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2008年11月 アーカイブ

2008年11月04日

ETC カード挿入忘れ

20081104_Microbiome.jpg名前が付くと研究は進む。

語尾に“オーム”がつく言葉は、年々、増えている。最初は“ゲノム”だろう。

近年、ついに“マイクロビオーム”という言葉が誕生した。このオームのつく単語、過去にも、いろいろとエントリーのネタに使っている。
低出生体重児に関わるタンパク質と遺伝子』、『LTP と LTD はシステムバイオロジーから』、『やっぱり、重要なのは“制御”だ』などなど。


人間の個性をあらわすのに“フェノーム”なんて言葉はすごいと思ったけど、いまいちイメージしづらく、ヒトに常在している細菌との関わりを“メタゲノム”であらわすのも、わかる人にはわかるけど・・・って感じで、うまく表現しきれてない感じは拭いきれなかった。

やっと真打登場って感じの言葉が登場した。それが、マイクロビオームだ。


遺伝子だけでは説明しきれない“フェノーム”の多様性、たとえば、一卵性双生児の疾病罹患の差など、単に“原因は生活環境だ”としてしまうには、あまりにも漠然としすぎていたものを説明できるツールとして、研究が進むことになりそうだ。現在一人歩きしているプロバイオティクスと合流して、感染症治療は大きく変わる可能性もあるしね。


で、このブログでも“メタゲノム”の説明くらいはしたつもりだったけど、検索してもそれらしいのが見当たらない。今さらするのも“めんどくせぇ”から、簡単にするけど、、、

要するに、人類が地球上に存在する遺伝子の総体をどの程度知っているのか?って事において、『びっくりするくらい“少ない”んだよ』って教えてくれるものだ。

大きな動物はほぼ把握しているだろうけれど、微生物にいたっては、人類は、その1%も“掴んで”はいない。さらに、環境中の微生物だけじゃなくって、人体に共生している微生物すら、1%も理解していないのだ。(この際の“理解”の定義は、増殖などをコントロール出来るって意味)


たとえば、ヒトを生まれてから無菌の環境で育てたとしよう。間違いなく、粘膜免疫が発達せず、ひいては全身免疫までも影響を受け、アレルギー疾患が必発、自己免疫疾患も必発することだろう。人道的な面から実験は出来ないけれど、乳幼児期の多量・頻回の抗生物質暴露によりアレルギー発症が増加する現象から、腸内細菌叢の発達を妨げたことが原因なのかと?実験動物などでの検証を経て、腸内細菌の免疫に与える影響の重要性が示唆されるようになったのは、よく、知られている。

こんな切り口から(と私は思っているが)、ヒトゲノム計画から得られたヒト遺伝子の予想外の少なさを説明できる合理的な理論になろうとしているのが、“マイクロビオーム”だ。

人体に共生している100兆個もの微生物の遺伝子を全部知った暁には、それらが、ヒトの遺伝子を補完していることを、人類は知ることになる。

逆に言えば、ショウジョウバエと変わらない遺伝子の数で“人類”をやっていられるのは、人類と共生している“微生物のおかげ”だと。

ミトコンドリアを体内に取り込んだ、原始的な細胞が真核生物に“進化”できたのと比較できるほどその“共生”に歯切れが良いわけではないけれど、明らかに“持ちつ持たれつ”の関係の上に生命が維持されているのは間違いない。

そして、これらの共生している細菌の構成や機能、あるいは人体に与える影響や病気との関わりを調べるために、米国 NIH では、すでに2007年から『ヒトマイクロビオーム計画(Human Microbiome Project)』を立ち上げている。

近い将来、ヒトの遺伝子を語るときには、その人が親から受け継いだ46本の染色体にあるものだけではなく、その人と共に生きている常在菌の遺伝子プロフィールを含めて、云々するようになるのだろう。

一卵性双生児の片方が癌になり、片方が癌にならない・・・・・こんな理由が語れる日が来るのだろう。(現代医学では、まるっきりわからないからねぇ)
 
 
 
こんな言葉を知って『ほぉ~っ』と感心したりしている今日この頃、ショックな体験をした。

それは、昨日のことだ。

注意深い性格の私にとっては考えられない出来事なのだが、それは、ETC カード入れ忘れ状態で高速道路の入り口ゲートを通過してしまうという“自験”だ。

鼻の奥がジンジンして、瞼が重く、大きな声を出すとコメカミが痛むという状態が本日になりひどくなったのが、今回のエントリーと結びついた原因だ。


こんなチョンボをやらかしたのは、細菌、またはウイルスの遺伝子産物による脳機能への影響なのではないかと?


なんたって、後続車をゲート入り口で堰きとめ、高速を降りる人からは笑われるわけで、こんな後ろめたい思いと恥ずかしい思いとをしなきゃならない事態を予測すれば、絶対にカード入れ忘れなんてあるわけがなく、現に、いままで忘れたことはなかった。

ところが、、、、、である。

この経験で学んだことは、ゲートのバーは軟らかく、車に傷はつかないという事と、一旦、車体が通過しちゃったら、カードだけを通過したことに出来ないということだ。そういう処理が出来ないらしい。

私は大慌で ETC カード を握りしめ車から降り、係員の処理を待ったのだが、彼らには後続の車を通過させることが第一義で、私に対しては『このやろー、めんどくせぇことしやがって』と言いたげな表情で『危ないから、下がって待っててくださいっ』と。

やがて、高速道路の通行券をもって私のところにやって来て、『これ使って、降りてください』と。私は、『カードの処理はしてくれないんですか?』と言うと、『出来ません』と。


というわけで、細菌、またはウイルスの遺伝子産物が、私の脳の注意を散漫にさせたのと、こんなに不名誉な目に逢う事の予見を妨げた結果、私はカードを入れ忘れて高速道路に乗ろうとしたのだろうと考えたわけだ。


まぁ、こんなにも因果関係の薄い事象をこじつけようとする位、私は熱にヤラレている・・・・という事なのかもしれないが・・・。(ロキソニン、あんまり効かないのかなぁ??これだけの藪にらみを利かせられるのは、ある意味、効いている証拠なのかな??)

2008年11月05日

曖昧な言葉はお好き?

20081105_offset.jpg自動車の安全性の指標のひとつに、衝突実験がある。オフセット衝突といかいう映像をご覧になった方も多いのではないだろうか?

でも、あの衝突の映像を見せられて、どんな場合が安全でどんな場合が安全でないのか、理解できる人はほとんどいないのではないだろうか?

私も理解できない一人だった。

『だった』と過去形なのは、非常に危険な場合の映像を見たからだ。

http://jp.youtube.com/watch?v=L9fvHwVUNdQ&feature=related

上の動画の1分30秒過ぎの(中国製)車の壊れ方・・・・・、半端じゃない。冒頭に登場するレクサスの潰れ方と比べたら、車に詳しくない人が見ても『ああっ、これじゃ車の中で死ぬな』って思うだろう。

Aピラーとサイドシルがマッチ棒のように折れ曲がる・・・・・搭乗者エリアがグシャってつぶれる・・・・・日本車では見られない現象だ。

衝突安全性のビデオを見ても、いまいち、何がどう安全なのかわからなかった原因が、今、ようやくわかった。

今まで、中国製、韓国製の車の衝突安全性のビデオを見たことがなかったからだ。

危険な状態を知れば、安全な状態が“認知”出来る・・・・・・、安全が空気のようになっていると・・・・、良くあることだ。

ところで、上のビデオ、エロイやつを探していて偶然みつけた・・・・・わけじゃなく、google で『R35 GT-R YouTube』と検索した結果なので、、、誤解なきよう・・・(これじゃ、逆効果かなぁ・・・とほほ)
 
 
 
話は変わって、関東の薬学部、薬科大学では来年度から始まる6年制カリキュラムの必修単位である病院・薬局での実務実習先の確保が大きな問題となっている。

LDLコレステロール=悪玉の終焉?】でもちらっと触れたのだが、その後、色々と内情を知るにつけ、多くを書けなくなってしまった。。。。私、、、

というわけで、なぜ、薬学部に6年制を導入する必要があったのかを、もう一度、振り返ってみると・・・

薬剤師会や薬学の関係者は口を揃えて『薬剤師の資質向上のため』と言っている。確かに、すばらしい理由だ。これを反対する人はいないだろう。


ところで、この“資質向上”という言葉だが、MMJ のコラム(金城 紀与史 氏)に、『米国では医療の質を高めるため、出来高払いの弱点を是正するために、病院の医療成績の公表と、金銭的インセンティブと成績を連動させた Pay for performance がいろいろな形で導入されいる。』とあった。

具体的には、病院や医師の成績を公表する。患者は成績の良いところに集まり、成績の悪いところは努力するようになり、ついていけないところは市場原理で淘汰される。1989年以降、ニューヨーク州では病院と外科医ごとの冠動脈バイパス術の手術成績を、患者リスクを調整して公表したところ、89年から92年までの間で、州全体のリスク調整術後死亡率が41%低下したとの事。


はたして、このような“わかりやすい”医療の質を薬学、薬剤師の資質に当てはめることが出来るのだろうか??私は、長いこと(20年以上)薬剤師をやっているが、未だに“薬剤師の資質”を具体的に言葉にすることが出来ない。

同様に“専門薬剤師”“認定薬剤師”というのも、若い薬剤師たちの勉強することへのモチベーションにこそなれ、薬剤師による医療の質を向上させる具体的な貢献が目に見えてこない。

日本薬剤師会は、薬学部6年制が“悲願”だったそうだが、一体、薬剤師の将来にどのようなビジョンを描いていたのだろうか?

『薬剤師の資質向上のため』なんて言葉は聞きたくない。誰か具体的な事を語ってほしいのだが・・・・・。
 
 
 
薬剤師の資質ってのは、世の中の“安全”と同じで、あって当たり前、ミスはなくて当たり前って範疇なのかもしれない。決して、積極的に“治癒率の向上”“合併症の減少”“対医療費効果の向上”など、わかりやすいものではないのかもしれない。

(その昔、薬剤師会は医薬分業すれば無駄な薬を使わせなくなるので、医療費は抑制できると言っていた。今、薬剤師会は厚労省のお役人あたりからも、この点に関し『嘘つき』呼ばわりされている。今の医療制度や薬剤師会のていたらくでは、医療に対して積極的な貢献はできっこないのは、火を見るより明らかだが・・・)

もし、そうなら、中国製、韓国製の非常に危険な車のような例を出して、日本の薬剤師は安全ですとやるしかないのか???

(手帳の活用や薬の説明みたいな情報サービスは、医療の質には含まれない。あれは患者満足度を向上させるだけのものだ。マニュアル作って徹底させれば誰にでも出来る服薬指導で、服薬コンプライアンスが向上したなんてのも薬剤師の資質とは関係ないよ)
 
 
 
だとしたら、なんか、やだなぁ・・・・・・。

っていうか、私の知らないところ(そういう薬剤師がいっぱいいることは知っている)にいる中国製、韓国製の非常に危険な車のような薬剤師の資質を向上させる為に、6年制が必要だった・・・・と言われれば、このビデオを見てから“車の衝突安全性”が理解できたように、『薬剤師の資質向上のため』という言葉が理解できる。

また、中国製、韓国製の車とレクサス製の車を区別するために“専門薬剤師”“認定薬剤師”が必要だというなら、その存在意義も良くわかるというものだ。


でも、それって・・・・・・・・・


注意:中国製、韓国製と名前を出したのは、ずばり事実を引用しただけであり、別な意図や隠喩ではない。また、中国人、韓国人を中傷するものでもないし、中国、韓国を非難するものでもない。
私のブログを長く読んでいらっしゃる方はお分かりだが、私は中国や韓国の反日的な態度に対して、それを『自国の利益のためだから当然』ということはあっても、非難したことは一度もないし、考えたこともない。
私が、非難するのは、中国、韓国に媚を売る自虐的歴史観の日本人に対してだ。こういう奴らの人道的ぶった態度は偽善で独善だからだ。こういう態度は、非常にうそ臭い。自分の利益を省みない行動は、もはや“生物”とは言えないから、本心だとしたら本物のマゾヒストだ。しかし、もし、なにかあったら、中国、韓国に亡命するというのなら、媚を売るのもやぶさかではないけれど。

マゾヒズム
(英masochismのドイツ語読み)
1 相手から肉体的な苦痛や精神的苦痛を与えられて性的満足をうる異常性欲。このような人物を主人公とする小説を書いたオーストリアの作家、ザッヘル‐マゾッホに由来する語。被虐愛。⇔サディズム。
2 (転じて)一般に、自虐的な傾向・性質。

2008年11月07日

有権者の投票行動

20081107_voting.jpg読売新聞 11月6日 朝刊に興味深いグラフが掲載されていた。ソースは全米テレビの出口調査、CNNからの頂いたデータだと記してあった。

わざわざ、これを自分でスキャナーで取り込むまでして、エントリーしたかったのは、まさに Science 誌 September 19 2008, Vol.321 に掲載された論文の主旨を裏付けるようなデータだったからだ。
(っていうか、【政治的立場(Political Baggage)】で、『つまり、これは、、、、周りの状況(環境)に対して、生存本能が刺激されるかどうか?危機意識が刺激されるか?って言葉に置き換えられるのかな??』って思い付いた事を裏付けてくれるデータだったから?だ)

■あなたは・・・
   軍隊経験ありの人は共和党支持が多く、なしの人は民主党支持が多い

■家に銃がある・・・
   ある人は共和党支持が多く、なしの人は民主党支持が多い

■前回の大統領選挙で投票しなかった人の多くが・・・
   民主党支持(現在の米国の最重要問題を“経済”と認識している)

■米国でのテロを心配していない約3割の人の中では・・・
   民主党支持が多い

■オバマが勝利したら増税はある?にないと答えた約3割の人の中では・・・
   民主党支持が多い

■イラク戦争について反対している人の中では・・・
   民主党支持が多い

アメリカの共和党と民主党の考え方の差がどれほどなのか、私には肌で感じることが出来ない。移民の国で、人種差別の国で、自分たちの利益を最大限優先する正直な(動物的な)行動をし、自由を武力で勝ち取った人たちの末裔で、同朋意識を高める事ですごい力を発揮し、、、、、たとえば白人でなく差別されていた人が、ベトナム帰りというだけでコミュニティに受け入れられ、、、、って。

だが、理解できる範囲で解釈してみると、民主党支持者は、危機意識が希薄だと言えそうだ。多分“眼球の上をクモが動き回る絵”を見ても動じないんだろう。まぁ、もともと自分の身の安全は自分で守るを当たり前の事としていた人達だから、“日本人の危機意識がない”なんてのと比べたら失礼かもしれないが・・・。


余談だが、昨日は、買ったまま、まだ見ていなかった 500円 DVD 「荒野の決闘」を見ていた。ワイアット・アープ、ドク・ホリデーが悪党どもとOK牧場で決闘し、「オーマイ ダーリン クレメンタイン♪」ってヤツだ。皆さんも、良くご存知だと思う。

この時代がアメリカ人気質を良く表し、保守的と呼ばれる人たちの心意気なのだろう。アープが弟二人を殺されて、町の人から『何か出来ることは?』に『これは自分の問題だから』と断るところなんぞ、アメリカ人には普通に感じるんだろうけど、日本人の私にはなにやら意味深げで・・・・。

クリント・イーストウッド監督の『父親達の星条旗』を見ても、アメリカ人気質ってのが見えてくるような気がする。不思議なのは『硫黄島からの手紙』が日本人の私にも感情移入できることだ。私にとって、ハリー・キャラハンや夕陽のガンマンのイメージが強いクリント・イーストウッドの違う一面を見せられたような気もする。


閑話休題。アメリカ人の動物的な、飾らない、脳で理論武装しない、本能むき出しの気質(、、、ヨーロッパの国々から馬鹿にされる)を、私は、結構、好きだ。ヨーロッパだって、ほんの少し前まで同じ事やってたんだからね。

ただ、ヨーロッパの人たちは、アメリカ人より、ちょっとだけ早く、このような行為・行動を“野蛮”だと感じるようになったのだろう。

リベラルな考えを持つ人が、押しなべてインテリ(風)な事からも、野蛮というだけでこういう行為を恥じて、嫌っただけかもしれない。

もともと、危機意識は高い人達なんだから、危機意識がない=民主党、野蛮=共和党と、単純ではなさそうだ。どうでもいいけど、戦後、欧米のこんな風潮を浅慮に取り入れ、気取っているのが日本のリベラル派なのだろうね・・・戦前の日本を侵略国家だって言って、野蛮な自分達を恥じてるだけ?・・・・プ。医療の世界で医師のサボタージュが始まったように、軍人さんたちが『けっ、やってられっかよ』ってなっちゃったら、どうするんだろうね??


だが、自分の思い付きが証明された?興奮も薄らいで、冷静にみてみると、結局、出口調査なんだから、投票に行った人がサンプルなわけで、全アメリカ人が対象じゃないわけだ。

政治には全く関心がない、その他大勢の人でどうなるかはわからない。
 
 
 
今年の9月10日から、スイスとフランスの国境をまたいで始まった、大規模な物理学の実験が、日本のマスコミや一般庶民の関心を呼ばなかったことが、またまた、興味深い。

周囲27キロの巨大なトンネルが地下100メートルに設置され、このトンネルの中を陽子のビームが一周したのだが、このファーストビームをウェブキャストで見た人の数たるや、、、なんと1億件ものアクセスがあり、気楽に構えていた人達は、サーバがダウンしちゃって、おちおち見ていられなかったのだそうだ。

アカデミックからのアクセスは、多くて1割、いやもっと少ないだろう。世界中の素粒子物理学者が100万人もいるとは考えられないからね。多くは、政府機関、防衛・国防の関係者、はたまた、軍事産業のシンクタンク、周辺で経済的な利益が得られそうな産業の人たち、、、、知的好奇心からではなく、軍事的、経済的な興味が大多数なんだろうと思う。


結局、綺麗ごとを言って、過去を総括すれば、戦争を防げると思っているインテリでリベラルな考えの人たち、危機意識から戦争の正当化すら声高に叫ぶ極保守な人たち、、、みんな、政治的に強い信念を持つ人達は、科学の最先端で起きていることを何も知らず自己満足で主義・思想を語り、踊っている・・・・・。


一晩眠って目が覚めたら、自らスキャンしたグラフも、なんか、味気ないものに見えて・・・・・。でも、悔しいから、無理やりエントリーしちゃったりして・・・。


私は、大東亜戦争を『侵略戦争だ、いや違う』なんて議論のネタにすること自体、非常に意味の無い行為だと思っている。関わったひとりひとりにとって、その遭遇した出来事、印象が違うのが真実だ。真実は多数あるということだ。一言で表現できる事が真実だと思っているのなら、愚かなことだ。

数学の定理じゃないんだからね。

それが証拠に、日本、中国、韓国のそれぞれの場所で、それぞれの立場で、違った印象を持つ人が存在する。どれも正しい。その人にとっては間違っていない。

だけど、政治的に総括するためには、どちらかに落とし所をみつけなきゃならないし、敗戦国だから、侵略の汚名を着せられるのは、しょうがない。


そんな中で、現場で働く自衛官が『あれは侵略行為じゃない』と論文を書いたら処分を食らった。政府が言うのは当然だが、新聞・マスコミも『政府見解と違うことが問題だ!』なんて色めき立っている。完璧なシビリアンコントロールを受けている状況下で“思想”を云々しても、意味はないのに。こういう連中は、思想をコントロールすれば戦争を抑制できるとでも思ってるんだろうか?

はっきり言って、戦争は思想でやるんじゃなくって、兵器でやるんだぜ!竹やりの時代ならいざしらず、思想は“エクスキューズ”だ。こいつら、もしかして、平和を願ってるんじゃなくって、理屈で『あれは侵略行為じゃない』をやり込めて悦に浸りたいだけなんじゃねぇ~の??

マスコミは、こんなどうでもいいような事を、ことさら大問題として取り上げているけど、世の中には、素粒子を操れるかどうかに経済的な興味しかない人たちの多い事を、問題にしたほうがいいんじゃないのかなぁ??


『It’s the economy, stupid』

文字通りなら怖くない言葉も、深く考えれば、結構、恐ろしい言葉なんだぜ!

2008年11月11日

多数でも、それは間違い

20081111_Aneuploidy.jpg民主主義では、多数が正しいことになっているが、この“正しい”の定義をしておかないと、勘違いも甚だしいとなってしまうというお話。

前提となる仮説が証明されないまま、なんとなく一人歩きして“正しい”とされてしまって、それを根拠にして新しい仮説を証明してしまう・・・・・・、医学の不確実性を証明するもってこいの事例だと、『ピン!』ときた知見を紹介して、進めてみる。


多くのがん細胞は異数体であり、間違った数の染色体を持っているが、異数性が実際に腫瘍化の表現型に寄与しているのか、あるいはそれを抑制しているのかは、はっきりしていない。

Science October 31 2008, Vol.322 では、『細胞増殖の抑制を引き起こし、培地中の細胞の不死化に対しては可変性のある効果をもたらした。』とある。

だが、Nature Reviews Cancer 8(11), (Nov 2008) では、TAp73 の機能を解明する過程で、異数性ががんの原因だから、異数性を抑制できる TAp73 は“がん抑制遺伝子”であると結論している。

どちらも、染色体異常になると“ヒトにおける流産・不妊”の原因になると解釈している。違うのは、がんに対してだ。

異数性と増殖(Aneuploidy and Proliferation)

Science October 31 2008, Vol.322

多くのがん細胞は異数体であり、間違った数の染色体を持っているが、異数性が実際に腫瘍化の表現型に寄与しているのか、あるいはそれを抑制しているのかは、はっきりしていない。

Williamsたちは、4つの異なる染色体のうちの1つのコピーを余分にもつ、マウスの胚性線維芽細胞の株化細胞を作成した(p. 703; Hernandoによる展望記事参照のこと)。

異数性は余分なコピー中にある遺伝子の発現をおよそ1.5倍増加させ、多く表現された特定の染色体には依存していなかったが、染色体のサイズには依存する細胞増殖の抑制を引き起こした。

異数性は、培地中の細胞の不死化に対しては可変性のある効果をもたらした。

こうした知見は、ヒトにおける流産や精神遅滞を導くこともあるプロセスについてのさらなる理解に道を開くものである。

Aneuploidy Affects Proliferation and Spontaneous Immortalization in Mammalian Cells
p. 703-709.
CANCER: Aneuploidy Advantages?
p. 692-693.


腫瘍形成:ノックアウト!

Nature Reviews Cancer 8(11), (Nov 2008)

p53相同体TAp73に腫瘍抑制機能があると考える研究者たちは、TAp73特異的ノックアウトマウスに関する最近の分析結果を受け、そろって安堵のため息をついた。

このタンパク質ががんに果たす役割を詳しく知ろうと奮闘するも、Trp73遺伝子座がコードする複数のタンパク質産物が、転写活性を示す「p53様」アイソフォーム(TAp73と総称される)と、そのドミナントネガティブな「宿敵」、発がん性アミノ欠失タンパク質(ΔNp73と総称される)の2種類に分けられるという事実に、阻まれてきた。TAp73の腫瘍抑制機能を支持するグループは大いに不満であったが、そのアイソフォームについては、p53との間に配列相同性以上の共通点を立証することが困難であることが判明した。というのも、がんにTP73遺伝子の変異がみられることはまれで、なおかつ、どちらのグループのアイソフォームもないTrp73ノックアウトマウスには、腫瘍が生じにくいためである。このノックアウトマウスに腫瘍が発生しないのは、同時にΔNp73がないためであるとする見方が多かったが、アイソフォーム特異的ノックアウトがない以上、理にかなった説明は難しかった。

しかし、Genes and Developmentに発表されたTomasiniらの最近の研究で、TAp73に腫瘍を抑制する機能が実在することが示された。TAp73特異的ヌルマウスを(エクソン2および3を欠失させて)作製したところ、野生型同腹仔の腫瘍発生頻度がわずか6%であったのに対し、TAp73ヌルマウスでは73%であった。しかも、TAp73が欠損している場合、発がん物質のDMBAを腹膜内投与してから大腸、肝、小腸および胃に腫瘍が生じるまでの潜伏期間が、有意に短縮した。このことから、TAp73には単独でがん化を阻害する作用があることがわかった。

では、TAp73は、どのように腫瘍抑制機能を働かせているのだろうか。興味深いことに、機序を推定する手がかりとなったのは、TAp73欠損コホートの不妊であった。TAp73欠損では、卵母細胞に紡錘体異常が目立ち、ゲノム安定性の維持におけるTAp73の役割が示唆された。この仮説と一致して、有糸分裂阻害薬ノコダゾールで処理したTAp73欠損マウスの胚線維芽細胞(MEF)は、細胞周期のG2/M期に停止せず、不適切な有糸分裂を続けた。さらに、ノコダゾールの長期投与により、TAp73欠損細胞に8Nの細胞集団が現れた。これは対照群にはみられなかったものである。さらに極めて重要なことに、その後の実験により、肺組織が胸腺組織に比べ、特にTAp73消失後に異数性となりやすい(TAp73ヌルマウスの肺腫瘍頻度が高いことを考えれば、説得力のある所見である)ことがわかり、こうした作用が組織特異的であることが示された。

この研究では、TAp73の作用が腫瘍形成にとどまらずゲノム保全にまで及び、がんおよび不妊の両分野に影響を及ぼすとしている。今回の成果より、TAp73が腫瘍抑制因子かどうかという疑問には、一応の終止符が打たれたようである。しかし、TAp73が、紡錘体の集合体に影響を及ぼしているのか、それとも細胞周期または有糸分裂の融合タンパク質を調節しているのか、という新たな疑問が浮上してきた。しかも、これらのデータは、遺伝的不安定性、異数性とがんのつながりに関して、いまだに続いている議論に、さらなる影響を与える。おそらく、TAp73は今後も議論を呼び続けるタンパク質の1つなのだろう。

doi:10.1038/nrc2527


私には、この二つの論文を評価するなんて、そんな大それたことなど出来る筈もないが、現象の解釈に差があることくらいはわかる。そして、それが、現代の医療崩壊、医療不信の根源であることを、医療を受ける側の知識の欠除、すなわち、結果(現象、表現型)から原因が特定できるという間違った認識であると、指摘するくらいは出来る。

私がこのブログで、度々、『戦争解釈のナンセンス』『歴史的認識は単なる思想』と断じるのも、やっぱり、同じ理由だ。


人は、アプリオリに結果から原因は特定できると考えがちだ。


“線形”な結果が得られる実験などでは、原因の特定は簡単だろうが、非線形であったり複雑系であったりすれば、原因の特定なんて出来るわけもない。

人体が“複雑系”であることを疑う人はいないだろう。発がん物質と呼ばれるものを体内に取り入れた後、発ガンする人としない人がいるわけだからね。

『太平洋戦争を侵略戦争だと認識しないと、また、戦争を引き起こす国になる』っていう証明も出来ない“説”をもって、未来の結果を予測するのは、『納豆を食べてダイエットが出来る』と同じくらい“非科学的”な論証だ。


歴史が政治的判断を下す“エビデンス”として不適切な事を理解していない人が多いのと同様、医学が不確実なものであり、結果は確率論的に分散することを理解していない人も多い。

民主主義的に多数が“正しい”と認識していても、間違いは間違いなのだ。赤信号は皆でわたれば怖くないかもしれないが、正しい行為で、安全ということとは違う。

いや、もしかしたら、理解はしているが『理解したくない』人の数もかなりに上るのかもしれない。身内が亡くなって、『何故、○○さんとこのご主人も同じがんなのに、うちの主人だけ死ななきゃならないの?』と。


ただ、こういうエピソードに際し、現代人がこのような反応、すなわち不確実性を許容できなくなったのは、教育とマスコミが原因であるのは間違いないだろう。

マスコミは期待値と結果を同一視してしまう愚かな人間を作り出す。

それは、特にスポーツにおいても顕著だ。『国民がこれだけ応援している(金メダルを期待している)んだから、金メダルを取れる』と。もっと低レベルでわかりやすいのは、サッカーのサポーターだ。彼らは自分達を12番目の選手だと思い込み、一所懸命、応援するんだけど、ひいきのチームが勝たないと怒りくるって暴発する。

期待値を高めても、それは結果には繋がらないということを学んでない。応援して勝ったら喜び、負けたら悔しがる・・・・ここまで。これが、教育。(サポーターなんて、日本人の民族性・宗教観に合わない制度と言葉を持ち込んだマスコミの餌食になるのも、また、教育がなされていない証拠だ)


私は、大昔の生活(3~4世代同居)の信望者ではないが、現代人が人の死に直面することが極めて少なくなった事もこれを助長しているんだと思う。


いわゆる“死生観”ってやつだ。

『(病気が)治ってほしい』『死なないでほしい』と期待値が高ければ、期待はずれの結果に納得できなくなってしまう。朝、起きたらおじいちゃんが冷たくなって死んでいた。病院でなく、我が家で死を目の当りにしたら、違った感情が沸いてくることは、想像に難くないよね。(少なくとも病院で医師を罵倒しない)

教育の現場に宗教をもちこまないから、人の死について語れない。さらに持ち込んだらいけないといって、道徳教育をやめちゃった弊害もあるのだろう。(森喜朗元首相と同じこと言っちゃうもんね)

現代の日本人の大多数は“宗教”という言葉に“胡散臭さ”しか感じないんだと思う。

“胡散臭さ”を感じるだけならまだしも、死をも否定したがる。本来、否定の対象じゃないのに・・・・。


自分のことを考えてみても、“宗教”を学んでも、奇妙奇天烈な価値観に偏好するなんてことは、絶対ない。むしろ、立場の違いを通して、想像力がアップしたとさえ思う。

注意:想像力というのは、相手の立場に立って考えるってこと。

相手の立場に立って考えるってことは、相手を哀れんだり、感情移入することではないので、勘違いなきよう!!相手を哀れんだり、感情移入すると、奇妙奇天烈な価値観に偏好しちゃうから、要注意だよ!


ところで、『赤信号、みんなで渡れば怖くない』って感覚が、マラソンランナーの“先頭集団”とか“2位集団”などを形成してしまう現象と同じで、人間の本能・・・・というより、物理学の普遍の法則に成り立っているという事を、最近、知った。

あっ、知ったというのは、“マラソンランナーがグループを作る”って事で、それと『赤信号・・・』は同じじゃないかと、私のやぶにらみ。

物理学者の蔵本由紀は、お互いに影響しあう振動がどのような全体像を示すのかを理論的に解明した事で有名だ。それを、ストロガッツ(『SYNC -なぜ自然はシンクロしたがるのか』の著者)らがマラソンランナーに例えて解説していて、私は、最近、それを知ったのだ。

詳しくは、自分で調べてもらう事にして、ようするに、生きているってことは“振動”しているって事で、振動は“シンクロ”したがるものらしい。

振動がシンクロしないと、生物のサーカディアン・リズムが生まれないし、遺伝子の発現が制御されない。

実験で、同レベルのマラソンランナーを走らせておくと、平均よりちょっと遅いランナーは“追いつこう”とし、ちょっと早いランナーは“逃げようとする”ところで“シンクロ”し、いつまでも集団で走り続ける。或いは、一周遅れで追いつかれたとき、また、併走しようとするのもこの振動がシンクロしたがるからなのだそうだ。レベルの差がそれより大きい場合は、先頭集団、第2位グループ、第3位グループと、いくつかの集団に別れ、レベルの差が激しい場合は、ばらばらに走るのだとか。

生物の脳波やさまざまなシグナルが、3峰性になる理由がこれで説明出来るのだそうだ。


だから人間はデフォルトで『赤信号、みんなで渡れば怖くない』であり、そうならない為に“教育”が必要ってことなんだろう。マラソンで集団を作るのはかまわないけど、赤信号で横断歩道を渡る(病院で暴れる)のはマズイよね。で、因果律についての知識を得る事が、大事だって事は、いうまでもないっ。

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