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医薬・生命科学 アーカイブ

2005年07月05日

世の中の至る所に転がっている話?

一般的な概念からすると、全体を考える上でその一つの要素と見られるものは、簡単に考えがちだ。要素は単純な方が都合が良いから、そういう思い込みもあるだろう。

このような考え方に警告を鳴らす論説が掲載されている。まず、ご覧頂きたい。(例によって、トピックスにも収載したので、後日、本家のリンクが切れた後は、こちらを利用してくだされ。)

免疫療法:そんなに先を急がないで... Lesley Cunliffe

腫瘍反応性T細胞をin vitroで活性化および拡大してから患者の体内に戻す養子細胞移植療法(ACT)は、転移性充実性腫瘍に対する臨床反応をなんとか上手く誘導できる数少ない癌免疫療法のひとつである。ACTが特に魅力的なのは、特異的T細胞を、その機能的特性により選択した上で患者に移植できる点である。しかし、T細胞分化のどの段階が、in vivoでの腫瘍の治療奏効に関わっているかは十分に検討されておらず、現在のT細胞選択基準ではin vivoでの有効性が保証されない。

Gattinoniらは、CD8+ T細胞の機能を種々分化段階(ナイーブ、初期エフェクター、中期エフェクターおよびエフェクター)で分析し、これが腫瘍退縮をメディエートするT細胞の能力に影響を及ぼすかどうかを、マウスモデルを用いて明らかにしている。それによりGattinoniらは、高度に分化したエフェクターT細胞は、in vitroで最も効果的な抗腫瘍作用を備えているが、in vivoでの効果は、ようやく初期エフェクター段階に達したT細胞の100分の1であることを突き止めたのだ。実際、診療所で使用するT細胞の選択に現在用いられている特徴(インターフェロン 放出とin vitro細胞毒性)は、in vivoでの抗腫瘍有効性と負の相関関係にある。

マイクロアレイ分析を実施したところ、高分化T細胞ほどBID、BADおよびFASリガンドといった向アポトーシス分子をコードする遺伝子や、複製老化を引き起こす遺伝子の発現レベルが高かったことから、こうした細胞がin vivoであまり「フィット」しないことが明らかになった。しかも、移植したT細胞のin vivoでの増殖能は実際、in vitroでの抗腫瘍機能を漸次獲得するごとに低下する。

初期エフェクターT細胞を分析したところ、CD26Lマーカー(CD62Lhigh)を高レベルで発現し、外見は対になるCD62Llowと類似しているものの抗原接種後にすぐれた抗腫瘍効果を示す亜集団が特定された。CD62Lhigh細胞は優先的にリンパ節に戻り、このマーカーが移植されたT細胞に、接種の結果として腫瘍抗原を発現しているプロフェッショナル抗原提示細胞(APC)を狙わせることが、分析から明らかになった。T細胞分化によりCD62Lが消失すると、APCとの相互作用が損なわれ、T細胞のin vivoでの活性化および増殖が弱まることによって、抗腫瘍活性が抑制される。

以上のことから、リンパ節ホーミング分子の発現レベルが高い初期エフェクターT細胞が、ACTに用いるT細胞として最良のものということになる。しかし、臨床的に治療効果のある細胞数を得るのに必要なin vitroでのT細胞拡大の段階では、必ず分化およびこの重要な細胞マーカーの消失が引き起こされる。目下、T細胞増殖の誘導にはインターロイキン2 (IL-2)が用いられているが、IL-2は分化をも誘導する。しかし、Gattinoniらは、IL-15が分化と増殖とを引き離して大量のT細胞を産生することでCD62Lが保持されやすくなり、ACTで用いた場合の効果が著明に大きくなることを明らかにしている。

以上の所見は、臨床治療法としてACTをさらに開発するのにきわめて重要となる。しかもGattinoniらは、現在のT細胞選択基準を、分化度が低く効果の高いT細胞を選択するものに改める必要があると提案している。


ご用とお急ぎの方の為に、簡単に説明すると(簡単だから誤解される可能性が有るので、道筋が見えたら、原典を必ず見くだされ)、がんを治療する方法の一つに、免疫力を高める方法がある。その免疫力の指標を試験管の中で調べた結果は、実際の体の中での実際の効果と一致しない。そればかりか、反比例するというものだ。

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私達は、日常生活で、気軽に“免疫”という言葉を使っている。
人それぞれにイメージする“免疫”があるのだろう。
そして、その“免疫力”と言う言葉を使うシーンは、ほとんどの人の場合、健康に付いての会話の中でである。

『あの○○は、免疫力を高めるから、健康に良いのよ』と。全体(健康)を考える上での一つの要素(免疫)として扱っている。

理屈は、単純明解で整然としている。反論の余地はない・・・・ように見える。


しかし、この「免疫力が高まる」という現象が、実は単純な指標では計れないものだとしたら・・・・、反論の余地は十分に残されていると言えるだろう。


たとえば、怪しい“キノコ”の免疫力増強を詠って、少数の“ガンに効いた”症例を裏付ける為に、実験によるデータを添付して、科学的ても尤もらしく説明しているサイトや広告を見かけるが、こんな、実験だけで、トータルの表現形としての免疫を証明出来るものではない事を、この論説は証明している。
 
 
 
私は、免疫学をライフワークとしているが、免疫学は、理解が深まれば深かまるほど、結果が予測出来なくなる。逆に、結果を見れば、その道筋は簡単に説明できるだが・・・。

免疫は、主人公が一人、二人の単純なストーリーではなく、それこそギリシャ神話に登場する神々のように数多くの主役が織り成す、壮大なスケールの物語なのだ。トロイア戦争が起こった原因を考える時、ゼウス陰謀で、諍いの神エリスがテテュスとペレウスの結婚式にリンゴを投げ込む事まで考えなきゃならないのと同じだ。パリスが誰が一番の美女かを選ぶ事が、自分の父親を(知らずに)殺すに至る事、絶世の美女ヘレネと恋に落ちる事(戦争の直接の引鉄)を、一連の繋がりと考える事も出来るし、独立した事象と考える事も出来る。

目に見える形での出来事でさえ、結果に与える因果を証明する事も難しいのに、分子や細胞と言った目に見えない世界で起こる結果の因果を証明するのに、ごく一部(試験管の中での一つの化学物質“サイトカイン”など)だけに注目して、結果を云々するほどナンセンスな事は無い。


免疫現象は、健康の一部の指標ではなく、生命の根幹を担う“システム”なのである。

であるから、一部の現象を、しかも、体から切り離された試験管での結果が、システム全体としての表現形を予測するには、土台、無理が有るのだ。(一般の方には、『免疫の意味論』と『生命の意味論』多田 富雄 著を読まれる事を御勧めする。)
 
 
 
しかし、現実の世の中では、たった一言“免疫”で事は済んでしまう。専門じゃ無い人、一般の人はそんなもんかもしれない。(だから、騙されるとも言えるのだが・・・)


まぁ、こんな話は、業種・業界を越えて、世の中の至る所に転がっているのかもしれない。

私にとっては、インチキ健康情報を、一刀両断にする頼もしいツールを手に入れたようなもんだから、素直に嬉しいのだが・・・。
 
 
 
p.s.フロイトは歴史的事実を程程に受け入れつつ、モーゼの行動をその精神的な面から解釈し、彼をユダヤ人ではなくエジプト人であるとした大胆な仮説を『モーセと一神教』の中で唱えている。もしかしたら、これが事実かもしれない。
人は、あまりにも、当たり前の事として事実を見せられると、新しい発想が出来なくなってしまう。また、それを拒否する。
だから、なまじ、色んな事を知らない方が、真実に近づけるという考えも有る。

でも、この『事実として眼球で確かに見ている』・・・・と言った事さえ、オリヴァー・サックスの「火星の人類学者」を読んでいると信じられなくなる。

一体、どうしたらいいのだろう?
結局、人間の智慧なんて浅知恵で、どうでも良いのかもしれない。

2005年06月22日

サプリメントでも目から鱗が落ちことがある

思い込みは危険だ。
しかも、盲信してしまっている事は、疑うことすらしないし。


JAMA誌2005年6月15日号に、『Fish Oil Supplementation and Risk of Ventricular Tachycardia and Ventricular Fibrillation in Patients With Implantable Defibrillators』っていう論文が掲載されている。

埋め込み型除細動器使用者では魚油サプリが逆効果(催不整脈)を示すと言うのだ。

今の今まで、魚油は良いことはあっても、悪い事は一つもないだろうって思ってた。
何で、思い込んでいたか、今更、理由なんて思い付かない。さしたる根拠、証拠もなしに、そう思い込んでいたのだ。エスキモーの人達に心血管疾患が少ないのは、魚を食べてるアザラシを主食にしているから、オメガ-3多価不飽和脂肪酸(PUFAs)を多量に摂取している・・・なんて話は頭にこびりついている。それくらいしか、思い付かないのだが、何故か、盲信していたところがあった。


MMJ (JAMA 日本語版の頃からだが) の付録で Evidence Based Supplements (EBサプリメント) なる雑誌が付いてくるのだが、『フン、サプリメントなんて』・・・って半分眉唾ながらも、ペラペラめくって読んでいるのだが、これがなかなか、効果の理屈が理論的だし、臨床データも馬鹿にならない。でも、魚油に付いては、新しいトピックスも無いだろうって思い込みから、じっくり読んだことも無い。
 
 
 
そんなこんなで、今までは、セイヨウオトギリソウくらいは、医療用医薬品との併用に注意してあげてもいいかって位の位置づけだったサプリメントだが、魚油も要注意の一つとして、脳味噌に叩き込まなきゃならなくなった。
 
 
 
何故、こんなショッキング(予想と反対)な結果が出たのか?

これにも、思い込みが関係する。つまり、心室頻拍(VT)/心室細動(VF)は突然死を惹起するものだとの思い込みだ。
論文では埋め込み型除細動器使用者の心臓突然死と関連付けている訳じゃなく、あくまでも不整脈が惹起されるとしている。
魚油の効能を調べるにあたり、エンドポイントを突然死に置いている試験では、魚油は突然死を防ぐ効果があるとの結果が出る訳だが。。。
今回の結果は、逆に、オメガ-3PUFAsによる心臓突然死予防効果は、心室頻拍(VT)/心室細動(VF)の抑制を通じて得られているのではないことを示唆しているとも言えるわけだ。

もともと、心室頻拍(VT)/心室細動(VF)と突然死は因果関係がないのなら、ショッキングでもなんでもないデータのなだが、本能的にも不整脈は“命がヤバイかも”って思わせるから、心情的には納得がいかない。
 
 
 
不整脈と突然死の関係も単純じゃない!ことにも驚いたが、もしかしたら、見かけ上、不整脈と突然死が因果関係有りとされていることも、実は、全く関係ない因子が関与している可能性も有るって事だ。


兎に角、コレステロールの生合成経路一つ取ってみても、最終段階の産物だけが生理機能に関与している訳じゃなく、複雑なの段階にあるそれぞれの産物も、また、生理機能を担っている訳だし、心臓の生理だって単純じゃない事は想像に難くない。単に今ある知見だけを根拠にいろいろ治療している訳だが、結果オーライなだけかもしれないいと思うと、やりきれない。(そう言えば、スタチン系薬剤服用者では CoQ10 の de novo 合成も抑制されるのでサプリメントで補充した方が良いなんてものあった。理由は左心室機能パラメータが改善するからだってさ。横紋筋融解と CoQ10 が関係有るってなデータが出ると面白いんだけどね。)


でも、やりきれないのは医療従事者の立場としてであり、個人的には、生命の神秘に迫れるので、楽しい!!

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2005年06月21日

スタチンのガン予防効果の新機序?

ほほぉ!なるほどっ。って感じた内容だよ!今回のは。


この論説は、、、
大衆迎合とスタチン』で触れたガン予防の機序にあらたな追加をすることになるのか?
 
 
 
nature japan cancer update の web サイト上で HIGHLIGHT として6/20 付けで掲載されている『治療 的外れ効果』がネタになっているのだが、スタチンのガン予防効果に関して言及している論説ではない。

Ras のファルネシル化を阻害すれば、Ras の活性化を阻害できる。その為、ファルネシル基をRasに付加する酵素を阻害する薬が“抗がん剤”として使えるのでは?とのロジックから開発途中に有る ファルネシルトランスフェラーゼ(FTase)阻害因子(FTI) の機序についての論説だ。

この論説では、FTase を阻害するだけが FTI の抗がん効果の理由ではなさそうだ。別の経路(FTaseとは関係ない経路) でも、その“抗がん効果”が証明できる。と解説している。

理解を深める為にも、まずは、これをご覧くだされ。
Office Oh!NO トピックスにも収録してあるので、後で参照したくなったけど URL を失念したので見られないなんて場合にはこちらを利用してね。

治療:的外れ効果 McCarthy Nicola

ファルネシルトランスフェラーゼ(FTase)阻害因子(FTI)は、癌遺伝子RASを阻害する目的で開発されたが、FTIのin vivo効果は散発的で、RASの活性化とは無関係であることが明らかにされている。Lacknerらは、FTIの雑多な挙動の原因を明らかにする的外れ効果を解明している。

Ftaseは、さまざまなタンパク質の翻訳後修飾にきわめて重要なプレニルトランスフェラーゼ3種のひとつである。Ftaseはゲラニルゲラニルトランスフェラーゼ1 (GGT1)と密接に関わっていることから、FT1によるGGT1阻害の逆スクリーニングがすでに実施されている。RABゲラニルゲラニルトランスフェラーゼ(RABGGT)の構造は、FtaseおよびGGT1とは明らかに異なっていると考えられ、FTIが的を外す可能性は低いということになっていた。

Bristol-Myers SquibおよびExelixisの研究チームは以前に、FtaseまたはGGT1の阻害とは独立した機序によりアポトーシスを引き起こすFTIがいくつかあることに言及している。Lacknerらは、上記阻害因子の活性に関する理解を深めるため、線虫Caenorhabditis elegansを用いた。この線虫の生殖細胞には、成熟途上で自発的にアポトーシスを来すものがあり、この研究チームはまず、一部のFTIにアポトーシス生殖細胞の数を増大させる能力があることを突き止めた。

この研究チームは、新たなFTIターゲットを特定するため、順遺伝学的な化学的突然変異誘発スクリーニングおよび逆遺伝学的スクリーニング(RNA干渉:RNAi)を用いて、同じく向アポトーシス表現型を与える遺伝子の獲得または消失がないかどうかをみた。この研究チームは、順遺伝学的方法を用いて、破断された遺伝子座4部位を特定し、生殖細胞の最も高いアポトーシスレベルと相関する1部位について、さらに分析した。この変異遺伝子は、タンパク質移動に関与するタンパク質VSP41をコードしていた。Lacknerらは、RNAiノックダウンスクリーニングにより、VPS41と結合してHOPS複合体を産生する別のタンパク質5個を酵母で特定した。

HOPS複合体はRAB7 GTPaseとともに、エンドソーム-リソソームおよびオートファゴソーム-リソソームのドッキングおよび融合により、タンパク質移動を促進している。タンパク質移動に関与し、RABGGTによって修飾されるC. elegansのrab-7およびrab-5を標的としたRNAiを実施したところ、生殖細胞系のアポトーシスが誘導された。しかし、酵母の自食作用特異的遺伝子相同体を標的としてRNAiを実施してもそうはならず、向アポトーシス反応にはエンドソーム-リソソーム機能の破綻が重要であることがわかる。

では、アポトーシスを引き起こすFTIは、RABGGT経路に影響を及ぼすのだろうか。Lacknerらは、線虫のRABGGT活性を阻害すると、向アポトーシスFTIに反応してアポトーシスレベルが高くなり、このことがRABGGT阻害能と相関していることを明らかにしている。これは、哺乳動物の細胞にも当てはまるのだろうか。FTIをさらに19種類スクリーニングしたところ、FTIによるアポトーシスとRABGGTの阻害とのつながりが強まった。さらに、Lacknerらは、ヒト肺癌細胞系を用いて向アポトーシスFTIとアポトーシスを引き起こさないFTIとを比較し、両化合物ともFTase を阻害するものの、RABGGTを阻害するのは向アポトーシスFTIのみであることを突き止めた。さらに、哺乳動物細胞のRABGGT を標的としたsiRNAによってもアポトーシスが誘導された。

Lacknerらはこのほか、RABGGTの - または - サブユニットをコードするmRNAが、正常組織と比較して、さまざまなヒト腫瘍試料にきわめてよく発現していることを示している。このように、上記所見からは、RABタンパク質の翻訳後修飾の阻害によってアポトーシスが誘導されることがわかり、これが一部のFTIの作用様式を明らかにしている。しかも、RABGGTおよびおそらくはリソソーム-エンドソームの移動が今後、治療標的となりうる。

さて、この論説からわかることは、これまた、明快だ。

本来、酵素阻害剤は基質特異性があるので、結合できない酵素には影響を及ぼさないと考えられる。FTI は FTase には結合できるけど、RABGGT には結合出来ないはずだった。

だけど、何故か、ある種の FTI は RABGGT の働きを阻害する。

RABGGT は、エンドソーム-リソソームおよびオートファゴソーム-リソソームのドッキングおよび融合により、タンパク質移動を促進している蛋白質をゲラニル化する酵素だ。
結局、このゲラニル化が上手く行かないと、その細胞はアポトーシスに陥る。(論説では、RABGGT のターゲット蛋白である rab-7 , rab-5 を RNAi でノックアウトしてこのカスケードを破綻させて見ているが、同じ事だ。)


この事実から、スタチン系のガン予防を考えてみると、結局、HMG CoA reductase 阻害により、ゲラニル化の原料が減少する訳だから、RABGGT を阻害するのと同様に、アポトーシスが誘導されると。

結局、スタチン系のガン予防効果は“増殖の抑制とアポトーシスの促進”の二本立てで考えられると言うことだ。
 
 
 
って、尤もらしい機序を展開してしまったが、全くのシロウトの理屈のこねくり回しである為、そのまま覚えないで貰いたい。また、考えが誤りであったり、或は、そんな事は周知の事実だよっていうのであれば、どうぞ、指摘してくだされ。
(回りに指摘してくれる人がいない時にこそ、ネットの威力を痛感します。有りがたいですよね。)

2005年06月20日

旅行者下痢症に rifaximin

『旅行者下痢症に FDA が抗菌剤を認可』との記事(トピックス参照)に、、、


---またかよ!(菌を)殺しゃいいってもんじゃねぇだろ---


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antibiotics よりは sysbiotics , probiotics に心地よさ、生き物としての自然さを感じる私にとっては、当然、そう感じる訳だが、、、、。


一般名、rifaximin はイタリアで開発され1988年から使用されているらしい。気になって、ググってみたのだ。そして、rifaximin は消化管からほとんど吸収されずに、下痢時のターゲットオルガンのみで抗菌作用を発揮してくれるらしい。英語の諺では、「旅は心を広げ、お腹をゆるめる」とあり、フランスでは、「トゥーリスタ」(旅行者下痢)なる言葉もあるくらい、旅行=下痢との認識があるみたいだ。


ほとんど、国内のみで海外旅行をしない私にとっては、ついつい、日本の衛生環境が世界の何処でも同様なのだという感覚(錯覚)が染み付いていて、旅行=下痢じゃないし、抗生物質をやたらに使うことに抵抗感がある為、こういう記事には違和感を感じるのだが、こんなことで、まだまだ地球上にも私の知らない衛生状態が存在することも気づかせてくれる。
 
 
 
海外旅行は、したくないわけじゃなく、その反対で、いろいろなところに行きたい。

その為、クリティカルな感染症の予防接種に関しては、常々、気を付けているのだが、“下痢”程度の“腸内細菌叢の乱れ”には殆ど注意を払っていなかった。

特に行きたいところは、イタリアから地中海を時計回りに・・・ヘラクレスの柱まで、って、考えてみれば下痢しそうだ。日本のように魚介類流通にコールドチェーンがあるわけじゃなさそうだし。

下痢すれば、ホテルに缶詰になるし、予定がおお狂いだ。下痢しないに越したことは無い。

それに、rifaximin は耐性菌を生じにくいらしい。機序の情報を正確に掴んだ訳ではないので、なんとも言えないが、“抗生物質乱用による耐性菌の出現助長”のような良心の呵責に苛まれることもないだろう。
 
 
 
というわけで、 sysbiotics , probiotics 党の私にも rifaximin は抵抗無さそうだ。でも、フランス語に「トゥーリスタ」ってのが有るのには笑った。フランス人は日本人より“抗生物質”が好きらしいからね。

2005年06月13日

大衆迎合とスタチン

毎朝、ズームインスーパーを見るにつけ、思うことがある。

---月曜日のコメンテーターは駄目だな---

一言で言うと、大衆迎合主義で、判官びいき。受け狙いのコメントしかしない。今朝だって、ニート(働かないばか者)の原因を一部上場企業や大学に求め、産・官・学が協力して問題解決にあたらなければならないなんて、頓珍漢なコメントをしている。

本気で思っているのなら、救いようの無い馬鹿だ。

どんな時でも『強きをくじき弱気を助ける』姿勢を見せていれば“受けが良い”なんて考えているのだろう。“大衆”も舐められたもんである。薄っぺらな善意を振りかざしても、本気で問題を解決しようと考えている人達の神経を逆なでするだけだ。

この人なら、うつ病の患者に同情して頑張れ!と励ますであろう。その程度にしか物事を考えない、思慮の欠けたコメントである。
 
 
 
 
閑話休題

相変わらず、スタチンで“ガンが予防出来た!”って報告が続いている。(トピックス参照)
相変わらずなんて表現してしまったのは、作用機序から考えれば当たり前のことだからだ。効果が100%じゃないのは、その癌細胞の増殖が、ras 系にどれだけ依存しているのかって事だろう。

スタチンで抑制されるコレステロール生成は最大で30~40%位だろう。供給される中間産物ファルネシル酸が減少するのも同じ事だ。これが Ras への転移酵素の効率が100%じゃないとして(これら酵素にしたって効率の個人差がある)、このような微妙な?ファルネシル化 Ras の減少が、細胞の増殖に影響を与えていることになる。

微妙な差だからこそ、100%の予防にならない訳だ。ある人にとっては、その程度のファルネシル化 Ras の減少では、細胞増殖の抑制にまで至らないと言うことだ。

生体内で細胞増殖を100%抑制しちゃう薬を使ったら、人は死ぬ!当たり前のことだ。中学生でもわかる。個人(ガン細胞)を殺して国(生体)を生かにゃならん訳だから、最初から難しいのはわかっている。

ならば、この微妙な“ファルネシル化 Ras の減少”のどこに、ガンの予防に役立つ人と役に立たない人の差を見出せば良いのか?

今のままでは、平均値としては予防効果があるのはわかるけど、個人にとっては何のエビテンスにもならない。わかるのはこの薬に予防効果があるらしいということだけだ。頭痛の時に服用するバファリンなら、程度の差こそあれ、万人が鎮痛する。このような薬なら、大規模臨床試験によって求められる個人差を無視した古典的な平均値でも“エビデンス(証拠)”として通用するが、半分の人には全く無意味な薬の服用が、このような大規模試験で“エビデンス”になるわきゃないのは明白だ。


同じ臓器から発生するガンだって、その遺伝子プロフィールに個人差があることがわかってきたことだし、もうそろそろ、臓器別に知見を貯えるような意味の無い報告は止めにして、遺伝子プロフィール別に知見を貯えるべきだ。試験のプロトコールそのものを見直おさなきゃならない。


それでこそ、予防薬としてのエビデンスになる。これ以外には無い。


もしかしたら、こんな分野(医学・医療)にも、臨床試験の意義・意味のわからない低レベルの医療従事者や素人相手にペーパーを乱発するレベルの低い研究者がいるのかもしれない。

大衆迎合主義なのか、はたまた、本当に馬鹿なのか?判断は難しい・・・・。
┐(´∀`)┌ヤレヤレ

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