから(誰も素人のマスコミに解説して欲しくない)、事実として報道してくれなきゃ・・・・・、ねぇ、マスコミさん!