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パンドラの箱

20091120_Pandora.jpgパンドラの箱をご存知だろうか???  知らない人はいないとは思うが、、、、

ギリシャ神話のエピソードの一つだ。パンは“全て”をドラは“贈り物”を意味するギリシャ語だ。誰からの誰への贈り物かといえば、神様から人間へのである。

ただし、この贈り物は、人間が困る為に神が送ったものであり、決してもらって嬉しい贈り物ではなかった。これを知っている人は少ないかも、、、、

プロメテウスとエピメテウスの兄弟は、ゼウス達オリンポスの神々とは従兄弟の間柄である。そしてプロメテウスはその名(先見の明)の通り、賢い。ゼウスは神の中の神であり、その他の神々はひれ伏すしかないのだが、プロメテウスだけは違った。

ゼウスは人間に知恵が付く事を嫌ったが、プロメテウスは持ち前の天邪鬼ぶり?を発揮して、人間に“火の使い方”を教えてしまった。(おおういきょうの茎に入れてもっていったんだとさ)当然、ゼウスの逆鱗に触れるわけだが、、、、プロメテウスはゼウスの弱みを、、、、

それはさておき、ゼウスとはそんな間柄だったので、プロメテウスは、常々、弟のエピメテウスに『ゼウスからの贈り物には気をつけろ』と言っていた。

ある日、エピメテウスが留守番をしていた時、壷を携えた人間の女がやってきた。この女が、ゼウスから人間への贈り物である。パンドラだ。エピメテウスはその名の通り(下衆の後知恵)、お馬鹿だった。この美女をたいそう気に入り、、デレデレデレ、、、、

エピメテウスが開けたとも、パンドラが開けたとも言われているこの壷の蓋だが、この中に何が入っていたかは、みなさんご存知の通りである。あらゆる人間の災いである。痛風、リュウマチなどの病、貧困、嫉妬、怨恨、復讐などである。あわてて蓋を閉めると、「前兆」だけが中に閉じ込められた。

もし、この「前兆」が外に飛び出していたら、人間はその生涯に起こる不幸をすべて、正確に知ることとなる。そうなると人間はどうなってしまうのか。

希望を抱くことができなくなり、生きていられなくなる。人間は災いから生き残っていくことは可能であるが、希望なしに生きることはできない。(この「前兆」は、文献によって、ときに「希望」となっている。)

ゼウスの思う壺である。

日本には『知らぬが仏』と言う諺があるが、知ってしまったからには、、、、、ってヤツだ。


話は変わって、、、

私の一日は、ネットで医療情報を“漁る”ところから始まる。日経メディカルオンラインはその一つ。

その日経メディカルオンラインのブログで 本田 宏 医師 が書いていらっしゃる「勤務医よ、闘え!」も、よく目を通す一つだ。

ただ、最近、ちょっとお疲れのご様子。

それは、本田 宏 医師 の主張である『医療費を増やせ』『医師を増やせ』に、身内であるはずの医師からも、反対の声がかなり上がっているからだ。主に『医師を増やせ』の部分に。。。。

私は、薬剤師なので医師の数に言及する事はいたしかねるが、『医療費を増やせ』の部分には、いつも違和感を感じている。

違和感を感じる理由は、簡単だ。

本田氏の主張は、医師不足の核心を微妙にはぐらかしている。でも、庶民を敵に回すことにもなりかねない発言は、氏の立場上、出来る事ではないので、氏も歯がゆい思いはしていると思うのだが。。。

この本音の部分を吐露しない限り、政治家による政策と同じで、問題の解決には至らないのは自明だ。とても残念だが。


と、私らしくもなく、綺麗にまとめるつもりは無いので、いつもの調子でやると。。。


この本音の部分を吐露しない限り、政治家による政策と同じで、問題の解決には至らないのは自明だ。もっとも問題を解決したくないなら、核心には触れちゃイケナイんだけど。。。となる(諸外国じゃGDPの何%が医療費だってよく言うけど、日本人と欧米人の疾病構造は違う!治療法や医薬品の認可では【違う】って認識している人でも、医療費の話になると解釈は違うらしい??もともと日本人は健康的なんだよね。医療制度が良いから長生きしてるわけじゃない。今回は、この話じゃなくって・・・)。

病院に来ている患者のすべてが、はたして、治療が必要なのか?ということだ。だから違和感がある。これを明確にした後なら、本田 宏 医師 の主張は腑に落ちるのだが、、、


【病院が老人サロンと化している】


マスコミは、たまに、こういう実態を取り上げる。ただ取り上げるだけで、医療費問題とか医師の過労には結び付けない。それに治療が必要ない患者はなにも老人だけじゃない。子供も大人も老人も、程度の差こそあれ、医師が治療に関与する必要も無い人が、病院を訪れている。

これを否定する人はいなだろう。

だけど、個々の患者に関わってしまうと、それが言えない。また、患者自身も『自分だけは、医師の治療が必要だ』って思ってる。

『あなたは治療する必要が無い。自然に治る』『あなたには、もう、なす術が無い』と言えるのは“医師だけ”なのだが、これが言える医師がいない。というか、言える“雰囲気”が日本にはない。誰が作り上げたのかは知らないが・・・・。

この問題に触れないで医療政策はありえない筈なのだが、何故か議論すらなされていない。結局、お金が沸いてくるなら、ジャンジャン使えばいい。だけど、お金が無いんだから、それをどうするのかが、政策なのに、道徳的であったり、人道的な話とごちゃ混ぜの議論になってしまう。

【病院が老人サロンと化している】は知ってるけど、それは、自分の事じゃない。それに、高い健康保険料を払ってるんだから、元をとらなきゃ損っ!って、やってるから、自己負担“無し(0割)”だった老人保険や社会保険の本人に負担が発生し、今じゃ、3割は自己負担だ。

見てみぬ振りして、問題を先送りしているから、こうなる。この調子だと増税は必至だ。

さらに、病気であるかどうかの認識は、個人差がかなりあるのに、それが『良くない事』にされ、日本人なら平等に医療が受けられる事がよい事だとか何とか言っちゃって・・・。


70歳前のあるご婦人が、、、、農家に嫁いで40年。舅、姑、夫と亡くし、譲り受けたものを処分して、便利な住宅街に移り住んだ。お付き合いする友人も新しくできたが、一つだけ困った事がある、それは、風邪を引いた時や軽い怪我をした時、周りの友人から『病院には行ったの?』『病院行かなきゃダメじゃない』と、常に、言われる、、、と。『一晩寝てれば良くなるのに、病院に行かない事が、何か悪い事のように思えてきた』と。


なんか、、、、パンドラの箱を開けちゃった後のように思えてくるのは、私だけだろうか?

テレビでは『あなた!それは病気です』ってやってる。『コレステロールを甘く見るな!』とか『ほんとは怖いなんとか症状』とか、、、『健康診断を受けて早期発見』。。。。。で、、、、検査結果を知ってしまった、、、と。パンドラの箱を開けたようなものだ。全部とは言わないけど。

読売新聞、本日の朝刊にも、、、『消化器がん、血中遺伝子変化で判別…世界初』と。これ、遺伝子医学“萌え”の私にとっては、トピックなんだけど、これの利用方法を想像すると・・・・・・。結局、診断は付いても、治療方法が無い・・・・。いや、患者本人には『為す術は無い』とは言えないから、、、、だったら、パンドラの箱は開けなきゃ良かったのにぃ・・・・と。もちろん、厳密に、治療の術がある患者と無い患者を“峻別”する為に用いられるのなら、、、、、、。

どうして、一般紙が、このようなニュースを取り上げるのだろう・・・?

患者は、診断が付けば治せると勘違いしている。診断が正しく付くのと治療法はセットだと思い込んでいるのに・・・・・。

消化器がん、血中遺伝子変化で判別…世界初

 金沢大学医学類の金子周一教授らの研究グループは19日、消化器がんの有無を血中の遺伝子の変化で判別する技術開発に世界で初めて成功したと発表した。

 胃、大腸、膵臓(すいぞう)がんのいずれかの有無を9割の精度で判別できたといい、消化器がんの早期発見、治療が期待される。

 金子教授らは、消化器がんが発生した場合にだけ働きが変化する約1800の遺伝子群が、血球中に存在することを発見。血液2・5ミリ・リットルを使い、特に変化の大きい約800の遺伝子群を解析した。

 がん患者53人の症例検査では、がんと関連した物質の血中濃度を調べる腫瘍(しゅよう)マーカーでは27%だった判別率が、遺伝子解析では91%の精度で三つのがんの有無が判定できたという。

 さらに、腫瘍マーカーでは正常と診断された初期(1a期)の胃がん患者の判別にも成功したという。

 がんの種類も約7割の精度で識別でき、難しいとされる膵臓がんの早期発見にも期待している。金沢大は、自前の発明を事業化する学内ベンチャー「キュービクス」と特許許諾契約を結び、この検査法は早ければ来年末にも、医療現場に導入される見込み。

(2009年11月20日05時56分 読売新聞)


さて・・・・・・と、下準備は整った!!

さて、テレビコマーシャルで徳光和夫は「コレステロールを甘く見るなよ。さっさと病院にいけ」って言ってるけど、、、、、、

2つ前のエントリーで、『エイズの診断で感度99.9%、特異度99.9%の検査をしたところ、陽性と出た。だが、この人がエイズに感染している確率は、99.9%ではなく、約17%である。』って書いた。

実は、私も、ずるい事をやっている。。。。

印象操作だ。これは、『病気を作る、病人を増やす』方向への印象操作に対する“お返し”である。

『この人がエイズに感染している確率は、約17%』としたのは、例えば、献血などで、全く HIV に感染するリスクを犯していない人達をも含めてスクリーニングする場合を想定した“数値”だ。

検査をする集団を、『やばそうな売春婦や兄貴(男)と肉体関係を持った』人達に絞り込んだら、、、、このグループを、例えば 1 %がホントにウイルスに感染しているとすれば、99.9%の感度・特異度の検査をすると、、、約91%の確率で、ホントに感染している人を捜し当てられる。

なんだか、騙されたように感じるかも知れないけど、医療統計学とは、そういうものである。だから、逆方向に騙す事も簡単なのだ。


今、日本人に形成されているコンセンサスは、『コレステロールは危険、だから、薬で下げなきゃ』だろう。もしかしたら、製薬メーカーの洗脳術に徳光和夫が利用されているだけで、一般大衆は、そこまで“愚か”じゃないのかもしれない・・・・が、、、パンドラの箱が開け放たれたままなのは、間違いない。

健康診断で、コレステロール高値を指摘されて、病院に行った人の中で、果たして、何パーセントの人が、医師に『薬を飲んで下げなくても良い』と言われて、納得するのだろうか??


ところで、『コレステロール値が高いよ』って言われた人の中で、一体、何人の人が心筋梗塞などの心血管系の病気になるのだろう?

これは、日本人でのデータがあるから、それを参考にしよう。mega study だ。大雑把に言うと、治療群と無治療群の前向き比較。(平均年齢58歳、総コレステロール平均値243mg/dl、LDLコレステロール平均値157mg/dl。高血圧合併率42%、糖尿病合併率21%。。。。なんとも言えないサンプル)ここで、、、、

総コレステロール値 220~270mg/dL の人をホッタラカシ(食事療法とか書いてあるけど)て6年後の心血管系の病気になっちゃった人が、100人中3人の割合でいたそうだ。発症人数の増え方は“線形”だとか言ってた。とすると、12年後には100人中6人、24年後には100人中12人になる予定だ。

被験者の半分は薬を飲んでコレステロールを正常値にコントロールした訳だけど、発病した人は 6年後に100人中2人だっただそうだ。だから、無治療の人達と治療した人達を比べると、100人中3人が100人中2人になってるから、33%の発症抑制効果があるって、医療統計学では言う。。。。。これ、どう思いますか??

って、これは今回の話から外れるし、前にも取り上げてるからおいといて、、、

もし、可能ならば、mega study で登録した被験者をコレスロールだけを“正常値”の人に代えて、6年間、追跡してみて欲しい。100人中3人にイベント発生したりして・・・・(爆笑)

おっと、脱線したけど、結局、コレステロール値が高いというだけじゃ、“良くわからん”というのが、正しい見方だと思う。

mega study の被験者達を見ても、なんとなく想像付くように、コレステロールが高値の場合、血糖値、尿酸値などは、独立しているというよりは“連鎖”しているって考えたほうがいいんじゃないのかなぁ?体質や嗜好・・・・遺伝子に還元されるんだけど・・・。

コレステロール値で引っかかった人全員を薬漬けにするんじゃなくって、その人達を対象にもっと感度の高い検査を実施して、、、、、、


ふぅ~、やっと、「高感度CRP測定」まで、たどり着いたみたい・・・・・。

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2009年11月20日 17:16に投稿されたエントリーのページです。

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