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遺伝子シールドの発見

20080215_cohesin.jpg素朴な疑問として、今まで解決されていなかったものの一つに"遺伝子シールド"がある。(今年はまだ始まったばかりだけど、超ど級のインパクトって点では、コレ、イチ押し!!)

その疑問ってのは、転写因子が特定の遺伝子の転写を促す時、近くにある他の遺伝子の転写に影響を与えないのはどうしてか?なんだけど、『多分、シールドが存在してるんじゃないか?!』といった程度の理解で、実態が解明されていなかった。

その実態の一角が、今回、明らかにされたのである。東京工業大学大学院生命理工学研究科の白髭克彦教授らの偉業である。


で、それが、なんと!!!!コヒーシンなのだ。


コヒーシンタンパクは、それまではゲノムの分配に必須の役割を持つタンパクとして知られていた

それとは別に、コヒーシン欠損が原因で起きる病気として知られていた、ロバーツ症候群、コルネリアデランゲ症候群では、ゲノムの分配に異常がみられないにもかかわらず、重度の四肢、神経の発達障害が見られる事が、このコヒーシンの働きしか知られていなかった時代には、全くの謎だったのだ。(コヒーシンが無いにもかかわらず、ゲノム分配に異常をきたさないのも不思議だけど)

コヒーシンのもう一つの顔

Nature vol.451 (7180), (14 Feb 2008)

ヒトゲノム中のコヒーシン結合部位の分布に関する研究で、遺伝子転写の区切り壁となる転写インシュレータータンパク質CTCFの結合部位にコヒーシンが一緒に局在することが明らかになった。

コヒーシンは、染色体分配時に姉妹染色分体の接着を促進する「染色体の接着剤」の役目を果たすタンパク質として広く知られている。

今回得られた新たな知見は、コヒーシンの持つ2つ目の独立した役割が、転写インシュレーターとしてのCTCFの機能の促進であることを示している。

この発見は、ロバーツ症候群やコルネリア・ド・ランゲ症候群などコヒーシン異常を原因とする「コヒーシン病」に関与していそうな経路に関する手がかりとして、医学的な意味を持つと考えられる。

Articles p.796

News and Views p.777


今回の発見によって、これらの遺伝病が発生・分化過程での転写の調節異常により引き起こされてるんじゃないの?という説の強力な裏付けになるのだろう。そして、増殖しない(分裂しない)細胞においてもコヒーシンが発現しているという事が、染色体を娘細胞へ分配する機能とは別に、遺伝子発現制御に関わっているって事を補強している。


この発見の価値は、遺伝子治療において、、、
従来、導入された遺伝子が導入先の周りの環境の影響を受ける(専門用語では「遺伝子間干渉」と言う)ことが避けられず、本来の遺伝子の機能が発揮出来ない事が、多々あった。

だが、このインシュレーターにより遺伝子を発現単位ごとに区切ることで、こういった周りの配列からの干渉を最小限に抑制し、多数の遺伝子を同時に安定的に発現させる技術の構築が可能になる事だ。逆にエンハンサーと一緒に導入したのはいいけれど、導入先にて発現して欲しくない遺伝子が釣られて発現しちゃう・・・なんて失敗もなくなる。

いや、それだけじゃなく、遺伝子の発現制御をキーとする分野、ES細胞技術、動物細胞を用いた創薬等の物質生産が効果的かつ効率的に行うことができるようになるのだろう。


ところで、私、こういう事を考えてる時って、すぐ、別な方向へ考えが飛んじゃって・・・いわゆる"インシュレーター"の概念って、法律にも応用できないものなのかっ?って、思うんだけど・・・・。

法律って、後から『解釈』とか言って、なんだかつまんない事、言い出す奴っているじゃない!!そういう奴に"ぐうの音も出ない"ようにしてやりたいって思っている人は多いと思うんだけどなぁ。

本来、法律って『~~こういう主旨でつくりました』って事なんだけど、時代が変わるとともに、悪用されて、、、、って多いよね。少年法なんかもそう。刑法第39条なんて、際たるものだし。

少年法が適用できるのは、~~まで。人を殺しちゃったらそれは無しっ!!

刑法第39条が適用できるのは、~~まで。人を殺しちゃったらそれは無しっ!!

で、いいと思うんだけどなぁ!!前回のエントリーは診療報酬改定にぶつけてみたんだけど、今回のは、特にそういうのはないから、これで終わるけど。。。。


あっ、最後にコレっ!

生命のシステムって、冗長というか、、、壊さないように慎重に・・・じゃなくって、壊しちゃってから元通りに修復する事で不具合を防いでいる・・・。要するに無駄の使い方が巧い・・・って事で。

体細胞超突然変異の手綱を締める

Nature vol.451 (7180), (14 Feb 2008)

体細胞超突然変異は、血中の活性化B細胞が免疫グロブリン遺伝子を多様化して、高親和性抗体を産生する機構であり、感染から身体を守るのに非常に重要な役割を担っている。

しかし、この機構は、ゲノムの安定性に対する大きな危険要素ともなり、もしこれが規制されなかったり、誤った指示を受けたりすると、B細胞腫瘍を発生させる可能性がある。

体細胞超突然変異反応は、活性化誘導デアミナーゼ(AID)によって開始される。

そして一般に、不適切な体細胞超突然変異のリスクは、この酵素をまちがいなく標的と反応させることで回避されていると考えられている。

ところが今回、マウスでの新しい研究から、そうではないことが示唆された。

AIDは、遺伝子が発現しているゲノムの広い範囲を脱アミノ化し、そこにはB細胞悪性腫瘍に関連する多数のがん遺伝子などが含まれている。

ゲノムの広範囲にわたって変異が生じることは、塩基除去修復とミスマッチ修復によって遺伝子特異的で、誤りのないDNA修復が行われるという意外な方法で回避されているのである。

Letters to Nature p.841


進化の過程で淘汰されたシステムには、有無を言わせぬ力強さがある。でも、これって、偉大な神様が考えたんじゃないんだよねぇ。

教会の勢力に気を使って(ビビって?)、最近では intelligent design なんて考え方もあるんだけど、そんなのも信じたくなっちゃうくらいに、結果だけをみてると、誰かの意図を感じちゃうよね。本質存在に対する実存主義ってほど、気取るわけじゃないんだけど・・・ねっ。


やってみて、効果があるかどうかわかんない・・・って事で、及び腰になるんじゃなくって、無駄かもしれないけど、とりあえず、変化してみる・・・って事を繰り返して、それで、一番しっくりくるところに、今、我々、生命はいるわけだ。


だから、、、、、、、、、。

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2008年02月15日 11:48に投稿されたエントリーのページです。

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