歳をとると色々な病気になるんだけど、一口に『歳だからねぇ』といわれて釈然としなかった人も多いだろう。誰しもが自分の経験(観察)から、これを否定する人はいないだろうけど、他人(医療従事者も含め)から言われると“カチン”と来る人などもいるから、微妙な問題なのだが・・・・。
それに、アンチエイジングなど言われている施術などには、かなりの数のまやかしも存在するのだが、その検証のための基本的なエビデンスが得られたので取り上げてみたい。
JAMA Vol. 299 No. 24, June 25, 2008 に掲載された『Intra-individual change over time in DNA methylation with familial clustering.』がそれだ。
遺伝子の塩基配列の違いによるその表現型の違いは、一生の間、変化することは無い。これは、中学校か高校で時間で習うはずだ。で、ちょっと前まで、遺伝子そのものの型(塩基配列)が、その発現される機構をも含め、全てを規定していると考えられていた。
ところが、最近のエピジェネティクスの進歩により、その発現される機構は塩基配列とは関係ない部分によっても規定されるということがわかってきた。これがわかってくる前は、一卵性双生児の“死因”の違いが“科学的”に説明できないでいたのだ。
この論文では、歳をとるといろんな病気になるってことを、DNA のメチル化から説明している。同一の人の DNA を、最大16年の間をおいてメチル化の具合を調べたのだ。さらに特定の家族でメチル化の変化の度合いに格差があることも報告している。
私、常々、感じていたのだが、人間って、成長のスピードにはほとんど個人差は感じられないけど、老化には、かなり個人差があるなぁって。
多分、エピジェネティックな原因がそうさせてるんだろうなぁって思ってたんだけど、すばり、そういうことだったと証明してくれたのが、この論文だ。
だから、みのもんたなどが、安直に『これをすれば誰でもアンチエイジング』なんて言葉を発するのを苦々しく思っていたんだけど、これで、すこしは『ふざけんなよ!』とこき下ろす科学的な根拠が得られたわけだ。
ただ、メチル化の制御を人間がコントロールできるほど、この辺が解明されているのかと言うと、答えは NO だ。どうすれば、“若い”時のメチル化の状態を維持できるのか・・・・・?
う~む、残念!ながら、みのもんたには言いっ放しで逃げられそうである。
話は変わるが、『人生50年』などと言われた時代、その当時の環境やらなんやらが、実際に50年くらいで、現代の人生の終わりくらいの DNA メチル化の状態になっていたとしたら、、、、、
逆に、現代の『人生80余年』が、このメチル化の変化だとしたら、、、、、
私が薬剤師になりたての頃、、、、
フレミングにより抗生物質が発見され、臨床的に使用されるようになった時期と相関して、感染症での死亡が減った。しかし、このデータには、抗生物質が行き届かない農村部や未開の土地に住む地域でも、同様であった。
という話を聞いたことがあった。
その答えとして、医薬品や医学の進歩だけでなく、公衆衛生や労働環境、栄養なども、病気の進展に大きな影響があるのだというものが用意されていた。
今なら、DNA methylation が、その理由の一つに加わるんだろうなぁ。
そのうち、血圧下げたり、コレステロール下げたり、、、ってことやらないで、DNA メチル化の状態を維持・修飾することが、治療のメインになったりしてね・・・・。