メイン

医薬・生命科学 アーカイブ

2008年12月10日

インベーダーって何?

20081210_polymorphism.jpg『インベーダー』って聞くと、ドッ・・ドッ・・ドッ・・ドッ・・・、キューンキューン、フニュフニュフニュフニュフニュフニュ・・・・・、『やったぜ!UFO 300点』・・・・・・って熱くなるのは、アラフォーの世代かなぁ!?

私の場合は、高校1年の時に大ブレークでした。名古屋打ちをマスターしたつもりの私でも、最後の一匹には泣かされ、喫茶店で粘ること1時間・・・・・・散財しまくって、、、って話ではなくって。


大方の予想通り、個の医療は薬物治療における副作用防止から始まった・・・って話。

その遺伝子多型の診断薬の名前が、、、なななんと、『インベーダー』なのだ。正式な名前は「インベーダー(R)UGT1A1 アッセイ」だ。2008年11月1日付で保険適用(保険点数2000点)となった。

この手の商品は、これからバンバン出てくると思われるが、個の医療としての遺伝子治療は、まだまだ、当分、先の話だろう。

しかし、診断キット、製品としては、2005年にアメリカで使用開始されている。なのに、何故、日本での導入が遅れたのか??

この診断薬で治療するわけじゃないんだから、副作用もへったくれもないのに??

あっ、その前に、何を調べる診断薬なのかを説明しておこう。

“イリノテカン”って抗がん剤は、いろんながんに使われているんだけど、その代謝(解毒)酵素、すなわち、UDPグルクロン酸転移酵素(UGT1A1)の遺伝子には多型が存在する為、同じ量を投与しても“イリノテカンの効き方”が違うっていう現象に、臨床医たちは悩まされていた。効かなくてもマズイけど、効きすぎれば“致命的”だからだ。

この“インベーダー”は、UDP グルクロン酸転移酵素(Uridine diphosphate glucuronosyltransferase,UGT)の分子種の1つであるUGT1A1 遺伝子多型のうち、抗がん剤「塩酸イリノテカン」の代謝に関与すると報告されているUGT1A1*28 とUGT1A1*6 を判定するのだ。ちなみに、遺伝型*28と*6を持つ患者は代謝活性が低く、“イリノテカン”の作用が強く出てしまうタイプだ。

で、この多型を調べる方法を“インベーダー法”と呼ぶ。

ちなみに、グルクロン酸転移酵素 (UDP-glucuronosyltransferase : UGT) は、薬物、異物あるいは内在性物質であるビリルビン、ステロイドホルモン、胆汁酸などにグルクロン酸を付加する反応を触媒する酵素で、べつに特別なもんじゃない。


閑話休題。厚生労働省は、何故、保険適用を渋ったのか????

いろいろと考えてみたけれど、メリットしか考えられないので、意味不明だ。『個人の遺伝子を調べる事』を利用した医療が日本で初めてなので、もし、万が一、想定外の事が起きたら、新聞・マスコミの格好の餌食になるからビビったのか??

そう言えば、BTJ 11月号に、『東大医科研論文捏造報道はフェアだったのか?』と題して、朝日新聞の姿勢を問う文章が掲載されている。朝日新聞に事実誤認があっただけでなく、事件そのものの“悪質性”などを考慮すれば、取るに足らない事なのに、相手が“天下の東大”だということだけで、記事のボリュームは常識を欠いていたと。(アメリカじゃトリビューン社が潰れたっていうし、そろそろ、朝日も危ないかな!こんな三流週刊誌並みの記事を書いてるようじゃね)

こんなことされりゃ、厚生労働省もビビるわなぁ。なにしろ、日本で初めての事をするわけだからねぇ。

というわけで、最初の一歩は誰しもが踏み出したくないっていう、日本人の特質からくるものだったのだろうか??

それとも、単に“保険適用”しなかったのは、保険の財源の問題??

何にしても、投与する前から、副作用の発現がある程度予測できるのには越したことは無い。正式な手順を踏んで取得した医薬品を使っての副作用は“救済制度”がある。この制度による支払い金額が、年間、どれ位になるのかは調べたことも無いけれど、そんなものと天秤にかける事じゃないだろう。


現場の人間に取っちゃ、副作用が出たら、取り合えず、矢面に立たされる。その上、最近ではそれを理由に脅されるケースもあるらしいし。

そういうわけだから、現場の医療人の士気に関わる事を考えても、この手の診断薬はバンバン保険適用されることを望みたい。そして、存在の必然性も無いくだらない医薬品は、薬価基準からバンバン削除してもらいたい。


・・・・と、本日は、日記ふうにかいてみました。

2008年12月06日

ブロッコリーは喫煙者の友?

20081206_smoking.jpg不思議なんだけど、タバコを吸いたいヤツは自分の意思で吸ってるんだから、放って置いてあげればいいと思うんだけど、おせっかいを焼きたいヤツが、世の中にはゴマンといる。

この手のデータをせっせと集めるのも、その手の一味に違いない。

がんになるのは当人にとっては、“all or nothing”のはずなのに、それを確率論に摩り替えて、意味の無い疫学調査に意味を持たせようとしている。。。。と私なんぞに下衆の勘繰りをされても仕方が無い。

そして、この手のデータは“みのもんた”や“あるある大辞典”のかっこうのネタになる。

だが、まてよ!この不況の時代に、消費活動に弾みがつくのなら、なんでもアリなんじゃないのか??って思いも頭をよぎる。別に、野菜を食べ過ぎても害にはならないだろうからね。自分で判断すりゃ良い。


その昔、ギリシャにおいてペロポネソス戦争の時代に活躍したアテネの偉大な政治家ペリクレスは何が一番優れていたかと言うと、民衆に『この国の政治は、自分たちが直接動かしている』と思い込ませたことによるのだとか。

結局、偉大な政治家は、民衆に騙されている事を悟らせずに手玉にとる事が出来るのだ。翻って、今の政治家はどうだろう?答えは誰の目にも明らかだと思うが。。。。

“みのもんた”や“あるある大辞典”などを筆頭に、マスコミも同様だ。やっていることは、民衆の思考停止を招くことだけ。

たしかに、民衆の思考を停止させれば、御しやすいのかもしれないけれど、民衆は馬鹿ばっかりじゃない。自分で考える人もいる。だから、ボロが出る。

しかし、民衆自ら『俺達ゃ、頭使ってるもんねっ』って思わせておけば、反発する人間なんぞは現れない。しかし、これは高度なテクニックを要する。私自身も、ペリクレスがどうやって何十年も“陶片追放”を免れたのかわからない。まぁ、だから偉大なんだろうけど。(ペリクレスがいなくなったとたん、アテネはスパルタにやられ、スパルタはテーバイに取って代わるも、どっちにせよ都市国家の域を出られず、船頭多くしてギリシャはまとまらない。やがて、王政のマケドニアに支配される。支配したのは、ご存知アレキサンダー大王の親父ってことだもんねぇ)


で、身近なところから民衆にあたまを使わせるには?って考えたら、『タバコの害は自分で考えなっ!』ってところに行き着くわけだ。(って、俺だけじゃねぇ~よな?)

おせっかいはやめた方がいいんじゃねぇのぉ??


ところで、日本人は別な意味で思考停止を“善し”とするところがあるって思う。自分の事も自分で決めないで、大勢の流れに身を任せる・・・・・。先進国の中でAIDSは増え続け、アルコール消費量も増え続けているのは、思考停止しているから以外のなにものでもない。
 
 
 
話は変わるが、最近知った事で、面白いことがある。裁判員制度が気になっているので、その周辺を調べていて hit したものだ。

私のところに、裁判員候補者としての連絡が来たのかどうか、それは言えないが(『来た』とも『来てない』とも言えない。だって、言ったらいけないんだよね?)、最近、こんな事(「裁判」と「判決」の違いなんての)を知ってしまったので、考えさせられたのだった。

ソクラテスは青年に害悪を及ぼしたという罪で裁判にかけられ、死刑を宣告された。ソクラテスはその裁判に不服だったが、弟子達に脱獄を勧められた時、「この裁判は受諾し難いが、その判決を受諾しなければ法治国家は成り立たないから判決には従う」と、従容として毒を飲んで死ぬ。。。。

というエピソードは、みなさんもよくご存知だろう。

"Japan accepts the judgments of the International Military Tribunal for the Far East and of other Allied War Crimes Courts both within and outside Japan"という文章は、どうだろうか?ご存知だろうか??なんとなくわかったかもね。

そう、サンフランシスコ講和条約11条の原文だ。

で、Japan が accepts した judgments の judgments は、どう訳せばいいのだろう?

当時の外務省はこれを「極東国際軍事裁判所並びに国内外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾する」と翻訳したそうだ。その為、多くの日本人が、日本は「東京裁判」そのものを受諾したと思っている。

と、えらそうに書いたが、実はこれは受け売りで、上智大学名誉教授 渡部昇一氏 の考えだそうだ。


で、私も、英語の翻訳サイトで上記文章を和訳させてみた。

まずは、エキサイト翻訳。
『日本は極東への国際Military Tribunalと他のAllied戦争Crimes Courtsの判断を日本以内と日本の外に受け入れます。』

次に、Yahoo Bable Fish 翻訳
『日本は他の同盟戦争犯罪の極東のための国際的な軍事裁判の判断を受け入れ、日本の内のそして国外の両方を招く』

まぁ、どちらの翻訳も日本語としては“酷い”ものだが、どちらも、judgments を“判断”と訳しており、決して“裁判”とはしていない。


どうして、外務省は judgments を“裁判”としてしまったんだろう??


文脈から考えて、判決=裁判 となるだろう・・・・って事なのか??

戦犯たちは、1946年4月29日に起訴され、1948年12月23日に死刑執行されたという、非常に政治的な裁判だ。負けたんだから政治的な制裁の意味があるのは当然だと思うし、立場が逆だったら、アメリカの原爆投下を“非人道的”として断罪しただろうから、ソクラテスが判断したように、世界の秩序を守るためには、日本が“判決”を受け入れるのは当然だと、私も思うのだが、、、、

その他諸々、証拠の捏造、隠匿、証人の証言を途中で打ち切ったりと裁判自体の進め方や日本だけが非人道的・・・云々に関しては、到底、受け入れてはならない筈だ。なのに、外務省はどうして、全てを受け入れるかのように“裁判”としてしまったんだろう??
(逆に見れば、諸外国は『日本は judgments を受け入れただけなのに、何故、あんなに卑屈なんだ?』って思うのだろう)

もしかして、全てを受諾して『はいはい、私達日本が、すべて悪ぅございました』と言っていれば、後のことは何も考えなくても良い・・・・・・・・。って事なのか?

だとしたら、恐ろしい。

それが証拠に?、田母神俊雄氏の考えは、政府もマスコミもこぞって否定しようとしている。“村山談話”だけに論拠を求めるのは、どう考えても無理があるもんねぇ!あっ!村山談話だけで納得する民衆を作るためにも、思考停止は必要・・・・・・。


閑話休題。ってことで、私は、何度も書いてるけど、小学校・中学校の頃から、肺がんで死んだ人の肺組織を見せつつ、『タバコを吸うと、こんなことになることがあります。まぁ、ならない人もいるから、後は、自分達で考えなさい』という教育しかないっ!って思ってるんだけど、どうだろう??


以下が、エントリーの元ネタです。

提供:WebMD

アブラナ科の野菜は喫煙者の肺癌リスクを低下させる

Miranda Hitti
WebMD Medical News


【11月18日】ブロッコリーなどのアブラナ科の野菜をたくさん食べる喫煙者と元喫煙者は、そうでない喫煙者より肺癌になりにくいようだ。

これはロズウェルパークがん研究所(ニューヨーク州バッファロー)の研究者らが今日、ワシントンD.C.での癌予防に関する米国癌研究会議(AACR)で報告したニュースである。

「まず初めにすることは禁煙」と研究者のLi Tang, PhDはWebMDに話す。なぜならば、肺癌発症の「リスクを下げるためにはやはり禁煙が一番効果的」だからである。

禁煙に加えて、喫煙者と元喫煙者はブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、ケール、かぶら菜、からし菜、コラードグリーンなどのアブラナ科の野菜をたくさん、それも生で食べるとよいとTang博士は言う。

一方、絶対に肺癌にならない「魔法の野菜はない」とTang博士は注意する。しかし野菜を多く食べて損することはない。

Tang博士のチームは、948名の肺癌患者と1743名の非肺癌患者に喫煙歴のほか果物、アブラナ科野菜、その他野菜の摂取量について質問した。

喫煙者でも特に元喫煙者では、アブラナ科の野菜をたくさん食べていることが肺癌リスクの低下に関連していた。

だからといってアブラナ科の野菜が肺癌を予防したということではない。Tang博士の研究は観察研究で、アブラナ科野菜の肺癌予防効果を直接調べたわけではない。

しかしアブラナ科の野菜に含まれるイソチオシアン酸という成分に抗癌作用があることが他の研究で分かっている、とTang博士は指摘する。

Tang博士の研究で最もよく食べられていたアブラナ科の野菜はブロッコリー、キャベツ、カリフラワーであった。加熱によってイソチオシアン酸を活性化するのに必要な酵素が壊れてしまうので、これらの野菜は生で食べるのが一番いい、とTang博士は言う。

今年の2月、ブロッコリースプラウト抽出物中のイソチオシアン酸にラットの膀胱癌予防を助ける作用があると別の研究者が報告した。

また7月には、ブロッコリーを週に数回食べる男性は食べない男性より前立腺癌になりにくいことが別の研究で明らかにされている。

broccoli-a-smokers-best-buddy

(C)2008 WebMD Inc. All rights reserved.

2008年11月11日

多数でも、それは間違い

20081111_Aneuploidy.jpg民主主義では、多数が正しいことになっているが、この“正しい”の定義をしておかないと、勘違いも甚だしいとなってしまうというお話。

前提となる仮説が証明されないまま、なんとなく一人歩きして“正しい”とされてしまって、それを根拠にして新しい仮説を証明してしまう・・・・・・、医学の不確実性を証明するもってこいの事例だと、『ピン!』ときた知見を紹介して、進めてみる。


多くのがん細胞は異数体であり、間違った数の染色体を持っているが、異数性が実際に腫瘍化の表現型に寄与しているのか、あるいはそれを抑制しているのかは、はっきりしていない。

Science October 31 2008, Vol.322 では、『細胞増殖の抑制を引き起こし、培地中の細胞の不死化に対しては可変性のある効果をもたらした。』とある。

だが、Nature Reviews Cancer 8(11), (Nov 2008) では、TAp73 の機能を解明する過程で、異数性ががんの原因だから、異数性を抑制できる TAp73 は“がん抑制遺伝子”であると結論している。

どちらも、染色体異常になると“ヒトにおける流産・不妊”の原因になると解釈している。違うのは、がんに対してだ。

異数性と増殖(Aneuploidy and Proliferation)

Science October 31 2008, Vol.322

多くのがん細胞は異数体であり、間違った数の染色体を持っているが、異数性が実際に腫瘍化の表現型に寄与しているのか、あるいはそれを抑制しているのかは、はっきりしていない。

Williamsたちは、4つの異なる染色体のうちの1つのコピーを余分にもつ、マウスの胚性線維芽細胞の株化細胞を作成した(p. 703; Hernandoによる展望記事参照のこと)。

異数性は余分なコピー中にある遺伝子の発現をおよそ1.5倍増加させ、多く表現された特定の染色体には依存していなかったが、染色体のサイズには依存する細胞増殖の抑制を引き起こした。

異数性は、培地中の細胞の不死化に対しては可変性のある効果をもたらした。

こうした知見は、ヒトにおける流産や精神遅滞を導くこともあるプロセスについてのさらなる理解に道を開くものである。

Aneuploidy Affects Proliferation and Spontaneous Immortalization in Mammalian Cells
p. 703-709.
CANCER: Aneuploidy Advantages?
p. 692-693.


腫瘍形成:ノックアウト!

Nature Reviews Cancer 8(11), (Nov 2008)

p53相同体TAp73に腫瘍抑制機能があると考える研究者たちは、TAp73特異的ノックアウトマウスに関する最近の分析結果を受け、そろって安堵のため息をついた。

このタンパク質ががんに果たす役割を詳しく知ろうと奮闘するも、Trp73遺伝子座がコードする複数のタンパク質産物が、転写活性を示す「p53様」アイソフォーム(TAp73と総称される)と、そのドミナントネガティブな「宿敵」、発がん性アミノ欠失タンパク質(ΔNp73と総称される)の2種類に分けられるという事実に、阻まれてきた。TAp73の腫瘍抑制機能を支持するグループは大いに不満であったが、そのアイソフォームについては、p53との間に配列相同性以上の共通点を立証することが困難であることが判明した。というのも、がんにTP73遺伝子の変異がみられることはまれで、なおかつ、どちらのグループのアイソフォームもないTrp73ノックアウトマウスには、腫瘍が生じにくいためである。このノックアウトマウスに腫瘍が発生しないのは、同時にΔNp73がないためであるとする見方が多かったが、アイソフォーム特異的ノックアウトがない以上、理にかなった説明は難しかった。

しかし、Genes and Developmentに発表されたTomasiniらの最近の研究で、TAp73に腫瘍を抑制する機能が実在することが示された。TAp73特異的ヌルマウスを(エクソン2および3を欠失させて)作製したところ、野生型同腹仔の腫瘍発生頻度がわずか6%であったのに対し、TAp73ヌルマウスでは73%であった。しかも、TAp73が欠損している場合、発がん物質のDMBAを腹膜内投与してから大腸、肝、小腸および胃に腫瘍が生じるまでの潜伏期間が、有意に短縮した。このことから、TAp73には単独でがん化を阻害する作用があることがわかった。

では、TAp73は、どのように腫瘍抑制機能を働かせているのだろうか。興味深いことに、機序を推定する手がかりとなったのは、TAp73欠損コホートの不妊であった。TAp73欠損では、卵母細胞に紡錘体異常が目立ち、ゲノム安定性の維持におけるTAp73の役割が示唆された。この仮説と一致して、有糸分裂阻害薬ノコダゾールで処理したTAp73欠損マウスの胚線維芽細胞(MEF)は、細胞周期のG2/M期に停止せず、不適切な有糸分裂を続けた。さらに、ノコダゾールの長期投与により、TAp73欠損細胞に8Nの細胞集団が現れた。これは対照群にはみられなかったものである。さらに極めて重要なことに、その後の実験により、肺組織が胸腺組織に比べ、特にTAp73消失後に異数性となりやすい(TAp73ヌルマウスの肺腫瘍頻度が高いことを考えれば、説得力のある所見である)ことがわかり、こうした作用が組織特異的であることが示された。

この研究では、TAp73の作用が腫瘍形成にとどまらずゲノム保全にまで及び、がんおよび不妊の両分野に影響を及ぼすとしている。今回の成果より、TAp73が腫瘍抑制因子かどうかという疑問には、一応の終止符が打たれたようである。しかし、TAp73が、紡錘体の集合体に影響を及ぼしているのか、それとも細胞周期または有糸分裂の融合タンパク質を調節しているのか、という新たな疑問が浮上してきた。しかも、これらのデータは、遺伝的不安定性、異数性とがんのつながりに関して、いまだに続いている議論に、さらなる影響を与える。おそらく、TAp73は今後も議論を呼び続けるタンパク質の1つなのだろう。

doi:10.1038/nrc2527


私には、この二つの論文を評価するなんて、そんな大それたことなど出来る筈もないが、現象の解釈に差があることくらいはわかる。そして、それが、現代の医療崩壊、医療不信の根源であることを、医療を受ける側の知識の欠除、すなわち、結果(現象、表現型)から原因が特定できるという間違った認識であると、指摘するくらいは出来る。

私がこのブログで、度々、『戦争解釈のナンセンス』『歴史的認識は単なる思想』と断じるのも、やっぱり、同じ理由だ。


人は、アプリオリに結果から原因は特定できると考えがちだ。


“線形”な結果が得られる実験などでは、原因の特定は簡単だろうが、非線形であったり複雑系であったりすれば、原因の特定なんて出来るわけもない。

人体が“複雑系”であることを疑う人はいないだろう。発がん物質と呼ばれるものを体内に取り入れた後、発ガンする人としない人がいるわけだからね。

『太平洋戦争を侵略戦争だと認識しないと、また、戦争を引き起こす国になる』っていう証明も出来ない“説”をもって、未来の結果を予測するのは、『納豆を食べてダイエットが出来る』と同じくらい“非科学的”な論証だ。


歴史が政治的判断を下す“エビデンス”として不適切な事を理解していない人が多いのと同様、医学が不確実なものであり、結果は確率論的に分散することを理解していない人も多い。

民主主義的に多数が“正しい”と認識していても、間違いは間違いなのだ。赤信号は皆でわたれば怖くないかもしれないが、正しい行為で、安全ということとは違う。

いや、もしかしたら、理解はしているが『理解したくない』人の数もかなりに上るのかもしれない。身内が亡くなって、『何故、○○さんとこのご主人も同じがんなのに、うちの主人だけ死ななきゃならないの?』と。


ただ、こういうエピソードに際し、現代人がこのような反応、すなわち不確実性を許容できなくなったのは、教育とマスコミが原因であるのは間違いないだろう。

マスコミは期待値と結果を同一視してしまう愚かな人間を作り出す。

それは、特にスポーツにおいても顕著だ。『国民がこれだけ応援している(金メダルを期待している)んだから、金メダルを取れる』と。もっと低レベルでわかりやすいのは、サッカーのサポーターだ。彼らは自分達を12番目の選手だと思い込み、一所懸命、応援するんだけど、ひいきのチームが勝たないと怒りくるって暴発する。

期待値を高めても、それは結果には繋がらないということを学んでない。応援して勝ったら喜び、負けたら悔しがる・・・・ここまで。これが、教育。(サポーターなんて、日本人の民族性・宗教観に合わない制度と言葉を持ち込んだマスコミの餌食になるのも、また、教育がなされていない証拠だ)


私は、大昔の生活(3~4世代同居)の信望者ではないが、現代人が人の死に直面することが極めて少なくなった事もこれを助長しているんだと思う。


いわゆる“死生観”ってやつだ。

『(病気が)治ってほしい』『死なないでほしい』と期待値が高ければ、期待はずれの結果に納得できなくなってしまう。朝、起きたらおじいちゃんが冷たくなって死んでいた。病院でなく、我が家で死を目の当りにしたら、違った感情が沸いてくることは、想像に難くないよね。(少なくとも病院で医師を罵倒しない)

教育の現場に宗教をもちこまないから、人の死について語れない。さらに持ち込んだらいけないといって、道徳教育をやめちゃった弊害もあるのだろう。(森喜朗元首相と同じこと言っちゃうもんね)

現代の日本人の大多数は“宗教”という言葉に“胡散臭さ”しか感じないんだと思う。

“胡散臭さ”を感じるだけならまだしも、死をも否定したがる。本来、否定の対象じゃないのに・・・・。


自分のことを考えてみても、“宗教”を学んでも、奇妙奇天烈な価値観に偏好するなんてことは、絶対ない。むしろ、立場の違いを通して、想像力がアップしたとさえ思う。

注意:想像力というのは、相手の立場に立って考えるってこと。

相手の立場に立って考えるってことは、相手を哀れんだり、感情移入することではないので、勘違いなきよう!!相手を哀れんだり、感情移入すると、奇妙奇天烈な価値観に偏好しちゃうから、要注意だよ!


ところで、『赤信号、みんなで渡れば怖くない』って感覚が、マラソンランナーの“先頭集団”とか“2位集団”などを形成してしまう現象と同じで、人間の本能・・・・というより、物理学の普遍の法則に成り立っているという事を、最近、知った。

あっ、知ったというのは、“マラソンランナーがグループを作る”って事で、それと『赤信号・・・』は同じじゃないかと、私のやぶにらみ。

物理学者の蔵本由紀は、お互いに影響しあう振動がどのような全体像を示すのかを理論的に解明した事で有名だ。それを、ストロガッツ(『SYNC -なぜ自然はシンクロしたがるのか』の著者)らがマラソンランナーに例えて解説していて、私は、最近、それを知ったのだ。

詳しくは、自分で調べてもらう事にして、ようするに、生きているってことは“振動”しているって事で、振動は“シンクロ”したがるものらしい。

振動がシンクロしないと、生物のサーカディアン・リズムが生まれないし、遺伝子の発現が制御されない。

実験で、同レベルのマラソンランナーを走らせておくと、平均よりちょっと遅いランナーは“追いつこう”とし、ちょっと早いランナーは“逃げようとする”ところで“シンクロ”し、いつまでも集団で走り続ける。或いは、一周遅れで追いつかれたとき、また、併走しようとするのもこの振動がシンクロしたがるからなのだそうだ。レベルの差がそれより大きい場合は、先頭集団、第2位グループ、第3位グループと、いくつかの集団に別れ、レベルの差が激しい場合は、ばらばらに走るのだとか。

生物の脳波やさまざまなシグナルが、3峰性になる理由がこれで説明出来るのだそうだ。


だから人間はデフォルトで『赤信号、みんなで渡れば怖くない』であり、そうならない為に“教育”が必要ってことなんだろう。マラソンで集団を作るのはかまわないけど、赤信号で横断歩道を渡る(病院で暴れる)のはマズイよね。で、因果律についての知識を得る事が、大事だって事は、いうまでもないっ。

2008年11月04日

ETC カード挿入忘れ

20081104_Microbiome.jpg名前が付くと研究は進む。

語尾に“オーム”がつく言葉は、年々、増えている。最初は“ゲノム”だろう。

近年、ついに“マイクロビオーム”という言葉が誕生した。このオームのつく単語、過去にも、いろいろとエントリーのネタに使っている。
低出生体重児に関わるタンパク質と遺伝子』、『LTP と LTD はシステムバイオロジーから』、『やっぱり、重要なのは“制御”だ』などなど。


人間の個性をあらわすのに“フェノーム”なんて言葉はすごいと思ったけど、いまいちイメージしづらく、ヒトに常在している細菌との関わりを“メタゲノム”であらわすのも、わかる人にはわかるけど・・・って感じで、うまく表現しきれてない感じは拭いきれなかった。

やっと真打登場って感じの言葉が登場した。それが、マイクロビオームだ。


遺伝子だけでは説明しきれない“フェノーム”の多様性、たとえば、一卵性双生児の疾病罹患の差など、単に“原因は生活環境だ”としてしまうには、あまりにも漠然としすぎていたものを説明できるツールとして、研究が進むことになりそうだ。現在一人歩きしているプロバイオティクスと合流して、感染症治療は大きく変わる可能性もあるしね。


で、このブログでも“メタゲノム”の説明くらいはしたつもりだったけど、検索してもそれらしいのが見当たらない。今さらするのも“めんどくせぇ”から、簡単にするけど、、、

要するに、人類が地球上に存在する遺伝子の総体をどの程度知っているのか?って事において、『びっくりするくらい“少ない”んだよ』って教えてくれるものだ。

大きな動物はほぼ把握しているだろうけれど、微生物にいたっては、人類は、その1%も“掴んで”はいない。さらに、環境中の微生物だけじゃなくって、人体に共生している微生物すら、1%も理解していないのだ。(この際の“理解”の定義は、増殖などをコントロール出来るって意味)


たとえば、ヒトを生まれてから無菌の環境で育てたとしよう。間違いなく、粘膜免疫が発達せず、ひいては全身免疫までも影響を受け、アレルギー疾患が必発、自己免疫疾患も必発することだろう。人道的な面から実験は出来ないけれど、乳幼児期の多量・頻回の抗生物質暴露によりアレルギー発症が増加する現象から、腸内細菌叢の発達を妨げたことが原因なのかと?実験動物などでの検証を経て、腸内細菌の免疫に与える影響の重要性が示唆されるようになったのは、よく、知られている。

こんな切り口から(と私は思っているが)、ヒトゲノム計画から得られたヒト遺伝子の予想外の少なさを説明できる合理的な理論になろうとしているのが、“マイクロビオーム”だ。

人体に共生している100兆個もの微生物の遺伝子を全部知った暁には、それらが、ヒトの遺伝子を補完していることを、人類は知ることになる。

逆に言えば、ショウジョウバエと変わらない遺伝子の数で“人類”をやっていられるのは、人類と共生している“微生物のおかげ”だと。

ミトコンドリアを体内に取り込んだ、原始的な細胞が真核生物に“進化”できたのと比較できるほどその“共生”に歯切れが良いわけではないけれど、明らかに“持ちつ持たれつ”の関係の上に生命が維持されているのは間違いない。

そして、これらの共生している細菌の構成や機能、あるいは人体に与える影響や病気との関わりを調べるために、米国 NIH では、すでに2007年から『ヒトマイクロビオーム計画(Human Microbiome Project)』を立ち上げている。

近い将来、ヒトの遺伝子を語るときには、その人が親から受け継いだ46本の染色体にあるものだけではなく、その人と共に生きている常在菌の遺伝子プロフィールを含めて、云々するようになるのだろう。

一卵性双生児の片方が癌になり、片方が癌にならない・・・・・こんな理由が語れる日が来るのだろう。(現代医学では、まるっきりわからないからねぇ)
 
 
 
こんな言葉を知って『ほぉ~っ』と感心したりしている今日この頃、ショックな体験をした。

それは、昨日のことだ。

注意深い性格の私にとっては考えられない出来事なのだが、それは、ETC カード入れ忘れ状態で高速道路の入り口ゲートを通過してしまうという“自験”だ。

鼻の奥がジンジンして、瞼が重く、大きな声を出すとコメカミが痛むという状態が本日になりひどくなったのが、今回のエントリーと結びついた原因だ。


こんなチョンボをやらかしたのは、細菌、またはウイルスの遺伝子産物による脳機能への影響なのではないかと?


なんたって、後続車をゲート入り口で堰きとめ、高速を降りる人からは笑われるわけで、こんな後ろめたい思いと恥ずかしい思いとをしなきゃならない事態を予測すれば、絶対にカード入れ忘れなんてあるわけがなく、現に、いままで忘れたことはなかった。

ところが、、、、、である。

この経験で学んだことは、ゲートのバーは軟らかく、車に傷はつかないという事と、一旦、車体が通過しちゃったら、カードだけを通過したことに出来ないということだ。そういう処理が出来ないらしい。

私は大慌で ETC カード を握りしめ車から降り、係員の処理を待ったのだが、彼らには後続の車を通過させることが第一義で、私に対しては『このやろー、めんどくせぇことしやがって』と言いたげな表情で『危ないから、下がって待っててくださいっ』と。

やがて、高速道路の通行券をもって私のところにやって来て、『これ使って、降りてください』と。私は、『カードの処理はしてくれないんですか?』と言うと、『出来ません』と。


というわけで、細菌、またはウイルスの遺伝子産物が、私の脳の注意を散漫にさせたのと、こんなに不名誉な目に逢う事の予見を妨げた結果、私はカードを入れ忘れて高速道路に乗ろうとしたのだろうと考えたわけだ。


まぁ、こんなにも因果関係の薄い事象をこじつけようとする位、私は熱にヤラレている・・・・という事なのかもしれないが・・・。(ロキソニン、あんまり効かないのかなぁ??これだけの藪にらみを利かせられるのは、ある意味、効いている証拠なのかな??)

2008年10月11日

『心底惚れた女が、実は男だった』って感じ?

20081011_bi_sexal.jpgおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!

癌という病気が“怖い”のは『転移するからだ』の“転移”は、細胞が“癌”になってから別の臓器に移動して、そこで成長するってプロセスを辿る事だとばっかり思っていた。

しかし、この論文によると、癌になる前から、たとえば、肝臓の細胞は肺に“移り住んで”いて、後から“癌”になる事もあると。

ひぇ~~~~~、これって、『心底惚れた女が、実は男だった』って感じじゃない!?

ガンの転移を再考する(Rethinking Cancer Metastasis)

Science September 26 2008, Vol.321

ほとんどの人のガンによる死亡は、原発性のガン細胞が体の新しい部位に伝播して拡散する転移によって起きる。

途中の血流中を生き延び、新規の組織の環境に定着することを含め、転移性細胞は複雑な一連の段階をうまく切り抜けなければならないので、転移はガンの進行における遅い段階で起きるとこれまで考えられていた。

Podsypanina たち(p. 1841,8月28日オンライン出版、および、Kleinによる展望記事参照)によると、転移プロセスの開始は以前考えられていたよりもっと前かららしい。

正常なマウスの乳房細胞を遺伝子操作して、ガン遺伝子発現のタイミングを実験的に制御し、これをマウスの血流中に注入した。

驚いたことにガン遺伝子の発現がないときは、正常な乳房細胞は肺まで移動し最大16週間生存するが、ガン遺伝子が活性化するまでは攻撃的成長を開始しなかった。

このように腫瘍転移は、播種性の正常な (前悪性)細胞から発生し、遺伝的な変化が悪性になるまで臨床的には黙ってじっと待っている。

Seeding and Propagation of Untransformed Mouse Mammary Cells in the Lung
p. 1841-1844.
CANCER: The Metastasis Cascade
p. 1785-1787.


この論文では言ってないけど、もしかしたら、“転移”って現象は正常な生命現象かもしれない。だとすると、、、、、転移をターゲットにすると、ホメオ・スタシスに影響が出ちゃう・・・・。(例えば、組織固有の幹細胞の出自を探ると・・・・)

以前は、転移という現象は“癌細胞固有”だと考えられていたから、コレをターゲットにしようとしたんだけど、これが生命現象の一部だとすると副作用は・・・・・。


そんなことより、固形癌の外科切除、転移予防の為のリンパ節の郭清手術する“意義”の問題になるのは、確実だよね?

念のため、きれいさっぱり切り取っても、1年後、遠隔転移が発見されちゃう人ってのは、既に、原発癌の手術をした時点で、転移していた・・・・・・って事にもなるんだからね。。。これじゃ、リンパ節の郭清手術は意味がなくなっちゃう。

原発性の癌が“病気”として見つかった時点で、ルーツを同じにする別の細胞が既に他の臓器に移り住んでいて、それがわかりやすい“ブドウ糖の取り込みの増大”などの性質を示していないんだから、存在の確認しようも無い・・・・・・。
 
 
 
アリストテレス以来の演繹による理論的推論(※『すべての人間は死ぬ。ソクラテスは人間である。ゆえにソクラテスは死ぬ』が有名)に異を唱えたベーコンは、今日の科学者が用いる帰納的研究法を考えたといわれている。そのベーコンの言葉を引用すると、、、

 自然の微妙なところは、感覚や理解力の微妙さの何倍も微妙である。そのため、人々がかまけている、もっともらしい省察、思弁、虚飾は、その目的から全く離れ、結局、それを観察する人がいない。

 三段論法は、科学の第一原理には適用されないし、中間の公理に適用しても無駄で、自然の微妙なところとは比べ物にならない。それは命題に従うことを求めるが、物事を束縛はしない。

 三段論法は命題からなり、命題は単語からなり、単語は概念の記号である。ゆえに、概念そのもの(それがことの根本)が混乱していて、事実から拙速に抽出されたものであれば、その上に乗る構造物には確固としたところがありえなくなる。希望が持てるとすれば、真の帰納にしかない。


う~ん、帰納的な臨床試験を行っている筈が、最初の『LDL-C は悪者だ』が“事実から拙速に抽出されたもの”である事を、そろそろ認め、詭弁的な三段論法が現代の大規模臨床試験だと認めなければならなくなるようなお言葉ですねぇ!!(笑)という余談は置いといて・・・

で、対照的に、トルストイは軽率な一般化を戒め、人間は小さな現象を、大きな現象の原因と見てしまうのではないかと、、、

 「戦争があったときは必ず、強大な軍事指導者がいた。革命があったときは必ず、大指導者がいた」と歴史は言う。「実際は、強大な軍事指導者がいた時は必ず戦争があった」と、人間の理性は答える。しかし、それは将軍が戦争の原因だと証明はしないし、戦争にいたる要因が、一人の人物の個人的な活動に見つかるということの証明にもならない。

 農民は春の終わりに冷たい風が吹くのは、楢木のつぼみが開くからで、実際、楢の花が咲く春には冷たい風が吹くという。しかし、楢の花が咲く頃に冷たい風が吹く原因は知らないが、冷たい風の原因が楢の花が咲く事だという農民の意見には賛成できない。風の強さは、つぼみが影響する範囲外だからだ。


戦争と軍事指導者のくだりは、ロマンチストな小説家が、もっともらしい省察、思弁、虚飾を駆使し作り上げる歴史観そのものだ。膨大な資料にあたったとしても、見たいものしか見なきゃ単なる推論と同じだし。現代日本では、この類の小説を読んだ庶民が、“戦争と軍事指導者の関係”が“楢の花が咲く事と冷たい風の関係”と同じ事だと認識できていないところに問題がある訳で。。。。しかし、小説はそうじゃなきゃ面白くないし、、、私はアレキサンダー大王萌え~でカエサル萌ぇ~でアレキサンダー大王の家庭教師だったアリストテレス好きで・・・って、まぁ、それは置いといて・・・・


自然科学における真理の追求には、演繹による理論的推論がベターなのか、帰納法によるのがベターなのかは、私にわからないけど、一旦、思い込んで、尚且つ、それを疑う余地が無い時代に築かれたものは、「その上に乗る構造物には確固としたところがありえなくなる」ハズなんだけど、、、、権威筋が跋扈する世界にあっては、白いものも黒いと言わざるを得ないだろうなぁ・・・・・。

今回は、『転移は悪性化する前から起きている』という事実を取り上げたのだが、似たようなケースは“医学”には“レア”ではないように思われる。それは、生命現象以前に、まず病気というフィルターを通して生命活動を見てきた事によって“誤認”したまま、砂上の楼閣を築いてきたってことなんだろう。

基礎科学(医学にとっては生物学)の重要性が痛感されるところだ。

日本人のノーベル賞受賞だけに浮かれずに、国家予算からの基礎研究への割当増を真剣に考え直さなきゃならないんじゃないのかな。

さらに言えば、一般教養としての理系科目(数学的な思考法などは特に)は義務教育課程で徹底した方が良いと思われる。本来なら企業倫理として問われる問題が“食の安全”なったり、“食の安全”としなければならない問題が政治問題にされる、などという頓珍漢な方向に向かうマスコミに煽動されない為にもね。


最後に、大衆の無知と強大なマスコミの影響力による“喜劇?悲劇?”を示して終わりにする。良くご存知のアメリカでの話。

NASA の月面着陸を信じない人たちが NASA の陰謀説を流布し、テレビ会社 FOX に信じさせ、それに関するテレビ番組を放映させたのは有名な話だ。番組ではアメリカ人の20%の人が月に行ってないと信じていると。全てスタジオで撮影されたんだと。それによって、大衆は、NASA 陰謀説に大きく傾いていく。

その根拠となったのが、ニール・アームストロングの影が二つ映った写真だ。

月面なら、光源は太陽だけの筈なのに、もう一つの光源がある。それはスタジオのライトに違いない。写真には、星も、着陸時の噴射によるクレーターも映っておらず、空気が無いのにはためく星条旗が映っている・・・・と。

月面では光源が二つ以上あってもおかしくない事(地球や月の表面は光をよく反射する)、写真に星が写ってないのは、露出時間の問題である事、月面の土はほんの数センチしか堆積しておらず、確認できるほどのクレーターが出来なくてもおかしくない事、空気が無くても竿が揺れる事で旗がはためく事・・・を理解できる人には、NASA の陰謀説の番組は“茶番”にか見えないのだが、月面では光源が二つ以上あってもおかしくない事を知らなければ、番組に洗脳されるのは必至だろう。

今回は、みのもんたやあるある大辞典などと固有名詞は出さないが(あっ、言っちゃった!)、こんな番組が多いんだから、NASA の陰謀説を信じている人は、自分の理系の素養を見直したほうがいいかもよ!!

それと、NASA の陰謀説の根拠を話して納得するかどうかを、あなたの周りで試してみるのも一興かも。(あなたに対する周りの人の評価に変化が生じても、私には責任はありませんが)

 1  |  2  |  3  |  4  |  5  |  6  |  7  |  8  |  9  |  10  |  11  |  12  |  13  |  14  |  15  |  16  |  17  |  18  |  19  |  20  |  21  |  22  |  23  |  24  |  25  |  26  |  27  |  28  |  29  |  30  |  31  |  32  |  33  |  34  |  35  |  36  |  37  |  38  |  39  |  40  |  41  |  42  |  43  |  44  |  45  |  46  |  47  |  48  |  49  |  50  |  51  |  52  |  53  |  54  |  55  |  56  |  57  | All pages

About 医薬・生命科学

ブログ「WebMaster's impressions」のカテゴリ「医薬・生命科学」に投稿されたすべてのエントリーのアーカイブのページです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のカテゴリはああ、いっぺん言うてみたかったです。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.37