今回のエントリーは、私の現場での生々しい出来事。。。。なんちゃって。。。。
某メーカーから、『クラリスロマイシンの粘膜免疫増強作用とインフルエンザウイルスの感染抑制効果』ってタイトルの印刷物を貰った。
読んでみたら『えっ、えっ、ちょっと、まってぇ~』って、感じだった。
つっこみどころは、裁判で言えば、『主文、被告人を~~~』じゃなくって、暴論、、もとい、傍論のところ・・・・・だから、クラリスロマイシンの効果とは関係ない。
う~ん、、だけど、気になる・・・・知らない医療人は、、、、誤解するじゃん、、、、それって、よくなくない???でも、誤解しても大勢に影響はない・・・・けど。
っていうか、メーカーの持ってきたものを、じっくり読んじゃイケナイ???
で、その突っ込みを入れたくなったのは、、、、
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1.ヒト型インフルエンザウイルスの増殖率と組織障害性は、気道粘膜上のプロテアーゼとその阻害物質、さらに分泌型IgAの存在量比で決定されている。
細胞から出芽したばかりのヒト型インフルエンザウイルスの膜融合蛋白質のHAは、前駆体型のため膜融合活性を示さず、ウイルスはこのままでは感染性と増殖性を示さない。
このウイルスが感染性を持つように変化する為には、前駆体型のHAがプロテアーゼによって限定分解を受けて成熟型に変換される必要がある。しかしインフルエンザウイルスは、他のウイルスと違ってプロテアーゼ遺伝子を持たないため、ウイルス膜融合蛋白質前駆体の限定分解には感染宿主のトリプシン型プロテアーゼを利用しなければならない。その為、宿主細胞のトリプシン型プロテアーゼがウイルスの感染性と増殖性を決める重要な因子となっている。。。。
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ってところ。。。。
最初、出芽する時、HAからNAによりシアル酸が切り離される、、、、って話しかなぁ?って。だけど読み進めると、なんか違うんだよ!(ココ!タミフルのターゲット)
アラ、コレ、ウイルス粒子のRNAが宿主細胞質中に放たれる直前に、HA自体が“ちょんぎれる”話だ。
でもこれ、読むと、出芽したウイルス粒子が、他の未感染の細胞に吸着する前に、HAが分解されて成熟型にならねばならないって読めるよねぇ?
推理力を働かせるにしても、日本語の表現の限界であるにしても、どうやっても、吸着後、エンドソームを形成し、細胞内に取り込まれた後の、、、、というイメージは描きにくいんじゃないかなぁ!
いずれにせよ、吸着する前にHAがトリプシン型プロテアーゼで切断されてしまっては、吸着できない。だって、吸着する為のHAのシアル酸認識部位は、切断され捨てられちゃう側にあるんだから・・・・。
シアル酸認識部位を持たない、成熟型?HAで、どうやってウイルス粒子は宿主細胞を目指すというのか・・・・?
この論文の趣旨は、こんな所にあるわけじゃないので、端折ったのかも知れない。。。。でも、端折りすぎ・・・・だと思いませんかぁ?
さてさて、前回のエントリーで、小児感染症に“抗生物質”の使用が少なくなってきたって事を書いた。
喜ぶべき事だとも書いた。
そういうご時勢の中、過日、お子さんを持つお母さんから電話を貰った。
質問の趣旨は、「抗生物質を飲むと、子供にアレルギーを発症しやすいって聞いた。夫婦共にアレルギー体質なのだが、病院で貰った抗生物質は飲まなければならないか?」というもの。
私は、感慨にふけってしまった。。。。衛生仮説(hygienehypothesis)も、世のお母さん方に浸透しつつあるんだぁ。。。。って。
ウルウル(T_T)ウレシイ
と、涙ぐみながら、患児の抗生物質絶対適応の有無を確認し、、、、、、、、抗生物質の免疫系の発達に与える服用の頻度と量とのバランスを、、、、、、、で、、、、、、、と、アドバイスした。。。。。(かなり脚色中・・・)
免疫学が好きで進化にも手を出したせいかどうかわからないけど、私は、常在微生物は、ヒトの発達・発育に関与しているって感じている・・・・・っていうか、あたかも、ヒト細胞中のDNAに足りない遺伝子を常在微生物の持つ遺伝子が補完している・・・・ように感じている。(成人の抗生物質とアレルギーの関係は“まゆ唾”っぽい?)
タミフル登場で、世の中のコンセンサスが、「インフルエンザはウイルス性疾患で、ウイルスには抗生物質は効かない」って浸透してきたところなのに、『クラリスロマイシンがインフルエンザに効きます』なんてやったら、20年、逆戻りしちゃう。
私は、クラリスロマイシンに“抗菌作用”がある限り、この「インフルエンザに効く」って現象を臨床応用する事に“賛成”するつもりはないなぁ。だって、理屈からすりゃ、予防的に飲み続けなきゃ意味ないんだからねぇ。
メーカーは、この粘膜免疫増強作用だけを切り離した薬剤を開発すべきだ。予防投与できる“抗インフルエンザ薬”として。
まぁ、治療にしても予防にしても、タミフル、リレンザがショボイので、次の一手が開発されるまでの間の繋ぎで、『抗菌作用を期待して投与しているわけではない』を患者さんに理解してもらい、同意の上で、投与するのは吝かではないけれど。。。。。
再度、くどいけど、書いておこう。インフルエンザ粒子がシアル酸をターゲットにHAを使って細胞に吸着し、その後、エンドサイトーシスに細胞内に取り込まれ、そのエンドソーム内で、HAがトリプシン型プロテアーゼで切断され、、、、(アマンタジンのターゲット M2プロトンチャネルが仕事するのも、この状態の時)、、、、、その後、インフルエンザRNAが細胞質に放出され、複製され、成熟して、宿主細胞膜に裏打ちするように並び、その後、出芽する(出芽した後、遊離するのを阻害するのがタミフル)。
簡単だけど、コレくらいのウイルスライフサイクルは押さえておかないと、薬の作用機序は理解できないよん。
シアル酸は全身の細胞に発現している糖鎖だから、インフルエンザ粒子は、血流に乗って全身に移動し、血管内皮細胞も含め全身の細胞に吸着し、取り込まれる。。。。が、HAを切断できる酵素を発現している細胞が、気道粘膜に限局されるから、インフルエンザウイルスにより破壊される細胞は、気道粘膜に限局される。。。。しかし、このトリプシン型プロテアーゼで切断されるHA側の部位の遺伝子領域は、変異しやすい、、、、。
ここまでが、基本中の基本・・・で、さらに、要所々々で、免疫学的な人体の側の個性が顔を出すから、ややこしいが、ここは、きっちりと分けて考えられるようになっておきたいところ。
全身に普遍的に存在するプロテアーゼで切れちゃうアミノ酸配列をコードする塩基配列に変異したら、、、、、、全身の細胞が破壊される。強毒性型のウイルスだ。また、人間の側の個性で、切断しちゃうと、そのウイルスは、その人にとっては強毒型のウイルスとなる。逆に、強毒型のウイルスでも、100人中100人死なないのが、ヒトの多様性。
んで、発現するプロテアーゼとそのインヒビターの発現量に個人差がある・・・・・。どうして、プロテアーゼとそのインヒビターを同時に発現してるんだ?人体は?ブレーキ踏みながらアクセル踏んでスピード調節してるみたいなもんじゃん??って問いには、赤芽球とエリスロポエチンの関係を例にするとわかりやすいかも!要するに、冗長が生命の“ロバスト性”を実現しているわけよ!
タミフル、リレンザの作用機序は、出芽するまでを許してしまう。だから、強毒性型のウイルスに効くって思っている人は、オメデタイ。
この理屈の強毒性型のウイルスが出現したら、、、、、、タミフルよりクラリスロマイシンの方が、効きそう、、、って思うのは、自然な事だ。。。。ただ、クラリスロマイシンの“理屈”が、試験管内ではなく、人体で効果的じゃなければならない。最近じゃ、ヒトから取り出した細胞使っての試験管内のことも、in vivo って言ったりするらしく、ややこしいから“人体実験で”って言っておくけど。。。。
じゃ、香港で流行したH5N1型鳥みたいに、NS1遺伝子が関与するサイトカインの働きに“抵抗を示す”タイプの強毒型のウイルスの場合は、、、、、どうなるんだ??
まぁ、クラリスロマイシンは、感染の最前線、すなわち粘膜での侵入を許さないって理屈だから、効きそうだけど、、、、“人体で”で証明できなきゃ・・・ねぇ!?
と、余韻を残しつつ、次回に続く・・・・・・・(のかっ?)